館島

ミステリー、サスペンス

  (最終更新日:2021.08.20)

【感想】『館島』/東川篤哉:軽く読める本格ミステリー!

こんにちは、つみれです。

このたび、東川篤哉さんの描くミステリー『館島』(創元推理文庫)を読了しました。

本作、トリック的には思いっきり本格ミステリーなのですが、コミカルで軽~い雰囲気が漂っているところが特徴ですね。

緊張感はまるでありません(笑)

 

とにかく簡単に読める作品なので「たまにはミステリー小説でも読んでみるか」くらいの気分のときにおすすめ!

 

それでは、さっそく感想を書いていきます。

作品情報
書名:館島 (創元推理文庫)

著者:東川篤哉
出版:東京創元社 (2008/7/30)
頁数:372ページ

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コミカルでふざけた雰囲気、しかし内容は本格!

コミカルでふざけた雰囲気、しかし内容は本格!

私が読んだ動機

しばらく読書をサボっていたので、読書リハビリとして気軽に読めるミステリーはないかと探していたところ、本作を発見しました。

こんな人におすすめ

チェックポイント
  • 本格ミステリーが好き
  • あまり重くない作品を読みたい
  • コミカルでユーモラスな雰囲気が好き

気楽に読める本格ミステリー

本とノートとペン

本作『館島』は気楽に読める本格ミステリーです。

本格ミステリーというと「ストレッチをして、深呼吸をして、水を一口飲んで、さあ読むぞ!」のように、気合を入れて推理に臨む姿勢が求められますよね。(言いすぎ)

バッチリ読書モードのときはそういった作品もドンとこいなのですが、読書という趣味はその時の精神状態に左右されますから、「重すぎる作品は疲れちゃうよ!」という場合もあります。

 

重い作品はイヤだけどミステリーを読みたい。

そんなときもありますよね。

 

そんな時におすすめなのが、本作東川篤哉さんの『館島』です。

ミステリーの根幹にかかわる謎はかなり練られていて本格ミステリーファンも大満足の内容なのですが、雰囲気は軽いことこの上なくスイスイと読むことができます。

軽くてコメディタッチな雰囲気が嫌いでなければ、楽しめる一冊といえるでしょう。

逆に言うと、合わない人にはトコトン合わない。そんな作品とも言えますね。

舞台は嵐の孤島の奇抜な館

瀬戸内のとある孤島のとある館に招待された主人公たちが、台風によって島に閉じ込められ、そこで殺人事件が起こる、という非の打ち所のない完璧な舞台設定です。

クローズドサークルものであり館ものでもありますね!

下記のようなクローズドサークルものとして王道中の王道といった展開を辿ります。

  1. 島に到着
  2. 怪しい登場人物たちが勢ぞろい
  3. なんだか空模様が怪しい
  4. 大雨で島から出られない
  5. 殺人事件発生

最高かよ。

もうね~、こういうお約束の展開を見ると、ニヤけてしまうんですよ!

月並みといえば月並みですが、ミステリーファンにとってこれほど魅力的な舞台はありません。

一瞬ですが、この島に住みたい!とさえ思ってしまいますよね。

えっ、思わない?

キャラクターで読ませる

友人たちのシルエット

ミステリーのおもしろさは舞台設定と謎の品質、そして登場人物の魅力で決まると言っていいでしょう。

賛否はあるでしょうが、本作に登場する主役級の人物たちはわかりやすい魅力にあふれています。

小早川沙樹

美人で大酒飲み。若干ズレた性格の持ち主ですが、事件に対しては切れ味の鋭い推理ぶりを発揮する私立探偵。

いろいろな要素がテンコ盛りに盛られたキャラクターでびっくりしてしまいますが、沙樹というキャラクターの持つ独特の明るさが物語をコメディ化しているといっても過言ではありません。

キャラクターとしては大いに魅力的で物語を引っ張っていく力もありますが、ミステリーとしての重厚さを失わせてしまっている最大の要素でもあるといっていいでしょう。

相馬隆行

岡山県警の若手刑事にして物語の語り手。

若手刑事らしいオッチョコチョイぶりが目立つキャラクターですが、ここぞというときに活躍するオイシイ役どころ。

適度に頭の回転が速いけれども、謎を解くまでには至らないという絶妙な能力設定。ワトソンですね。

物語の語り手として最適なキャラクターですが、美女とみるとすぐ手を出したがる性格は読者に嫌悪感を抱かせかねないです。

コミカルな雰囲気を演出するキャラクター設定だと思いますが、語り手には不要の属性だったようにも思えます。

野々村奈々江

スーパー美少女のお嬢様。美人ばかり登場するのもどうかと思いますけど(笑)

その美貌から「館」のホスト役十文字康子の息子3人に惚れられ、奈々江をめぐる彼らの恋のさや当てが不穏に描かれていくというのが序盤の流れです。罪な女性ですね。

基本的にはのほほんとしている人物ですが、沙樹や隆行と意気投合して自ら事件の捜査に乗り出していく様子は健気で微笑ましくもあります。

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トリックは初心者向けか?

