こんにちは、つみれです。
もともと本格ミステリーには興味のなかった私ですが、2016年に綾辻行人の『十角館の殺人』を読んで、一気に本格ミステリーの世界にのめり込みました。はっきりいっておもしろすぎたのです!
そのなかでも本格ミステリーの1大ジャンルとして、「クローズドサークル」(少し下に説明があるよ)があります。
しかし、いざクローズドサークルもののミステリーを読もうと思っても、どんな本があったっけ?となってしまう人も多いのではないでしょうか。
そこで、私が今までに読んだクローズドサークル・ミステリーのなかから、おもしろかった作品をネタバレなしで紹介していきます!
もしまだ読んだことがない作品があったら、ぜひ読んでみてくださいね。
何らかの事情で外界との往来が断たれた状況、あるいはそうした状況下でおこる事件を扱った作品Wikipedia「クローズド・サークル」
外界との連絡手段が絶たれることも多い。サークル内にいる人物のなかに高確率で犯人がいると思われたり、捜査のプロである警察が事件に関与できない理由づけになったりなど、パズルとしてのミステリーを効果的に演出する。
目次
おすすめクローズドサークル系ミステリー
十角館の殺人/綾辻行人
私が何を差し置いてもまず紹介したいのは、綾辻行人「館シリーズ」の第一作目『十角館の殺人』です。
王道の本格ミステリーを読みたい
クローズドサークルものに初めて挑戦する
「そして誰もいなくなった」系のミステリーが好き
絶海の孤島系クローズドサークル・ミステリーの王道中の王道でありながら、これを超えるトリックはもう現れないのではないかと思わせてくれるほど巧みな演出に度肝を抜かれます。
少しずつ登場人物が退場していく恐怖!
少しずつ犯人が絞り込まれていくスリル!
クローズドサークルものを読んでみたいけどまず何から読んでみようかというときは、『十角館の殺人』を選んでおけばまちがいないです!
あとで紹介するアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』のオマージュ作品ですが、事件が進行している「島」パートと、事件解決のために探偵役が捜査を行う「本土」パートに分かれているという独自性がおもしろさアップに一役買っています。
もはや、「孤島」系、「館」系ミステリーの基本形の一つといっても過言ではありません。
私を本格ミステリーの世界に引き入れた罪深い作品でして、個人的にも格別に思い出深い一作です!
記憶を消して再読したい本を一冊選べといわれたら、私はまっさきにこれを挙げます。おすすめ!
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
迷路館の殺人もおすすめ(「館シリーズ」3作目)
「館シリーズ」のクローズドサークル作品で他におすすめなのが、第三作目にあたる『迷路館の殺人』です。
もう人が住めるとは思えないほど奇抜な設計の「迷路館」のなかで繰り広げられる惨劇!
かなりロジックに寄ったこってりした本格ミステリーが楽しめますよ~!
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
霧越邸殺人事件/綾辻行人
綾辻行人のノンシリーズものですが、実質「館シリーズ」の従弟のような感じの『霧越邸殺人事件』。
王道の本格ミステリーを読みたい
幻想的なミステリーに浸りたい
非常に幻想的な雰囲気を持つ美しいミステリーで、この世界観を味わうだけでも満足できそうな一作です。表紙からして美しいですね。
幻想的で不可思議な現象というミステリーと相性の悪そうな要素をうまくミステリーのフォーマットに落とし込んでいる巧さがあります。
特にすごいのが事件の現場のシーンで、人が亡くなったとは思えないほどに美しく描かれています。
霧越邸をおとずれる劇団員たちのギスギスしたやりとりと霧越邸住人の薄気味悪さがいかにも怪しく、嫌な予感しか感じないのがいいのです!
個人的にはかなり好きな作品です。
そして誰もいなくなった/アガサ・クリスティ
クローズドサークルものの原型ともなっているお手本的作品が、アガサ・クリスティ『そして誰もいなくなった』です。
王道の本格ミステリーを読みたい
クローズドサークルものに初めて挑戦する
「そして誰もいなくなった」系の基本形を知りたい
「そして誰もいなくなった」系などと言われることもあるように、もはやジャンルの代名詞ともなっている作品です。
今となっては古典的でありながら、当時としては斬新あったであろう発明的なトリックに直に触れることができる感動を味わえます。
登場人物たちが古い童謡「10人のインディアン」を連想させる死に方で次々に退場していく見立て殺人が展開されますが、これがなんとも怖いです!
ミステリー手法の斬新さもさることながら、タイトルセンスも実にすばらしく、まさにクローズドサークルの教科書的作品!多くのオマージュ作品を生み出しました。
月光ゲーム/有栖川有栖
クローズドサークルをメイン装置に据えた有栖川有栖の「学生アリス」シリーズ。
その第一作目が『月光ゲーム―Yの悲劇’88』です。
「読者への挑戦」に挑みたい
青春ものが好き
ある大学の推理小説研究会の合宿で主人公一行がとある山にやってきたところ、その山の噴火によって、他の大学の数グループともどもキャンプ場に閉じ込められる、パニック系クローズドサークルです。
学生たちが合宿に来たら、火山が噴火して閉じ込められるというパニック的状況のなか、なんと殺人まで起こるという極限状態のミステリーです!なんと興奮する状況ではありませんか!
