こんにちは、つみれです。
このたび、今村昌弘さんの『明智恭介 最初でも最後でもない事件』を読みました。
「屍人荘の殺人」シリーズのスピンオフ作品で、『屍人荘の殺人』の前日譚が描かれている「日常の謎」系ミステリーです。
▼「屍人荘の殺人」シリーズの読む順番とあらすじ
それでは、さっそく感想を書いていきます。
作品情報
書名:明智恭介 最初でも最後でもない事件
著者:今村昌弘
出版:東京創元社(2019/12/13)
頁数:79ページ
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目次
『屍人荘の殺人』の前日譚!
私が読んだ動機
「屍人荘の殺人」シリーズが大好きなので!
本作の存在を知らなかったのですが、友人に教えてもらってさっそく読みました。
こんな人におすすめ
- 「屍人荘の殺人」シリーズが好き
- 「日常の謎」系ミステリーが読みたい
- 明智恭介と葉村譲のコンビが好き
あらすじ・作品説明
神紅大学に入学した葉村譲は、明智恭介という先輩に出会いミステリ愛好会に勧誘される。
手持ち無沙汰にしていた二人のもとに、とある依頼が舞い込む。
コスプレ研究部のサークル棟に侵入した泥棒が何者かに昏倒させられるという不思議な事件だった。
明智と葉村は意気込んで調査を開始する。
「屍人荘の殺人」シリーズのスピンオフ
本作は「屍人荘の殺人」シリーズのスピンオフ作品です。
メインストーリーは2021年8月現在で下記の3作が発刊されています。
- 『屍人荘の殺人』
- 『魔眼の匣の殺人』
- 『兇人邸の殺人』
本作『明智恭介 最初でも最後でもない事件』は『屍人荘の殺人』では語られなかった「屍人荘の前日譚」が描かれていて、上記メインストーリーの外伝的な物語になります。
むしろ、『屍人荘の殺人』以前の物語が描かれているということ自体が本作の意義と言ってもいいかもしれません。
いつ読めばいいのか
本作は〈エピソード0〉の位置づけなので、時系列としてはシリーズで一番最初に当たります。
時系列で並べると下記の通り。
- 『明智恭介 最初でも最後でもない事件』
- 『屍人荘の殺人』
- 『魔眼の匣の殺人』
- 『兇人邸の殺人』
どんな順番で読むべきかな。
もちろん上記に示した時系列順に読むのもわかりやすくていいと思います。
しかし個人的には『屍人荘の殺人』を読んだあとにこの「エピソード0」を読み、本エピソードを回想風に楽しむのがおすすめです。
私のおすすめの順番は下記です。
- 『屍人荘の殺人』
- 『明智恭介 最初でも最後でもない事件』
- 『魔眼の匣の殺人』
- 『兇人邸の殺人』
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殺人の起きないミステリー
本作は「日常の謎」系ミステリーです。
「日常の謎」とは、殺人事件を扱わないミステリーという意味合い。
この物語も「コスプレ研究会のサークル棟に侵入した泥棒に何が起きたのか?」という謎に焦点が当たっており、殺人事件などが起きるわけではありません。
本シリーズのメインストーリーは良くも悪くもかなりシリアス路線で殺人事件もバンバン発生するので、このスピンオフのやや気の抜けた雰囲気が逆に新鮮なんです。
メインストーリーのほうで大変な目に遭いまくる葉村譲の日常的な大学生活を垣間見ることができるのも魅力の一つ。
もちろん謎解きはしっかりと本格的で、サラッと読み飛ばしてしまいそうなさりげない描写が伏線になっているなどミステリー的な醍醐味が十分に味わえます。
キャラクターの魅力
本作は、登場人物たちが魅力的です。
メインストーリーのキャラクターもいい味出している人物が多いですが、スピンオフでもやってくれましたね。
明智と葉村のコンビがいい
まず、主人公格の2名「探偵役・明智恭介」と「助手・葉村譲」のコンビがとてもいいです。
明智恭介は変わり者属性を備えた探偵役。
本作でもたびたび暴走する姿が描かれていていろいろな人に迷惑をかけるのですが、その様子がめちゃくちゃおもしろいんです。
一方、助手の葉村譲は常識人なので、物語中でもいい感じに明智のフォローに回れています。
変わり者の探偵役と常識人の助手のコンビはミステリーでもお約束なので安心感がありますね!
コスプレ研究会のメンバー
今作の事件の舞台となるコスプレ研究会の面々もなかなか味わい深いキャラクターが多いです。
主として活躍するのは下記の3名。
- 姫小松(コスプレ研究会部長)
- 宇佐木(コスプレ研究会副部長)
- 葛形(コスプレ研究会会計)
コスプレ研究会の個々のキャラの性格などは若干謎解きにも関わってきますのでここでは詳述しませんが、3人とも味があっていいキャラでしたね!
特に姫小松は勝ち気で気が強く、明智の暴走気味な言動にたびたび強烈なツッコミを入れるのがコメディタッチでよかったです。
書籍化されていない
本作は2021年8月現在で書籍化されておらず、読むためには下記の二通りの方法を取るしかありません。
- 電子書籍で読む
- 文芸雑誌『ミステリーズ!vol.98』で読む
もし本作に興味があれば、上記の方法のどちらかを選んでくださいね。
ちなみに私はkindle版(電子書籍)で読みました。
もっと出してくれ!
本作、スピンオフだからと侮ってはいけません。
謎解きは普通に本格的でしたし、明智と葉村のやりとりもおもしろく、彼らの「日常」が味わえるのがとてもよかったです。
メインストーリーでのシリアスな彼らを知っているからこそ「日常の謎」の雰囲気が貴重なんですよね。
明智さんと葉村くんが活躍する屍人荘スピンオフ、もっと出してほしいなあ。
エピソード0.5とか0.7とか(笑)待っていますよ!
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終わりに
『明智恭介 最初でも最後でもない事件』は、「屍人荘の殺人」シリーズのスピンオフ作品で〈エピソード0〉的な物語となっています。
メインストーリーのように緊張感マックスの殺人事件を扱うわけではなく、描かれているのはあくまで「日常の謎」。
明智と葉村の学生生活が色濃く描かれているのもポイントでしたね。
本記事を読んで、今村昌弘さんの『明智恭介 最初でも最後でもない事件』がおもしろそうだと思いましたら、ぜひ手に取って読んでみてくださいね!
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
つみれ
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