こんにちは、つみれです。
Twitterに「名刺代わりの小説10選」というすばらしいハッシュタグがあり、私もつねづねまとめてみたいと思っていました。
こういうのは選者の個性が出て、見ているだけでもおもしろいですよね。
というわけで、私の「名刺代わりの小説10選」をお受け取りください。
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目次
つみれの「名刺代わりの小説10選」!
『国盗り物語』/司馬遼太郎
名刺代わりの小説1作目は司馬遼太郎さんの歴史小説『国盗り物語』です。
文庫本全4巻の長編で、前2巻は「美濃のマムシ」斎藤道三を、後2巻は織田信長を主人公に据え、激動の戦国時代をダイナミックに描き取った一作です。
とくに後半部は、織田信長と明智光秀のいびつな関係に深く切り込んでいて、実質、光秀は三人目の主人公と言ってもいいほど魅力的な人物として描かれています。
あくまで歴史上の人物を教科書的な記号としか捉えていなかった私にとって、生き生きと躍動する斎藤道三や織田信長の姿はあまりに新鮮で魅力的でした。
私が読書をするようになったきっかけの作品でもあり、特に思い入れの深い作品です。
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『三国志』/吉川英治
名刺代わりの小説2作目は吉川英治さんの歴史小説『三国志』。
三国志歴25年を誇る私はとにかく三国志が大好きで、これまでにいろいろな三国志小説を読んできました。
そのなかでもやはり一番おもしろいのが吉川英治さんの『三国志』です。
吉川三国志は日本の三国志人気の火付け役であり、まさにパイオニアにして完成形。
本作がその後の日本の三国志文化に与えた影響は計り知れません。
三国志の小説を読んでみたい場合には、まずこの作品を読んでおけば間違いないという王道の一作です。
『白夜行』/東野圭吾
名刺代わりの小説3作目は東野圭吾さんの長編ミステリー『白夜行』。
大学時代に大ハマりしていた東野圭吾作品のなかでも一番好きなのがこの『白夜行』です。
いくつか東野作品を読んで「推理小説っておもしろいものだなあ」とミステリー熱が盛り上がるなかで出会ったのが本作なのですが、このおもしろさは別格でしたね。
本作のメインキャラ「桐原亮司」と「西本雪穂」は破滅的な犯罪をいくつも繰り返すのですが、証拠は一切残しません。
彼ら二人の接点や心理が一切描かれておらず、他の登場人物視点の描写からそれらを推し量るしかないところに本作のおもしろさと不気味さがあります。
850ページの大長編であるにもかかわらず一気に読ませてしまうリーダビリティの高さもポイントです。
『スロウハイツの神様』/辻村深月
名刺代わりの小説4作目は辻村深月さんの青春小説『スロウハイツの神様』です。
社会人になってしばらく読書から離れていたときに、私を読書の世界に引き戻した作家の一人が辻村深月さん。
辻村さんの作品はとにかく若者の心理描写が鋭くていいんですよ。
彼女の作品のなかで一番好きなのが『スロウハイツの神様』です。
辻村作品の特徴といえば、下記の二つ。
- 序盤・中盤では抑制を強めにきかせ、終盤で一気に爽快感あふれる展開にもっていくカタルシス
- 丁寧に張られた数々の伏線が後半で一気に回収される巧みさ
本作はこれらの特徴が非常に強く出ていて、初期辻村作品でありながらまさに辻村さんの代表作といった貫禄があります。
若者たちの爽やかな青春物語を読みたいときはおすすめの一作です。
『砂漠』/伊坂幸太郎
名刺代わりの小説5作目は伊坂幸太郎さんの青春小説『砂漠』です。
東野圭吾さんと並んで私の大学時代の読書生活を彩ったのが伊坂幸太郎さん。
鋭い感性から生まれる若干くどい比喩表現や、「伊坂節」と呼ばれる独特の語り口が特徴です。
『砂漠』のいいところは大学生のキラキラ輝くキャンパスライフ。
私も遥か昔の学生時代を懐かしみながら読むのですが、彼らの学生生活があまりに楽しそうでついつい羨んでしまうんですよね。
超能力が出てきたり、ちょっとショッキングなできごとがあったりと飽きさせない工夫も随所に凝らされています。
本作はキャラもとてもよくて、特に主人公の仲間たちがみんなめちゃくちゃ魅力的なんですよ。
特に本作を読んだ人に必ず強烈な印象を残す西嶋のキャラが最高です。
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『十角館の殺人』/綾辻行人
名刺代わりの小説6作目は綾辻行人さんの本格ミステリー小説『十角館の殺人』。
言わずと知れた国内クローズドサークル作品の金字塔ですね。
「本格ミステリーなんか古臭い!」と本格ミステリーというジャンル自体を軽視していた私の脳天にすさまじい衝撃を与えた一冊です。
私のミステリーの嗜好を180度変えてしまった罪深い作品で、本作を読んでから新本格ミステリーをむさぼるように読みましたね。
ネタバレなしをモットーとする当ブログとしてはこれ以上言及することができず歯がゆいのですが、まさに私の読書ライフを変えた究極の一冊です。
舞台設定・トリックの見事さは言うに及ばず、キャラクターの魅力と存在感は数ある新本格ミステリーのなかでも頭一つ抜けている感があります。
