2021年本屋大賞

読書まとめ

  (最終更新日:2021.07.24)

【2021年】本屋大賞ノミネート作まとめ!

こんにちは、つみれです。

2021年本屋大賞ノミネート作の10作全てを読み終えましたので、各作品を振り返ってまとめたいと思います。

本屋大賞とは「書店員の投票でその年に最も売りたい本を決める」文学賞です。

それではさっそく書いていきます。

※2021年4月15日追記

2021年本屋大賞は、町田(マチダ)そのこさんの『52ヘルツのクジラたち』が受賞しました。

おめでとうございます!

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2021年本屋大賞まとめ!

2021年本屋大賞ノミネート作読了作品まとめ

大賞:『52ヘルツのクジラたち』/町田そのこ

2021年本屋大賞受賞作は、町田(マチダ)そのこさんの長編小説『52ヘルツのクジラたち』です。

虐待を受けていた過去を持つ女性・三島貴瑚(ミシマキコ)が、現在進行形で虐待を受けている少年を助けていく物語です。

<あらすじ・作品説明>

家族から虐待を受けた経験を持つ三島貴瑚は、大分の海沿いの田舎町で暮らしはじめる。

 

ところが、貴瑚は引っ越し先の町で虐待の跡が認められる一人の少年と出会う。

 

孤独の痛みを知る者として、貴瑚は少年の心の叫びに耳を傾けていく。

こんな人におすすめ!
  • 現代社会の問題をテーマにした物語を読みたい
  • 読後感の良い物語が好き
  • 九州が舞台の小説を読みたい

「52ヘルツのクジラ」とは、鳴き声の周波数が他のクジラとは異なっていて自分の意思を仲間に伝えることのできない孤独なクジラのこと。

人間社会でも52ヘルツの声を人知れず上げている人は多くいるはずで、その声をしっかりと受け止められる存在「魂の(ツガイ)」が一人でも現れれば、それが救いにつながっていくという優しいメッセージが込められた一冊です。

▼関連記事

作品情報
書名:52ヘルツのクジラたち

著者:町田そのこ
出版:中央公論新社(2020/4/21)
頁数:272ページ

2位:『お探し物は図書室まで』/青山美智子

本探しサービスで人生が好転する

2021年本屋大賞2位の作品は、青山美智子(アオヤマミチコ)さんの連作短編集『お探し物は図書室まで』です。

図書室のレファレンス(資料を探してくれるサービス)で人生が少しだけいい方向に向かっていく人たちの物語を描いた連作短編集です。

<あらすじ・作品説明>

人生に行き詰まっている人たちが小さな図書室の司書から教えてもらった一冊の本の力で元気づけられる。

 

図書室を訪れるのは下記の人たち。

  • 婦人服販売員
  • 家具メーカー経理部員
  • 元雑誌編集者
  • ニート
  • 定年退職直後の元仕事人間

等身大の悩みを抱える彼らの人生が少しだけ好転する瞬間を描いた5つの物語を収録。

こんな人におすすめ!
  • 心温まる物語を読みたい
  • 本がテーマの小説が好き
  • 長編よりも短編が好き
  • 読後感の良い物語が好き

人生につまづいている人たちが図書館司書の紹介で一冊の本に出会い、悩みが解決に向かっていきます。

この流れが「お決まりのパターン」になっていて、読み進めるほどにこの展開自体がクセになる、そんな作品となっています。

▼関連記事

作品情報
書名:お探し物は図書室まで

著者:青山美恵子
出版:ポプラ社(2020/11/11)
頁数:304ページ

3位:『犬がいた季節』/伊吹有喜

6つの時代の高校生の青春を描く

2021年本屋大賞3位の作品は、伊吹有喜(イブキユキ)さんの連作短編集『犬がいた季節』です。

とある高校に迷い込んだ子犬「コーシロー」の存在を軸に、高校生たちの青春を描いた連作短編です。

<あらすじ・作品説明>

とある高校に迷い込んだ子犬は「コーシロー」と名付けられ、そのまま飼われることになる。

 

