こんにちは、つみれです。
久しぶりに読書で徹夜してしまいました。
最近は立ち上げたばかりのこのブログの体裁を整えたりするのに時間を使ってしまい、好きな読書もままならぬ!という状態でした。
でも、装丁が気になって、「ちょっとだけ読んでみよう」と読みはじめたら、朝まで一気に読みつづけてしまいました。
おもしろい本は時間を忘れます!
読んだ本は、今村昌弘『屍人荘(シジンソウ)の殺人』(東京創元社)。
さっそく感想を書いていきます。
※ちょっとだけネタバレ書評は折りたたんでありますので、未読の場合は開かないようご注意ください。
※2019年3月30日に「続編もおもしろすぎる」を追記しました。
作品情報
書名:屍人荘の殺人
著者:今村昌弘
出版:東京創元社 (2017/10/12)
頁数:336ページ
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新しいクローズドサークル
私が読んだ動機
私は読書メーターという読書コミュニティサイトに登録しているのですが、この『屍人荘の殺人』の評判がものすごくいいのです。
信頼している読書家さんたちのレビューでも軒並み高評価だったので、私も読んでみることにしました。この上なく単純な動機ですね。
こんな人におすすめ
- クローズドサークルものが好き
- 普通の本格ものは飽きてきた
- 話題になった本が好き
本書は作者今村氏のデビュー作(鮎川哲也賞受賞)にして、以下ミステリーランキング3冠を達成したことで話題になりました。
- このミステリーがすごい!2018
- 週刊文春ミステリーベスト10
- 本格ミステリ・ベスト10
す、すごいですね。
私もね、2年前に綾辻行人『十角館の殺人』を読んでから、本格ミステリーのおもしろさに目覚め、いろいろな「新本格」を味わってきました。
※追記
「新本格」はおおざっぱに言うと、謎解きのおもしろさに主眼をおいたミステリーのことです。
ある程度まで読むと、新本格のお約束というものがわかってくるんです。
この本はそんなタイミングこそが読み時です。
どういうことかといいますと、本作はいわゆるクローズドサークルものに分類されますが、どちらかといえば変化球バージョンと言っていいものです。
その変化球としての設定が非常にユニークでまさにオンリーワンの魅力にあふれている。
このユニークさを味わうためには、事前にある程度、「王道」のクローズドサークルものを読んでおくのが望ましいと思うんです。
「これまでの常識を覆す」衝撃。
「そうくるのか、新しいな」という衝撃。
これが、『屍人荘の殺人』の持ち味の一つだからです。どうせ読むなら、私はこの衝撃を味わってもらいたい!
何らかの事情で外界との往来が断たれた状況、あるいはそうした状況下でおこる事件を扱った作品Wikipedia「クローズド・サークル」
外界との連絡手段が絶たれることも多い。サークル内にいる人物のなかに高確率で犯人がいると思われたり、捜査のプロである警察が事件に関与できない理由づけになったりなど、パズルとしてのミステリーを効果的に演出する。
「嵐の孤島」「吹雪の山荘」などがその代表例として挙げられ、熱心なファンはこれらのワードを聞くだけでよだれを垂らしたり、呼吸困難になったりする。
繰り返しになり申し訳ないが、本作を読む前にぜひこれらの「王道」を読んでおくことをおすすめする。
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覚えやすい登場人物
だっていかにも神経質そうじゃない。
名張と純江を縮めてナーバス、なんちゃって『屍人荘の殺人』p.75
ひどいダジャレである。
本作はこの調子で登場人物の名前と特徴をうまく結びつけてあります。
実は、これは登場人物の名前を覚えやすくする配慮なのです。
巻頭に登場人物紹介が載っているようなミステリーの場合、矢継ぎ早に登場する幾多の人物をついに覚えきれずに「あれ、これ誰だっけ・・・」となって巻頭まで戻って、ああそうだった、みたいなことがあります。
えっ、ないですか!?
・・・私はあるんです!!
これは、作者である今村さんの、
「そういう余計なことでテンポを乱す必要はありません。思う存分物語と謎に没入してください」
というすばらしい配慮に違いありません。非常にありがたいではないですか!
続編もおもしろすぎる
2019年2月22日、続編『魔眼の匣(ハコ)の殺人』が発売されました。
私は居ても立ってもいられず、光の速さで購入し、大変楽しく読み終えました。
『屍人荘の殺人』とはまた一味違った奇抜なクローズドサークルが展開されていて、本作と比べても遜色ないすばらしい出来ばえです!やったー!
▼ 関連記事
▼ クローズドサークルまとめ
【ちょっとだけネタバレ書評】
すでに読了した方へ
危険!ネタバレあり!
よーしネタバレするぞー!折りたたんでおくので、まだ読んでいない人は開かないでくださいね。
終わりに
本当におもしろい作品でした。時が経つのを忘れるとはまさにこれです。
デビュー作でこの出来とは末恐ろしいですね。
私ならプレッシャーで2作目を生み出すのに苦労しそうなものですが、また本作のようなすばらしい作品を書いていただきたいです。(※2作目『魔眼の匣の殺人』も刊行されました。おもしろすぎて、まったくの杞憂でした・・・)
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
つみれ
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