こんにちは、つみれです。
もともと本格ミステリーには興味のなかった私ですが、2016年に綾辻行人さんの『十角館の殺人』を読んで、一気に本格ミステリーの世界にのめり込みました。
そのなかでも本格ミステリーの1大ジャンルとして、「クローズドサークル」(少し下で説明しています)があります。
しかし、いざクローズドサークルもののミステリーを読もうと思っても、「どんな本があったっけ?」となってしまう人も多いのではないでしょうか。
私が今までに読んだクローズドサークル・ミステリーのなかから、おもしろかった作品をネタバレなしで紹介していきます!
もしまだ読んだことがない作品があったら、ぜひ読んでみてくださいね。
目次
- 1 クローズドサークルとは
- 2 おすすめクローズドサークル系ミステリー
- 2.1 十角館の殺人/綾辻行人(「館シリーズ」1作目)
- 2.2 迷路館の殺人/綾辻行人(「館シリーズ」3作目)
- 2.3 霧越邸殺人事件/綾辻行人
- 2.4 そして誰もいなくなった/アガサ・クリスティ
- 2.5 月光ゲーム/有栖川有栖
- 2.6 殺しの双曲線/西村京太郎
- 2.7 屍人荘の殺人/今村昌弘(「屍人荘の殺人」シリーズ1作目)
- 2.8 魔眼の匣の殺人/今村昌弘(「屍人荘の殺人」シリーズ2作目)
- 2.9 兇人邸の殺人/今村昌弘(「屍人荘の殺人」シリーズ3作目)
- 2.10 螢/麻耶雄嵩
- 2.11 夏と冬の奏鳴曲/麻耶雄嵩(『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』続編)
- 2.12 ジェリーフィッシュは凍らない/市川憂人(「マリア&漣」シリーズ1作目)
- 2.13 グラスバードは還らない/市川憂人(「マリア&漣」シリーズ3作目)
- 2.14 冷たい校舎の時は止まる/辻村深月
- 2.15 眼球堂の殺人/周木律
- 2.16 楽園とは探偵の不在なり/斜線堂有紀
- 2.17 時空旅行者の砂時計/方丈貴恵(「竜泉家一族」シリーズ1作目)
- 2.18 孤島の来訪者/方丈貴恵(「竜泉家一族」シリーズ2作目)
- 2.19 名探偵に甘美なる死を/方丈貴恵(「竜泉家一族」シリーズ3作目)
- 2.20 館島/東川篤哉
- 2.21 紅蓮館の殺人/阿津川辰海
- 2.22 蒼海館の殺人/阿津川辰海(『紅蓮館の殺人』続編)
- 2.23 硝子の塔の殺人/知念実希人
- 2.24 アルファベット荘事件/北山猛邦
- 2.25 信長島の惨劇/田中啓文
- 2.26 こうして誰もいなくなった/有栖川有栖
- 3 終わりに
クローズドサークルとは
クローズドサークルとは、外界との交通・連絡手段が断たれた状態で展開するミステリー作品のことです。
何らかの事情で外界との往来が断たれた状況、あるいはそうした状況下でおこる事件を扱った作品Wikipedia「クローズド・サークル」
外界との連絡手段が絶たれることも多い。
サークル内にいる人物のなかに高確率で犯人がいると思われたり、捜査のプロである警察が事件に関与できない理由づけになったりなど、パズルとしてのミステリーを効果的に演出する。
おすすめクローズドサークル系ミステリー
下記に、私が読んでおもしろかったおすすめのクローズドサークル作品を紹介していきます。
十角館の殺人/綾辻行人(「館シリーズ」1作目)
私が何を差し置いてもまず紹介したいのは、綾辻行人さんの「館シリーズ」第一作目『十角館の殺人』です。
- 王道の本格ミステリーを読みたい
- クローズドサークルものに初めて挑戦する
- 「そして誰もいなくなった」系のミステリーが好き
絶海の孤島系クローズドサークル・ミステリーの王道中の王道でありながら、これを超えるトリックはもう現れないのではないかと思わせてくれるほど巧みな演出に度肝を抜かれます。
少しずつ登場人物が退場していく恐怖!
少しずつ犯人が絞り込まれていくスリル!
クローズドサークルものを読んでみたいけどまず何から読んでみようかというときは、『十角館の殺人』を選んでおけばまちがいないです!
