こんにちは、つみれです。
このたび、麻耶雄嵩さんの本格ミステリー小説『螢』を読みました。
一見、正統派のクローズドサークルもののように思わせておきながら、いかにも人を食ったようなトリックが仕掛けられています。
読む人を選びそうな邪道ミステリーである本作について、感想を書いていきます。
ネタバレ感想は折りたたんでありますので、未読の場合は開かないようご注意ください。
作品情報
書名:螢 (幻冬舎文庫)
著者:麻耶雄嵩
出版:幻冬舎 (2007/10/4)
頁数:438ページ
スポンサーリンク
目次
ネタバレ厳禁のクローズドサークル
私が読んだ動機
インターネットでおもしろそうなミステリーを探していて見つけました。
こんな人におすすめ
- クローズドサークルものが好き
- ミスリードの粋を味わいたい
- 「邪道」のミステリーを読みたい
1998年度「本格ミステリ・ベスト10」で第1位に選ばれた作品です。
本作は一言でいうと嵐の山荘ものです。
新本格ミステリー好きであれば、聞くだけで涎を垂らしてしまうような響きを持っている魔性のワードですね。
舞台は京都の山間部に位置する黒レンガのお屋敷「ファイアフライ館」。
実は10年前に6人もの演奏家が殺害され、さらに1人が失踪するという凄惨な事件が起きていたいわくつきの館なのです。
ここにとある大学のオカルトサークルの学生たちが合宿にきたところ、豪雨で外界との交通および連絡が遮断され、孤立した状況のなか殺人事件が起こります。最高かよ。
また、このオカルトサークルのメンバーたちも若干ギスギスしていたり、怪しげな人間が混じっていたりと、この手の小説としてはありがちな設定。
気持ちいいほどの正統派!いやが上にも期待が高まるというものです。ええ、涎が止まりません、止まりませんともッ!
二人の探偵役
私は新本格ミステリーを読むとき、最初の犠牲者は誰かな、と結構楽しく想像しながら読むのですが(悪趣味)、この小説に関してはもうコイツしかいないだろうと思っていた人物がいます。
それが、島原駿策です。生意気でほかの人物の発言にいちいちケチをつけなければ気が済まない性格。ああ、こういう人物は真っ先に死にますね、間違いないですねと思っていたのです。
フタを開けてみたら、彼が探偵役でした。島原さんすみません。(目次にも書いてあったね・・・)
さらに言うと、サークル内には彼ともう一人探偵役がいて、内部犯説と外部犯説とを戦わせるという展開になっていきます。おもしろいですね。
クローズドサークルものでは定番の、内部犯がいるかもしれないという不気味さ、グループ内のギクシャクした感じはいつ読んでもいいですね。ぞくぞくします。
自分が当事者だったら最高に嫌ですが。
スポンサーリンク
ネタバレ厳禁!二つの大きなトリック
ネタバレなしということになると、大きなトリックが二つ仕掛けられていますとしか言えません。
この部分が麻耶雄嵩『螢』の最大の醍醐味ということになるでしょう。
大きなトリックのうち片方は、ある程度ミステリーに親しんできた人であればピンとくるタイプのもの。
私もここまでは看破できました。
もう一つがすばらしいです。
私は完敗でしたね!「本格ミステリ・ベスト10」の第1位の称号は伊達ではありません。
この二つのトリックに関しては、ネタバレ厳禁です。
ぜひ情報を仕入れる前に読んで、衝撃を味わってもらいたいですね。
※電子書籍ストアebookjapanへ移動します
▼クローズドサークルまとめ
【ネタバレ感想】すでに読了した方へ
危険!ネタバレあり!完全なるネタバレとなります。
今後読む予定の方は絶対に見ちゃダメ!おもしろさが激減します。
おわりに
クローズドサークルものというのは、雰囲気を味わうだけでもある程度満足できてしまうのですが、本作はトリックも最高でした。
こういう仕掛け方もあるのか!という感動はそうそう得られるものではありません。
まさに「珍味」、いい読書でした。
実は初めての麻耶作品でしたので、他の作品も読んでみようと思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
つみれ
スポンサーリンク
この記事へのコメントはありません。