以来12年間を高校で過ごしたコーシローは、その間、何人もの卒業生を見送る。

 

昭和、平成、令和の各時代の高校生の青春模様を描く一冊。

こんな人におすすめ!
  • 高校生の青春物語が読みたい
  • 犬が好き
  • 連作短編が読みたい
  • 読後感の良い物語が好き

同時代の高校生たちの姿を描いているのでなく、六つの異なる時代の高校生たちと時代を経るごとに少しずつ年を取っていくコーシローとの交流が描かれた作品です。

昭和、平成、令和の3時代の高校生を描いていますが、時代は変わっても高校生の青春物語は変わらないということを改めて感じさせてくれる一冊となっています。

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作品情報
書名:犬がいた季節

著者:伊吹有喜
出版:双葉社(2020/10/15)
頁数:352ページ

4位:『逆ソクラテス』/伊坂幸太郎

先入観をぶっ壊せ

2021年本屋大賞4位の作品は、伊坂幸太郎(イサカコウタロウ)さんの連作短編集『逆ソクラテス』です。

収録作5編とも小学生、特にクラスやチームでも目立たない子に焦点を当てた一冊となっています。

<あらすじ・作品説明>

目立たないことは悪いことなのか。

 

活躍できない者は侮られるべき存在なのか。

 

先入観に支配された凝り固まった考え方をやっつけろ。

 

地味で目立たない存在に着目した痛快作5編を収録。

こんな人におすすめ!
  • 目立たない存在に焦点が当たる痛快作を読みたい
  • とんちの効いた物語が好き
  • 小学生時代を懐かしみたい
  • 伊坂幸太郎独特のセリフ回し(伊坂節)を味わいたい

えこひいきをする教師・いじめっ子・授業妨害をする児童などを仮想敵に据えながら、真の敵を「決めつけ・先入観」に見定め、目立たない子が大逆転を成し遂げていく痛快さがウリの一冊です。

伊坂幸太郎さんの独特のセリフ回しも健在で、最初の1ページ目から「伊坂節」が炸裂しています。

▼関連記事

作品情報
書名:逆ソクラテス

著者:伊坂幸太郎
出版:集英社(2020/4/24)
頁数:288ページ

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5位:『自転しながら公転する』/山本文緒

幸せを追求して悩む女性を描く

2021年本屋大賞5位の作品は、山本文緒(ヤマモトフミオ)さんの長編小説『自転しながら公転する』。

東京の仕事を辞めて地元に戻ってきた主人公の与野都(ヨノミヤコ)が、様々な立場の人とかかわりあいながら自分の幸せを追求していく物語です。

<あらすじ・作品説明>

東京で働いていた与野都はとある事情から実家に帰り、地元のモールのアパレルショップ店員として働き始める。

 

都は仕事・恋愛・結婚・家族のことなど様々な問題を抱える。

 