あとで紹介するアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』のオマージュ作品ですが、本作ならではのオリジナリティも光っています。
それは事件が進行している「島」パートと、事件解決のために探偵役が捜査を行う「本土」パートに分かれているということ。
この趣向の独自性がおもしろさアップに一役買っています。
もはや、「孤島」系、「館」系ミステリーの基本形の一つといっても過言ではありません。
私を本格ミステリーの世界に引き入れた罪深い作品でして、個人的にも格別に思い出深い一作です!
記憶を消して再読したい本を一冊選べといわれたら、私はまっさきにこれを挙げます。おすすめ!
エラリイっていう登場人物がすごくいい味出しているんですよ。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
迷路館の殺人/綾辻行人(「館シリーズ」3作目)
綾辻行人さんの「館シリーズ」のクローズドサークル作品で他におすすめなのが、第三作目にあたる『迷路館の殺人』です。
もう人が住めるとは思えないほど奇抜な設計の「迷路館」のなかで繰り広げられる惨劇!
かなりロジックに寄ったこってりした本格ミステリーが楽しめますよ~!
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
霧越邸殺人事件/綾辻行人
綾辻行人さんのノンシリーズものですが、実質「館シリーズ」の従弟のような感じの『霧越邸殺人事件』。
- 王道の本格ミステリーを読みたい
- 幻想的なミステリーに浸りたい
非常に幻想的な雰囲気を持つ美しいミステリーで、この世界観を味わうだけでも満足できそうな一作です。表紙からして美しいですね。
幻想的で不可思議な現象というミステリーと相性の悪そうな要素をうまくミステリーのフォーマットに落とし込んでいる巧さがあります。
特にすごいのが事件の現場のシーンで、人が亡くなったとは思えないほどに美しく描かれています。
霧越邸をおとずれる劇団員たちのギスギスしたやりとりと霧越邸住人の薄気味悪さがいかにも怪しく、嫌な予感しか感じないのがいいのです!
個人的にはかなり好きな作品です。
ノンシリーズなので、読む順番を気にしなくていいのもポイント高いです。
そして誰もいなくなった/アガサ・クリスティ
クローズドサークルものの原型ともなっているお手本的作品が、アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』です。
- 王道の本格ミステリーを読みたい
- クローズドサークルものに初めて挑戦する
- 「そして誰もいなくなった」系の基本形を知りたい
「そして誰もいなくなった」系などと言われることもあるように、もはやジャンルの代名詞ともなっている作品です。
今となっては古典的でありながら、当時としては斬新あったであろう発明的なトリックに直に触れることができる感動を味わえます。
登場人物たちが古い童謡「10人のインディアン」を連想させる死に方で次々に退場していく見立て殺人が展開されますが、これがなんとも怖いです!
ミステリー手法の斬新さもさることながら、タイトルセンスも実にすばらしく、まさにクローズドサークルの教科書的作品!多くのオマージュ作品を生み出しました。
まさに「そして誰もいなくなった」系の原点にして頂点ですね。
月光ゲーム/有栖川有栖
クローズドサークルをメイン装置に据えた有栖川有栖さんの「学生アリス」シリーズ。
その第一作目が『月光ゲーム―Yの悲劇’88』です。
- 「読者への挑戦」に挑みたい
- 青春ものが好き
ある大学の推理小説研究会の合宿で主人公一行がとある山にやってきたところ、その山の噴火によって、他の大学の数グループともどもキャンプ場に閉じ込められる、パニック系クローズドサークルです。
学生たちが合宿に来たら、火山が噴火して閉じ込められるというパニック的状況のなか、なんと殺人まで起こるという極限状態のミステリーです!なんと興奮する状況ではありませんか!