私はエラリイというキャラが大好きでした。
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『図書館の魔女』/高田大介
名刺代わりの小説7作目は高田大介さんのファンタジー『図書館の魔女』です。
合理的でロジカルな物語を好む私にとって、ファンタジーはいわば鬼門。
そんな私のなかの「ファンタジーの定義」を根底から揺るがしたのが本作です。
基本はファンタジーでありながら、ときにミステリー、ときに国家間の綱引き、ときにバトルものというように、めまぐるしく展開していくストーリーが魅力。
主人公のキリヒトとマツリカの「ボーイミーツガールもの」としても非常に完成度が高く見どころ満載です。
まさに一つのジャンルでは括りきれない多彩なおもしろさを提供してくれる一作ですね。
また、言語学者でもある高田さんの文章レベルの高さも本作の大きな特徴の一つ。
少しクセのある文章なので慣れるまでに少し時間がかかりますが、味わうほどに旨みの出るすばらしい文章です。
本作は文庫4巻となかなかの長編です。
そのうえ、高田さん独特の持って回ったような言い回しに若干クセがあるのと、序盤の物語に大きな動きが少ないのとで、第1巻だけ読んだところでは本作の魅力に気づけないかもしれません。
それでもどうか第2巻まで読みすすめてみてください。
いつの間にか『図書館の魔女』の世界の虜になっているはずです。
『まほり』/高田大介
名刺代わりの小説8作目は、高田大介さんのミステリー小説『まほり』。
『図書館の魔女』に続いて高田作品2作目の選出となります。
本当は同じ作者からの選出は避けたかったのですが、二作で作風が大きく異なるのと、どちらもおもしろすぎて外せなかったんですよね。
『図書館の魔女』は精緻に構築された世界観が魅力のファンタジーでしたが、『まほり』は一転してミステリーです。
それも田舎の風習や伝承に着目した「民俗学」ミステリーということで、これは少し珍しいですね。
「二十丸が書かれた紙がそこらじゅうに貼られている村落」という少し不気味な謎。
そこから発展していく少しぞくりとくる展開に目が離せず、一気読み必至の一作です。
作者の高田さんのハイレベルな文章表現やその博覧強記っぷりがわかる数々の挿話も魅力的ですね。
とりわけすさまじいのがガチの史料読解を物語に組み込んでいる点。
思わず「教科書かよ!」とツッコんでしまいたくなるワンシーンですが、これも含めてアカデミックな魅力にあふれたミステリーです。
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『medium 霊媒探偵城塚翡翠』/相沢沙呼
名刺代わりの小説9作目は相沢沙呼さんのミステリー小説『medium 霊媒探偵城塚翡翠』です。
2019年、私の周りのミステリー好きを騒がせた話題の一作がこの『medium』。
『medium』は「死者の言葉を伝えることができる」霊媒探偵が登場する特殊設定ミステリーです。
本作のおもしろいところは、霊媒能力によって知り得た情報には「証拠能力がない」というところ。
死者の言葉をいくら代弁したところで説得力がないですよね。
当然これだけでは周囲を納得させることができないので、真相から逆算してこじつけ的に事件の全貌を組み立てていくことになります。
この「辻褄合わせ的な謎解き」が本作の醍醐味と言っていいでしょう。
本作はネタバレ厳禁の作品ですので、未読の場合はできるだけ事前情報を仕入れずに読むことをおすすめします。
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『嫌われる勇気』/岸見一郎・古賀史健
名刺代わりの小説10作目は岸見一郎さんと古賀史健さんの共著『嫌われる勇気』です。
厳密にいうと小説ではないかもしれませんが、小説的に読んでも楽しめるので入れちゃいますよ。
本作は理解の難しい「アドラー心理学」を対話形式でわかりやすく説明した一冊です。
とにかくこの「対話形式」というのが秀逸で、老人と青年の会話を横から聞く形で自然とアドラー心理学について学べるつくりになっています。
青年が読者の疑問を代弁してくれるので極めて理解しやすいのがポイント。
「ん?どういうことだろう」と読者が疑問に思う箇所にさしかかると、青年が「待ってました!」とばかりに老人に会心の質問を浴びせかけます。
このテンポの良さが読んでいて心地いいんです。
私は本作で知った「課題の分離」という考え方が大好きで、もはや生きる道標ともいえる一冊となりましたね。
正直、この考え方を知れただけでも本作を読んだ価値があったと思っています。
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終わりに
以上、本ブログを書いているつみれの「名刺代わりの小説10選」をまとめました。
いずれの作品も私が自信を持っておすすめできる傑作揃いです。
興味があればぜひ手に取って読んでみてくださいね!
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
つみれ
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