いろいろな立場の人と関わりあっていくなかで、都は幸せとは何かを考えていく。

こんな人におすすめ!
  • 「幸せ」がテーマの小説を読みたい
  • 等身大の悩みを持つキャラクターが好き
  • いろいろな考え方の登場人物を味わいたい

『自転しながら公転する』にはいろいろなタイプのキャラクターが登場し、その一人ひとりが幸せに対する美学を持っています。

彼らの行動や考え方に多大な影響を受けながら、自分なりの「幸せの落としどころ」を模索していく都の行く先に強烈な興味を覚えた一冊でしたね。

▼関連記事

作品情報
書名:自転しながら公転する

著者:山本文緒
出版:新潮社(2020/9/28)
頁数:480ページ

6位:『八月の銀の雪』/伊与原新

2021年本屋大賞6位の作品は、伊与原新(イヨハラシン)さんの短編集『八月の銀の雪』です。

収録の5編は、心がじんわりとあたたかくなるような優しい物語となっています。

<あらすじ・作品説明>

何かしらの悩みを抱えている主人公が科学の不思議さに感化され、心の傷を癒していく短編5編を収録。

  • 就活連敗中の主人公が、自宅近くのコンビニで働く「使えない」と侮っていたはずの外国人アルバイトの語りだす「地球の内部の話」に影響される表題作「八月の銀の雪」
  • 育児に疲れた主人公が、意外なところで出会った博物館勤務の女性から聞かされた「深海の物語」に後押しされる「海へ還る日」
  • 夢破れた主人公が、勤務する不動産会社の業務中に「伝書バトの話」を聞き、日頃の鬱屈から解き放たれる「アルノーと檸檬(レモン)
  • 「女性は女性らしく」という風潮に疲れていた主人公が、「珪藻アート」に夢中の男性と出会い、次第にその魅力に惹かれていく玻璃(ハリ)を拾う」
  • 勤め先に失望した主人公が会社を辞め、その傷心旅行の途中で「凧あげ」している男性から太平洋戦時のとある話を聞いて再出発を決心する「十万年の西風」

5編とも、読後にじんわりと心があたたかくなるような優しい読み心地が魅力の短編集。

こんな人におすすめ!
  • じんわりと心があたたかくなるような短編が読みたい
  • 普通の人たちの再生の物語、再出発の物語が好き
  • 陰鬱な物語・殺伐な物語に疲れてしまった

作者の伊与原さんは以前に大学の理学部助教として働いていたことがあるそうで、本作の各編を彩る多岐にわたる自然科学的要素はその面影を濃厚に残しています。

まさに「人間ドラマ」と「自然科学」を融合させためずらしい作風。

表題作「八月の銀の雪」、「玻璃を拾う」の2編が特によかったです。

▼関連記事

作品情報
書名:八月の銀の雪

著者:伊与原新
出版:新潮社(2020/10/20)
頁数:255ページ

7位:『滅びの前のシャングリラ』/凪良ゆう

2021年本屋大賞7位の作品は、凪良(ナギラ)ゆうさんの連作短編『滅びの前のシャングリラ』です。

一ヶ月後に小惑星が地球に衝突すると宣告され全世界がパニックに陥るなか、主人公の4人が生きることの意味を再確認する物語です。

<あらすじ・作品説明>

一ヶ月後に小惑星が地球に衝突する。

 

そのニュースが駆け巡ると、世界は急速に荒廃していく。

 

「普通」の世の中に生きづらさを感じていた4人は、世界のタイムリミットが決まった世界を生きるうちに少しずつ変わっていく。

こんな人におすすめ!
  • 世界の終末を描いた小説が読みたい
  • 家族の物語が読みたい
  • バイオレンスな世界観が好き

長いスパンで見積もっていたはずの自分の人生をあと一ヶ月でこなさなくてはならないとわかった時、人は残りの一ヶ月をどのように生きるのか、という究極の問いかけに挑戦した一作。

世界の終わりの間際の様子を描いている作品である以上、ハードでバイオレンスな描写が多く、読む人やタイミングを選ぶ部分はあると思いますが、深く考えさせられる作品です。

▼関連記事

作品情報
書名:滅びの前のシャングリラ

著者:凪良ゆう
出版:中央公論新社(2020/10/8)
頁数:334ページ

8位:『オルタネート』/加藤シゲアキ

高校生専用のSNSアプリを軸に若者の葛藤と成長を描く

2021年本屋大賞8位の作品は、加藤シゲアキさんの青春小説『オルタネート』です。

「オルタネート」という高校生専用のSNSアプリを軸に、3人の若者の葛藤と成長を描いた作品となっています。

<あらすじ・作品説明>

高校生専用のSNSアプリ「オルタネート」が当たり前のように使われている現代を舞台に、3人の若者の青春が描かれる。

  • 料理コンテストで優勝を目指す新見蓉(ニイミイルル)の物語。
  • 「オルタネート」を信奉している伴凪津(バンナヅ)の物語。
  • 音楽を志して高校を中退した楤丘尚志(タラオカナオシ)の物語。