仕掛けとしてはアクロバティックさに欠けますが、パズル的なトリックに正々堂々向き合った精緻な謎解き要素を楽しむことができます。
『月光ゲーム』もそうですが、有栖川作品は真面目で本格的なミステリーが多いので安心して楽しむことができ、とてもおすすめですよ。人はどんどん死にますけど。
「青春×パニック×ミステリー」という感じですね。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
殺しの双曲線/西村京太郎
西村京太郎さんといえば2時間ドラマ系のトラベルミステリーを思い浮かべてしまいますが、「こんな本格ミステリーも書いているんだ!」となることうけあいの一作。
それが『殺しの双曲線』です。
- 冒頭でトリックを種明かししてくる大胆不敵さに挑戦したい
- 「西村京太郎の本格ミステリー」を読んでみたい
この推理小説のメイントリックは、双生児であることを利用したものです『殺しの双曲線』(講談社文庫)、p.6
双子トリックというミステリー界のタブーに挑戦しながら、冒頭で種明かしまでしてしまうという挑戦的で大胆不敵な趣向が読者を悩ませます。
事前に読者に双子であることを知らせず、あとから「実は双子でした」というトリックはアンフェアだという考え方があります。
作者、西村京太郎さんの「トリックは半ば種明かししておくから、真相を当てられるものなら当ててみなさい」という声が聞こえてきます。
「やってやろうじゃねえか!」と息巻いて挑戦しましたが、私は撃沈しました。
『殺しの双曲線』は雪山の山荘系のクローズドサークル・ミステリーですが、アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』を意識したつくりになっています。
だんだんと人が殺されていく点こそ同じですが、さすがはミステリー作家西村京太郎さん。
クリスティとは異なる見事な結末を見せてくれます。
通好みな一作です。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
屍人荘の殺人/今村昌弘(「屍人荘の殺人」シリーズ1作目)
ミステリー界の新星・今村昌弘さんが、2018年に下記ミステリーランキングで3冠を達成したのがデビュー作の『屍人荘の殺人』です。すごいですね。
- このミステリーがすごい!
- 週刊文春ミステリーベスト10
- 本格ミステリ・ベスト10
- 普通の本格ものは飽きてきた
- 話題になった本が好き
ネタバレ厳禁のクローズドサークル・ミステリーです。
変化球寄りのミステリーですが、その変化球としての設定が非常にユニークでまさにオンリーワンの魅力にあふれています。
あまりにユニークなので問題作と捉える向きもありますが、今村さんにしかできない独創的な発想がミステリー界に風穴を開けたといっても過言ではないと思います。
これまでの常識を覆す衝撃、そうくるのか、新しいなという衝撃をぜひ味わっていただきたい!
ネタバレになってしまうので、ここではこれ以上書けません。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
▼屍人荘シリーズの読む順番とあらすじを知りたい場合におすすめの記事
魔眼の匣の殺人/今村昌弘(「屍人荘の殺人」シリーズ2作目)
今村昌弘さんの「屍人荘の殺人」シリーズ2作目に当たり、名作『屍人荘の殺人』の続編となるのが『魔眼の匣の殺人』です。
- ミステリー論が好き
- 王道の中で新たな試みを行っている作品に惹かれる
- 前作『屍人荘の殺人』の続きが気になる
前作『屍人荘の殺人』とは打って変わって王道のクローズドサークル作品です。
しかし、それだけで終わらないのがこのシリーズのいいところ。
「必ず的中する予言」によって「男女が二人ずつ、合計四人死ぬ」ということが前もって知らされるのです。
端が落とされて脱出できない状況下で、あらかじめ「死亡人数枠」が決まっているという恐怖に苛まれる登場人物たち。
どうしてもその「枠」に入りたくない者たちが極限状態のなかで最悪の選択をしていきます。
あらかじめ「死亡人数枠」が決まっているという設定がすごすぎる。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
兇人邸の殺人/今村昌弘(「屍人荘の殺人」シリーズ3作目)
今村昌弘さんの「屍人荘の殺人」シリーズ3作目で、『魔眼の匣の殺人』の続編となるのが『兇人邸の殺人』。
- パニックホラーが好き
- 特殊設定ミステリーが好き
- 前作『魔眼の匣の殺人』の続きが気になる
主人公たちが異形の首斬り殺人鬼が闊歩する館に閉じ込められるパニックホラー寄りのクローズドサークル・ミステリーです。
舞台となる「兇人邸」の独特の構造や、首斬り殺人鬼が「動く危険な障害物」というギミックとして機能するという珍しいおもしろさが魅力。
また、クローズドサークルはたいてい「自然現象によるもの」か「人の悪意によるもの」のどちらかに分類されますが、そのどちらにも当たらないという稀有な作品となっており、その意味でも注目の一作となっています。
単なるパニックホラーで終わらず、ちゃんとミステリー的な謎解きも用意されていて、「ホラーとミステリーのバランス」が良かったです。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
螢/麻耶雄嵩
一見、正統派のように見えるけれど、その実とんでもなく邪道というのが、麻耶雄嵩さんの『螢』です。
- ミスリードの粋を味わいたい
- 「邪道」のミステリーを読みたい
ネタバレ厳禁のクローズドサークル・ミステリーです!ぜひ事前に情報を仕入れることなく読んでいただきたい一冊。
京都の山間部にある「ファイアフライ館」が舞台の嵐の山荘ものです。いいですねえ!