仕掛けとしてはアクロバティックさに欠けますが、パズル的なトリックに正々堂々向き合った精緻な謎解き要素を楽しむことができます。
『月光ゲーム』もそうですが、有栖川有栖の作品は真面目で本格的なミステリーが多いので安心して楽しむことができ、とてもおすすめですよ。人はどんどん死にますけど。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
殺しの双曲線/西村京太郎
西村京太郎といえば2時間ドラマ系のトラベルミステリーを思い浮かべてしまいますが、「こんな本格ミステリーも書いているんだ!」となることうけあいの一作。それが『殺しの双曲線』です。
冒頭でトリックを種明かししてくる大胆不敵さに挑戦したい
「西村京太郎の本格ミステリー」を読んでみたい
この推理小説のメイントリックは、双生児であることを利用したものです『殺しの双曲線』(講談社文庫)、p.6
双子トリックというミステリー界のタブーに挑戦しながら、冒頭で種明かしまでしてしまうという挑戦的で大胆不敵な趣向が読者を悩ませます。
作者、西村京太郎の「トリックは半ば種明かししておくから、真相を当てられるものなら当ててみなさい」という声が聞こえてきます。
やってやろうじゃねえか!と息巻いて挑戦しましたが、私は撃沈しました。
『殺しの双曲線』は雪山の山荘系のクローズドサークル・ミステリーですが、アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』を意識したつくりになっています。
だんだんと人が殺されていく点こそ同じですが、さすがはミステリー作家西村京太郎。
クリスティとは異なる見事な結末を見せてくれます。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
屍人荘の殺人/今村昌弘
ミステリー界の新星今村昌弘が、2018年に下記ミステリーランキングで3冠を達成したのがデビュー作の『屍人荘の殺人』です。すごいですね。
- このミステリーがすごい!
- 週刊文春ミステリーベスト10
- 本格ミステリ・ベスト10
普通の本格ものは飽きてきた
話題になった本が好き
ネタバレ厳禁のクローズドサークル・ミステリーです。
変化球寄りのミステリーですが、その変化球としての設定が非常にユニークでまさにオンリーワンの魅力にあふれています。
あまりにユニークなので問題作と捉える向きもありますが、今村氏にしかできない独創的な発想がミステリー界に風穴を開けたといっても過言ではないと思います。
これまでの常識を覆す衝撃、そうくるのか、新しいなという衝撃をぜひ味わっていただきたい!
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
螢/麻耶雄嵩
一見、正統派のように見えるけれど、その実とんでもなく邪道というのが、麻耶雄嵩の『螢』です。
ミスリードの粋を味わいたい
「邪道」のミステリーを読みたい
ネタバレ厳禁のクローズドサークル・ミステリーです!ぜひ事前に情報を仕入れることなく読んでいただきたい一冊。
京都の山間部にある「ファイアフライ館」が舞台の嵐の山荘ものです。いいですねえ!
このお館、実は10年前に6人もの演奏家が殺害され、さらに1人が失踪するという凄惨な事件が起きています。
ここにとある大学のオカルトサークルの学生たちが合宿にきたところ、豪雨で外界との交通および連絡が遮断され、孤立した状況のなか殺人事件が起こる、というのがあらすじ。最高すぎる!
ここまで説明した限りではいかにも王道のクローズドサークルという感じです。
しかし、その後に驚きの「邪道」な仕掛けが用意されているんです・・・!
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
ジェリーフィッシュは凍らない/市川憂人
アガサ・クリスティのオマージュ作品の一つで、二十一世紀の『そして誰もいなくなった』とまで言われているのが、市川憂人『ジェリーフィッシュは凍らない』です。
本格ミステリーを読みたい
「そして誰もいなくなった」系のミステリーが好き
新感覚のミステリーを味わいたい
80年代のアメリカのような国が舞台となっていて、パソコンやスマホなどの文明の利器も一切登場しません。
しかし、現実のアメリカと異なるのは、タイトルにもある「ジェリーフィッシュ」という架空のクラゲ型飛行船が開発され、ある程度の普及を見せているというところです。これがキモですね!
このジェリーフィッシュというクローズドサークル内で、乗組員が「全員他殺」と思われる状態で見つかるという魅力的な謎が提示されます。
架空の小型飛空船が登場する近未来SF的な世界観でありながら、描かれているのは過去という特殊な設定の上で、クローズドサークル・ミステリーが展開されるというクールな一冊です。
事件が現在進行形で進んでいく過去パート「ジェリーフィッシュ」と、魅力的な刑事コンビが捜査を行う現在パート「地上」に分かれているのも、綾辻行人『十角館の殺人』の類型とみることができます。最高すぎる!