パズル

パズル的な仕掛けがいろいろと用意されていておもしろいです。

ですが、とにかくヒントが多いというか、伏線が伏線らしくないというか、わかりやすいんですよね。

館の構造にしても、不可思議な現象にしても、なんとなく裏に隠れているものが透けて見えるような。

トリックの全貌を言い当てるのは難しいにしても、いいところまでは推理できちゃうという難易度です。

このわかりやすさを、おもしろい!ととるか、物足りない!ととるかは、人によりますね。

私は普段からミステリーの謎解きが全く解けずにくやしい思いをしているので、たまにはこういうのもいいと思いましたよ!

軽妙な文章の読みやすさも相まって、ミステリーをあまり読まないという人にもおすすめできますね。

 

 

▼クローズドサークルまとめ

【ネタバレあり】すでに読了した方へ

危険!ネタバレあり!

おもしろ文章ご紹介のコーナーです。

ネタバレ成分を多く含みます!

今後読む予定の方は見ちゃダメーッ!おもしろさが激減するんだぜ!

ネタバレあり!読了済の人だけクリックorタップしてね

そもそも、あの巨大な螺旋階段に転がった墜落死体に説明がつかない限りは、事件解決はおぼつかない。だが、果たしてどんな説明が可能だろうか。死体は動かされている。もちろんそうだ。では、誰がなんの理由で? 判らない。おまけに、墜落死体があるのに墜落現場が見当たらない。『館島』kindle版、位置No. 163

いいですねえ!矢継ぎ早に「謎」が提示されると、いかにもミステリーの序盤を読んでいる!という感じがして。

この謎をがんばって解こうと推理するのが楽しいんですよ!

 

しかし隆行の叫びは、悲鳴に似た盛大なブレーキ音とブレーキ音に似た盛大な悲鳴によって掻き消された。『館島』kindle版、位置No. 399

二台の車がすんでのところで正面衝突を回避。

間にいた女性が悲鳴を上げるシーンです。

文章がふざけすぎていますね(笑)

重厚な本格ミステリーではなかなか見られないユーモアあふれる表現に笑いました。

この小説は終始こんな感じです。まさに好き嫌いがはっきり分かれそうですね。

 

自動ドアの先に延びる二メートルばかりの短い通路。沙樹は不満げに足を止めた。

「この短い廊下は、どういう意味があるというのかしら? 六角形の建物、台形の部屋、ドーナツ形の廊下、その中心に螺旋階段――それだけでいいように思えるけど」

『館島』kindle版、位置No. 842

こんな感じで伏線らしきものがかなり主張してくるんですよね。

ここだけだとどういうトリックかまではわからないですが、建物の構造にいかにも何か秘密がありそうというところまではイヤでも感じられます。

本作は、このあからさまさを楽しめるかどうか、ですね!

 

「船が出ないそうなんだよ。嵐のせいで」

『館島』kindle版、位置No. 1805

クローズドサークルものでは、「橋」といえば落ちるものだし、「船」といえば出ないものですよね(笑)

嵐のせいでね!

 

常軌を逸した殺人鬼の仕業でもない限り、殺人という殺人にはすべて動機がある。どれほど不思議に思える事件においても、このことだけは変わらない真実といっていいわ。それをついつい忘れて、現象面の不思議さにばかり目を奪われてしまうのは、愚の骨頂。犯人の思う壺よ。密室だの、謎の墜落だのと、無邪気に騒ぎ立てて面白がるなんていうのは、ズバリ三流探偵のやり方だわ。

『館島』kindle版、位置No. 2490

沙樹の名言。

決めるときは決める、いいキャラクターですね。

そして私はズハリ三流探偵レベルだった!ウエ~ン(笑)

だっておもしろいじゃない!

終わりに

本作『館島』のいいところはなんといっても「読みやすさ」にあります。

普段は重いミステリーを読んでいるという人も、たまには息抜きにこういう作品もおもしろいかもしれませんよ!

トリックもおもしろいですしね。

本記事を読んで、東川篤哉さんのミステリー小説『館島』がおもしろそうだと思いましたら、ぜひ手に取って読んでみてくださいね!

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

つみれ

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