このお館、実は10年前に6人もの演奏家が殺害され、さらに1人が失踪するという凄惨な事件が起きています。
ここにとある大学のオカルトサークルの学生たちが合宿にきたところ、豪雨で外界との交通および連絡が遮断され、孤立した状況のなか殺人事件が起こる、というのがあらすじ。最高すぎる!
ここまで説明した限りではいかにも王道のクローズドサークルという感じです。
しかし、その後に驚きの「邪道」な仕掛けが用意されているんです・・・!
雰囲気も最高のクローズドサークル・ミステリーでしたね!
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
夏と冬の奏鳴曲/麻耶雄嵩(『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』続編)
夏の孤島が舞台でありながら雪が降るという幻想的なシチュエーションが魅力の一作が麻耶雄嵩さんの『夏と冬の奏鳴曲』です。
- 邪道な本格ミステリーを読みたい
- 変わった作品が好き
- 解釈が分かれる作品が好き
- 長編ミステリーを読みたい(750ページ超)
- 前作『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』がおもしろかった
終盤の展開や真相が突飛で、とにかく読者のことを突き放すような展開に度肝を抜かれます。
しかし、謎解き・トリック等のロジック部分は極めて巧緻に作られていて単純にミステリーとしておもしろいのがとても良かったです!
また、読了後にも楽しめるのも本作のおもしろさ。
作者によって明確な解答が与えられず、人によって解釈が分かれそうな物語なので、読了済の読者による様々な議論・考察が繰り広げられています。
この議論・考察を楽しみ尽くすのが最高におもしろいんですよ!
シリーズとしては『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』の続編となっていますので、そちらを先に押さえておくと本作をより一層楽しめます。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
ジェリーフィッシュは凍らない/市川憂人(「マリア&漣」シリーズ1作目)
アガサ・クリスティのオマージュ作品の一つで、二十一世紀の『そして誰もいなくなった』とまで言われているのが、市川憂人さんの『ジェリーフィッシュは凍らない』です。
- 本格ミステリーを読みたい
- 「そして誰もいなくなった」系のミステリーが好き
- 新感覚のミステリーを味わいたい
80年代のアメリカのような国が舞台となっていて、パソコンやスマホなどの文明の利器も一切登場しません。
しかし、現実のアメリカと異なるのは、タイトルにもある「ジェリーフィッシュ」という架空のクラゲ型飛行船が開発され、ある程度の普及を見せているというところです。これがキモですね!
このジェリーフィッシュというクローズドサークル内で、乗組員が「全員他殺」と思われる状態で見つかるという魅力的な謎が提示されます。
架空の小型飛空船が登場する近未来SF的な世界観でありながら、描かれているのは過去という特殊な設定の上で、クローズドサークル・ミステリーが展開されるというクールな一冊です。
事件が現在進行形で進んでいく過去パート「ジェリーフィッシュ」と、魅力的な刑事コンビが捜査を行う現在パート「地上」に分かれているのがいいんですよ。
この趣向は綾辻行人さんの『十角館の殺人』のオマージュでもありますよね。最高すぎる!
アメリカ的な世界観が苦手でなければ、おすすめですよ!