アメリカ的な世界観が苦手でなければ、おすすめですよ!
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
冷たい校舎の時は止まる/辻村深月
話運びがうますぎてクローズドサークルだということに気付くまでに時間がかかってしまったけれど、言われてみれば確かにクローズドサークルという感じなのが、辻村深月のデビュー作『冷たい校舎の時は止まる』。
小説を読んで感動したい
辻村深月のデビュー作を読みたい
辻村深月流の鋭い心理描写を味わいたい
雪の降る日に、主人公たち8人の高校生たちが無人の校舎に閉じ込められるという設定ですが、もうそれだけで怖いです。
本格ミステリーではないし、若干ファンタジー&ホラー要素が入っているので、純粋な謎解きを求める人にはおすすめできないけれど、謎自体はかなり魅力的!どんどん先を読みたくなります。
人物造形がとてもうまくて、主人公たち高校生の内面のもろさとかイタさをガンガン突いてきます。
ロジック重視というよりはストーリー重視のクローズドサークル・ミステリーですね!
眼球堂の殺人/周木律
数あるクローズドサークルものでも、特に理系に振り切っているのが周木律『眼球堂の殺人』です。
理系ミステリーを読みたい
変わった館系ミステリーを楽しみたい
電波系のキャラクターが好き
館も奇抜だし、登場人物も変人(主人公も変人)だらけなので、読む人を選びそうですが、ハマる人にはハマるユニークさがウリですね。
とにかく初っ端から理系要素がぞくぞく出てくるので、その手のウンチクが好きな方には特におすすめできます!
作者の周木律は大学で建築を専攻しており、序盤に掲載されている「眼球堂の俯瞰図・見取り図」が見るからにトリックが仕込まれていそうな感じで、一見の価値ありです。
ちなみに二作目の『双孔堂の殺人』は、クローズドサークルではないですのでご注意くださいね!
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
館島/東川篤哉
トリック的には思いっきり本格ミステリーだけど、コミカルで軽い雰囲気が漂っていて、ミステリーに慣れていない人にもおすすめなのが、東川篤哉の『館島』。
あまり重くない作品を読みたい
コミカルでユーモラスな雰囲気が好き
あまりミステリー作品に慣れていない
重い作品はイヤだけどなにかミステリーを読みたい。軽めのやつないかな~というときにうってつけの一作です。
- 島に到着すると怪しい登場人物たちが勢ぞろいしている
- さらに空模様が怪しくなってきて、大雨となって島から出られなくなる
- 事件発生!!
もうクローズドサークル・ミステリーのお手本のようなあらすじですね(笑)
キャラのとっつきやすさ、軽妙な文章と、読みやすい要素がてんこ盛りですよ~!
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
紅蓮館の殺人/阿津川辰海
「探偵」「山火事」「からくり館」など、ミステリー好きの人を惹きつけてやまない要素満載のクローズドサークル・ミステリーが、阿津川辰海『紅蓮館の殺人』です。タイトルのかっこよさよ・・・!
特殊なクローズドサークルを読みたい
探偵の生き方、存在意義について知りたい
山奥に建てられた館に閉じ込められるというのは吹雪の山荘ものと似ています。
大きく異なるのが落雷による山火事で館に閉じ込められるところ。
山火事の勢力が増すに伴ってクローズドサークル自体が狭まっていき行動範囲がどんどん狭くなっていきます。
火の手が館まで到達したら登場人物全員死んでしまうという極限状態のなか、追い打ちをかけるように事件が発生。
このスリル感がたまりませんね!!
また、探偵やワトソン役の「存在意義」について考えさせられる描写がたびたび差し挟まれるなど、ミステリー好きの方は押さえておきたい一冊となっています。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
こうして誰もいなくなった/有栖川有栖
このまとめのなかで唯一の短編集が、有栖川有栖の『こうして誰もいなくなった』。クローズドサークルなのは、最後に収録されている表題作「こうして誰もいなくなった」です。
ミステリー短編集が読みたい
有栖川有栖の引き出しの多彩さを味わいたい
いろいろな趣向で読者を楽しませてくれる有栖川有栖の引き出しの多さにびっくりさせられる短編集です。
まさに「有栖川小説の見本市」!
表題作「こうして誰もいなくなった」は、クリスティの『そして誰もいなくなった』を有栖川有栖らしい味付けで現代風にオマージュした作品となっています。
本短編集のなかで、これだけが中編といってもいいくらいの長さですね。
パイオニアであるクリスティの『そして誰もいなくなった』とどういう形で差別化しているのか、というところが見どころですね。
▼詳しくは下の記事に書いてあります。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
ご紹介した作品たちはどれも珠玉のクローズドサークル・ミステリーばかりです!おすすめですよ~!
一冊でもおもしろいミステリーを発見できることを心から祈っております(*´з`)v
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
つみれ
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