3人の主人公を描いた3つの物語が交錯する。

こんな人におすすめ!
  • 青春物語が読みたい
  • 複数の物語が並行で進行する小説が好き
  • SNS・マッチングアプリをテーマにした物語が読みたい

3人の主人公を物語の主軸に据え、3つのストーリーが交互に語られていく群像劇スタイルが特徴で、各物語が交差するシーンが楽しめたりとよく練り込まれた一作です。

また、マッチングアプリや、遺伝子情報による相性診断、LGBTなど、多様なテーマを物語中に組み込んでおり、現代社会に生きる一人の書き手としての加藤シゲアキさんの洞察に触れられる作品でもありました。

▼関連記事

作品情報
書名:オルタネート

著者:加藤シゲアキ
出版:新潮社(2020/11/19)
頁数:384ページ

9位:『推し、燃ゆ』/宇佐見りん

「推し」の存在は人生を豊かにするか

2021年本屋大賞9位の作品は、宇佐見(ウサミ)りんさんの『推し、燃ゆ』です。

「推しを推す」という現代的なテーマを物語に落とし込んだ前衛的な作品です。

<あらすじ・作品説明>

女子高生の山下(ヤマシタ)あかりは、アイドルの上野真幸(ウエノマサキ)を「解釈」することに全力を傾けていた。

 

あかりにとって、上野は「推し」だ。

 

ある日、その推しがファンを殴ってしまい炎上する。

 

あかりの「背骨」であった推しの立場の揺らぎに、彼女は何を思うのか。

こんな人におすすめ!
  • 「推し」がいる
  • 「推しを推す」ことがどういうことが知りたい
  • 芥川賞受賞作を読みたい

「推し」が不祥事によって炎上してしまったことで、主人公の女子高生山下あかりの内面が揺らいでいく様子を淡々と描く一作です。

推しがいる人といない人とで読んだあとの感想が大きく変わってきそうな、まさに賛否両論ありそうな作品でした。

また、第164回芥川賞の受賞作でもあります。

▼関連記事

作品情報
書名:推し、燃ゆ

著者:宇佐見りん
出版:河出書房新社(2020/9/11)
頁数:128ページ

10位:『この本を盗む者は』/深緑野分

2021年本屋大賞10位の作品は、深緑野分(フカミドリノワキ)さんの連作短編『この本を盗む者は』。

「本の町」読長町(ヨムナガマチ)の景観や住人たちが物語世界に置き換わってしまう事件が連続して発生するファンタジー作品です。

<あらすじ・作品説明>

本の町「読長町」にある巨大な書庫「御倉館(ミクラカン)」の管理人を父に持つ御倉深冬(ミクラミフユ)は本が嫌いな高校生。

 

ある日、御倉館の蔵書の一冊が盗まれてしまう。

 

すると、町はみるみるうちに盗まれた本の物語世界へと変貌する。

 

深冬は町を元に戻すため、本泥棒を捕まえようと奮闘する。

こんな人におすすめ!
  • ファンタジーが好き
  • 先が読めない展開が好み
  • 本の中の世界に憧れる

本の世界に入り込んでしまう特殊なファンタジー設定が醍醐味の一冊です。

本の世界に現実が侵食されるという物語の特性上、連作短編でありながらいろいろな雰囲気の短編が楽しめるのがおもしろいですね。

一方、「なんでもあり」の展開も目立つので、読む人を選ぶクセのある一作という印象がとても強いです。

▼関連記事

作品情報
書名:この本を盗む者は

著者:深緑野分
出版:KADOKAWA(2020/10/8)
頁数:344ページ

終わりに

2021年本屋大賞ノミネート作品を全部読んで簡単にまとめてみました。

本記事を読んで、受賞作や他のノミネート作品に興味を持たれましたら、ぜひ手に取って読んでみてくださいね。

また、各作品の個別記事も書いていますので、詳細を知りたい場合はそちらも読んでいただけると嬉しいです!

ちなみに2021年本屋大賞ノミネート作のなかで個人的にお気に入りの作品は山本文緒さんの『自転しながら公転する』です。

最後までお読みくださり、ありがとうございます。

つみれ

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