「二十一世紀のそして誰もいなくなった」という通り名はダテじゃないです。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
グラスバードは還らない/市川憂人(「マリア&漣」シリーズ3作目)
市川憂人さんの「マリア&漣」シリーズ3作目にあたる『グラスバードは還らない』もすばらしいクローズドサークル作品です。
現実には存在しないオーバーテクノロジーの産物が登場するのも本シリーズの醍醐味の一つ。
本作はとある新技術の研究者やその開発に携わった会社の社員などが、無機質な謎のフロアに幽閉され、そこで凄惨な事件が起こっていくというクローズドサークルものとなっています。
また、捜査をする側のマリアたちが潜入したビルが爆破テロに見舞われるなど、パニックものの一面も持ち合わせており、二重の意味でスリル感あふれる作品です。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
冷たい校舎の時は止まる/辻村深月
辻村深月さんのデビュー作『冷たい校舎の時は止まる』も外せませんね。
というよりも、話運びがうますぎてクローズドサークルだということに気付くまでに時間がかかってしまったけれど、言われてみれば確かにクローズドサークルという感じなのが本作。
- 小説を読んで感動したい
- 辻村深月のデビュー作を読みたい
- 辻村深月流の鋭い心理描写を味わいたい
雪の降る日に、主人公たち8人の高校生たちが無人の校舎に閉じ込められるという設定ですが、もうそれだけで怖いです。
本格ミステリーではないし、若干ファンタジー&ホラー要素が入っているので、純粋な謎解きを求める人には正直おすすめできません。
しかし、謎自体がかなり魅力的でどんどん先へと読みたくなってしまうんです!
人物造形がとてもうまくて、主人公たち高校生の内面のもろさやイタさをガンガン突いてきます。
ロジック重視というよりはストーリー重視のクローズドサークル・ミステリーですね!
少し長めですが、「これがデビュー作か!」というくらいすごい作品です。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
眼球堂の殺人/周木律
数あるクローズドサークルものでも、特に理系に振り切っているのが周木律さんの『眼球堂の殺人』です。
- 理系ミステリーを読みたい
- 変わった館系ミステリーを楽しみたい
- 電波系のキャラクターが好き
館も奇抜だし、登場人物も変人(主人公も変人)だらけなので、読む人を選びそうですが、ハマる人にはハマるユニークさがウリですね。
とにかく初っ端から理系要素がぞくぞく出てくるので、その手のウンチクが好きな方には特におすすめできます!
作者の周木律は大学で建築を専攻しており、序盤に掲載されている「眼球堂の俯瞰図・見取り図」が見るからにトリックが仕込まれていそうな感じで、一見の価値ありです。
ちなみに二作目の『双孔堂の殺人』は、クローズドサークルではないですのでご注意くださいね!
表紙を見たら、思わず「こんな家あるか!」とツッコみたくなってしまいます。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
楽園とは探偵の不在なり/斜線堂有紀
クローズドサークルと斬新な特殊設定を掛け合わせたのが、斜線堂有紀さんの『楽園とは探偵の不在なり』です。
- 特殊設定ミステリーが好き
- 奇抜な本格ミステリーを読みたい気分
本作のすごいところは「二人以上殺した者は天使によって即座に地獄に堕とされる」という特殊なルールが取り入れられていること。
二人以上殺してしまった者は、天使によってその場で地獄に引きずり込まれます。
ミステリー的におもしろいのは、地獄に堕ちた人間の死体は跡形も残らず消えてしまうところ。これはすごい設定ですね!
クローズドサークルという使い古された感のあるシチュエーションが、特殊なルールを一つ追加しただけで斬新な味わいに早変わりするおもしろさを味わってほしい一作です。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
時空旅行者の砂時計/方丈貴恵(「竜泉家一族」シリーズ1作目)
クローズドサークルというミステリー要素とタイムトラベルというSF要素を掛け合わせたのが、方丈貴恵さんの『時空旅行者の砂時計』です。
「竜泉家の一族」シリーズの第一作目です。
- 本格ミステリーを読みたい
- 特殊設定ミステリーを読みたい
- タイムトラベルを扱った物語が好き
本作は本格ミステリーにタイムトラベル要素を組み込んだ特殊設定ミステリーです。
主人公の加茂は、呪われた一族「竜泉家」の子孫である妻・伶奈の悲劇的な運命を変えるために「奇跡の砂時計」の力を使って過去にタイムトラベルします。
過去の世界では王道の館ものクローズドサークルが展開。
タイムトラベル要素がしっかりと謎解きやトリックに絡んでくる新鮮な味わいがあり、普通の本格ミステリーにちょっと飽きてしまった人におすすめの一冊です。
ミステリー作品らしくタイムトラベルにもしっかりと制約や条件が設けられており、「なんでもあり」になっていないところがポイントですね!
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
孤島の来訪者/方丈貴恵(「竜泉家一族」シリーズ2作目)
クローズドサークルと特殊設定を融合させる「竜泉家の一族」シリーズの第二弾で『時空旅行者の砂時計』の続編にあたるのが、方丈貴恵さんの『孤島の来訪者』です。
- 本格ミステリーを読みたい
- 特殊設定ミステリーを読みたい
- 前作『時空旅行者の砂時計』がおもしろかった
主人公の竜泉佑樹は不審死を遂げた幼馴染みの復讐のためにテレビ局のADとなり、ターゲットが参加する孤島「幽世島」でのロケに同行します。
しかし、何者かに先回りされ、なんとターゲットの一人が殺害されてしまいます。
佑樹は自分の手で復讐を実行するため、何者かの魔手からターゲットを守りながら機会を待つことに。
本作で特筆すべきは、前作『時空旅行者の砂時計』とは全く異なる主人公、全く異なる特殊設定を採用していることです。
佑樹と何者かが繰り広げる駆け引き、前代未聞の特殊設定など、見どころたくさんのクローズドサークル・ミステリーとなっています。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
名探偵に甘美なる死を/方丈貴恵(「竜泉家一族」シリーズ3作目)
『孤島の来訪者』に続く「竜泉家の一族」シリーズの第三弾が、方丈貴恵さんの『名探偵に甘美なる死を』です。
- 特殊設定ミステリーが好き
- とにかく複雑でややこしい謎解きを楽しみたい
- 今まで味わったことのないミステリーを読んでみたい
本作は、シリーズ一作目『時空旅行者の砂時計』・シリーズ二作目『孤島の来訪者』とはまた違った特殊設定が採用されており読者を新鮮な驚きで楽しませてくれます。
とある島に集められた8人の素人探偵が、現実世界とVR空間とを行き来しながら殺人事件の謎を解いていくクローズドサークル・ミステリーです。
本作のおもしろいところは、何と言っても現実世界とVR空間の両方で殺人事件が起こる斬新な特殊設定。
普通の本格ミステリーに飽きてしまった人も新鮮な気持ちで楽しめる最高の一冊になっています。
『時空旅行者の砂時計』の主人公・加茂冬馬と『孤島の来訪者』の主人公・竜泉佑樹の二人がメインキャラとして登場するのもポイント。
事前にシリーズ過去二作を読んでおくことをおすすめします。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
館島/東川篤哉
トリック的には思いっきり本格ミステリーだけど、コミカルで軽い雰囲気が漂っていて、ミステリーに慣れていない人にもおすすめなのが、東川篤哉さんの『館島』。
- あまり重くない作品を読みたい
- コミカルでユーモラスな雰囲気が好き
- あまりミステリー作品に慣れていない
重い作品はイヤだけどなにかミステリーを読みたい。軽めのやつないかな~というときにうってつけの一作です。
- 島に到着すると怪しい登場人物たちが勢ぞろいしている
- さらに空模様が怪しくなってきて、大雨となって島から出られなくなる
- 事件発生!!
もうクローズドサークル・ミステリーのお手本のようなあらすじですね(笑)
キャラのとっつきやすさ、軽妙な文章と、読みやすい要素がてんこ盛りですよ~!
普段は重い物語ばかり読んでいるという人の息抜きにもいいかも。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
紅蓮館の殺人/阿津川辰海
「探偵」「山火事」「からくり館」など、ミステリー好きの人を惹きつけてやまない要素満載のクローズドサークル・ミステリーが、阿津川辰海さんの『紅蓮館の殺人』です。
タイトルのかっこよさよ・・・!
- 特殊なクローズドサークルを読みたい
- 探偵の生き方、存在意義について知りたい
山奥に建てられた館に閉じ込められるというのは吹雪の山荘ものと似ています。
大きく異なるのが落雷による山火事で館に閉じ込められるところ。
山火事の勢力が増すに伴ってクローズドサークル自体が狭まっていき行動範囲がどんどん狭くなっていきます。
火の手が館まで到達したら登場人物全員死んでしまうという極限状態のなか、追い打ちをかけるように事件が発生。
このスリル感がたまりませんね!!
また、探偵やワトソン役の「存在意義」について考えさせられる描写がたびたび差し挟まれるなど、ミステリー好きの方は押さえておきたい一冊となっています。
設定だけでワクワクが止まらないですね。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
蒼海館の殺人/阿津川辰海(『紅蓮館の殺人』続編)
阿津川辰海さんの『蒼海館の殺人』では、前作『紅蓮館の殺人』とはうって変わって、台風による大雨の影響で登場人物たちが館に閉じ込められてしまいます。
火の次は水です!
高台にある館が迫りくる水に取り囲まれ、次第に水没していく時限式クローズドサークル!
前作同様「時限式」のクローズドサークルになっていて、登場人物たちの怪しさも相まって抜群におもしろいです。
様々な要素が複雑に絡み合った極上の謎と、それらを丁寧に解きほぐす爽快な解決編がすばらしい一冊です。個人的には『紅蓮館の殺人』よりもおすすめ!
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
硝子の塔の殺人/知念実希人
クローズドサークル・ミステリーの総集編と言っても過言ではないほど、先達作品をリスペクトした上で独自のおもしろさを創出しているのが知念実希人さんの『硝子の塔の殺人』です。
- 本格ミステリーを読みたい
- 「館もの」のミステリーを読みたい
- 密室トリックが好き
奇妙なガラスの塔で起こる連続殺人事件の謎を名探偵と医師のコンビが追っていくという状況設定から、キャラクター一人ひとりの性格に至るまで往年の名作ミステリーの雰囲気をこれでもかというほどに感じられる一作となっています。
肝心のミステリー要素もクローズドサークルのみにとどまらず、複数の密室殺人から読者への挑戦まで完備されていててんこ盛りです。
二転三転するめまぐるしい物語展開も魅力で、後半部は一気読みのおもしろさでした。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
アルファベット荘事件/北山猛邦
王道の吹雪の山荘にヤバめの人物がワラワラと集まってきて事件に巻き込まれるのが北山猛邦さんの『アルファベット荘事件』。
- 王道の本格ミステリーが好き
- 吹雪の山荘系クローズドサークルが好き
- 奇抜なキャラクターが登場する物語を読みたい
下記のように本格ミステリー要素満載のクローズドサークルが楽しめるので、本格初心者にもおすすめの一冊です。
- 吹雪の山荘
- いわくつきの美術品
- 姿なき主催者
- 怪しげな客たち
「物理の北山」の異名を取る北山さんの物理トリックが楽しめますよ。
北山さんの初期作品で入手困難でしたが、2021年に復刊し手に取りやすくなりました。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
信長島の惨劇/田中啓文
数あるクローズドサークルもののなかでも異彩を放っているのが、田中啓文さんの『信長島の惨劇』です。
- 本格ミステリーが好き
- 戦国時代が好き
- 戦国とミステリーを融合させた異色の作品を読んでみたい
とにかくクローズドサークルという本格ミステリーの分野に日本の戦国時代を掛け合わせる離れ技に驚かされます。
本能寺の後、死んだはずの織田信長から呼びつけられた武将たちが不気味な島で殺害されていきます。
呼びつけられる武将は下記の四名。
- 羽柴秀吉
- 柴田勝家
- 高山右近
- 徳川家康
本能寺の変後も活躍する武将ばかりで、どうやって物語をたたむのか不思議で仕方ないですよね(笑)
パッと見では「バカミスか!?」と思ってしまいますが、中身はしっかりと本格ミステリーになっていますよ。
歴史小説ファンもミステリー小説ファンも楽しめる一冊です。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
こうして誰もいなくなった/有栖川有栖
このまとめのなかで唯一の短編集が、有栖川有栖さんの『こうして誰もいなくなった』。クローズドサークルなのは、最後に収録されている表題作「こうして誰もいなくなった」です。
- ミステリー短編集が読みたい
- 有栖川有栖の引き出しの多彩さを味わいたい
いろいろな趣向で読者を楽しませてくれる有栖川さんの引き出しの多さにびっくりさせられる短編集です。
まさに「有栖川小説の見本市」!
表題作「こうして誰もいなくなった」は、クリスティの『そして誰もいなくなった』を有栖川有栖らしい味付けで現代風にオマージュした作品となっています。
本短編集のなかで、これだけが中編といってもいいくらいの長さですね。
パイオニアであるクリスティの『そして誰もいなくなった』とどういう形で差別化しているのか、というところが見どころですね。
先にアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』を読んでおくと楽しめますね。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
終わりに
記事内でご紹介した作品は、いずれも珠玉のクローズドサークル・ミステリーばかりです。
一冊でもおもしろいミステリーを発見できることを心から祈っております!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
つみれ
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