こんにちは、つみれです。
第166回直木賞候補(2021年下半期)5作を選考会までに全部読むチャレンジを行いました。
候補の5作品を読み終えましたので、各作品をまとめたいと思います。
対象の作品は下記5作です。
- 『同志少女よ、敵を撃て』/逢坂冬馬
- 『新しい星』/彩瀬まる
- 『塞王の楯』/今村翔吾
- 『ミカエルの鼓動』/柚月裕子
- 『黒牢城』/米澤穂信
それではさっそく書いていきます。
※2022年1月19日追記
第166回直木賞は、今村翔吾さんの『塞王の楯』と、米澤穂信さんの『黒牢城』の2作が受賞しました。
おめでとうございます!
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目次
第166回直木賞候補5作まとめ!
『同志少女よ、敵を撃て』/逢坂冬馬
第166回直木賞候補の1作目は、逢坂冬馬さんの戦争文学小説『同志少女よ、敵を撃て』。
突如襲来したドイツ軍により故郷を喪ったソ連の少女セラフィマが狙撃兵となり、復讐を胸に独ソ戦を戦い抜いていく物語です。
- 戦争文学小説を読みたい
- 第二次世界大戦、特に独ソ戦に興味がある
- 狙撃兵が活躍する物語を読みたい
本作は、もともとは狩りをしながら平和に暮らしていた少女セラフィマが、狙撃兵として仲間とともに戦う戦争文学小説です。
普通の少女が悲惨な経験・厳しい訓練を経て身も心も狙撃手に変わっていく過程や、緊迫感あふれる狙撃シーンが見どころ。
私は第二次世界大戦や独ソ戦について全く詳しくありませんでしたが、本作は記述も簡潔でわかりやすくて良かったです。
個人的にすこし独ソ戦に興味が出てくるくらいにのめり込みました。
▼『同志少女よ、敵を撃て』詳細記事
作品情報
書名:同志少女よ、敵を撃て
著者:逢坂冬馬
出版:早川書房
頁数:496ページ
『新しい星』/彩瀬まる
第166回直木賞候補の2作目は、彩瀬まるさんの連作短編『新しい星』。
学生時代に合気道部の仲間だった4人の男女が、30代にさしかかって再会し、ほどよい距離感の友情を復活させる連作短編です。
- 30代男女の友情の物語を読みたい
- 落ち着いた話が好き
- 読後感のスッキリした物語が好き
本作に登場する4人のメインキャラは、みんなさまざまな悩みを抱えています。
そんな4人が、学生時代ぶりに再会し、穏やかな交流を復活させるうちに少しずつ自分の悩みに向き合う力を得ていく、そんな物語となっています。
とにかくすばらしいのが、仲間4人の距離感!
近すぎて煩わしかったり、逆に遠すぎて心の支えにならなかったりということがなく、絶妙に心地よい4人の関係性を味わってほしい一冊です。
読後感がとてもすっきりしていて「読んで良かった~!」となるような小説でした。
▼『新しい星』詳細記事
作品情報
書名:新しい星
著者:彩瀬まる
出版:文藝春秋
頁数:232ページ
『塞王の楯』/今村翔吾
第166回直木賞候補の3作目は、今村翔吾さんの歴史小説『塞王の楯』。
関ヶ原の戦いの前哨戦「大津城の戦い」を舞台に「最強の楯」石垣と「至高の矛」鉄砲がぶつかり合うユニークな戦国小説です。
- 歴史小説が好き
- 戦国時代に興味がある
- 少年マンガ的でライトな歴史小説を読みたい
- 石垣が好き
石垣職人集団「穴太衆」に所属する飛田匡介は、「最強の楯」と呼ばれるほどの石垣造りの腕を買われて大津城主・京極高次に石垣改修の依頼を受けます。
いざ大津城が敵に攻め込まれると、敵軍には「至高の矛」と評判の鉄砲職人・国友彦九郎が付いていました。
「絶対に破れない楯」たる石垣と「絶対に破る矛」たる鉄砲の、手に汗握る矛盾対決についつい惹きこまれてしまいます。
物語の展開もさることながら、登場キャラクターも非常に少年マンガ的な魅力を備えており、歴史小説が苦手な人でも楽しめる一冊です。
▼『塞王の楯』詳細記事
作品情報
書名:塞王の楯
著者:今村翔吾
出版:集英社
頁数:560ページ
『ミカエルの鼓動』/柚月裕子
第166回直木賞候補の4作目は、柚月裕子さんの医療ミステリー小説『ミカエルの鼓動』。
最先端の医療用ロボット「ミカエル」を使用した心臓手術の是非を問う、権謀渦巻く医療ミステリーです。
- 医療ミステリーが好き
- ライバル同士の確執の物語を読みたい
- 主人公の葛藤が描かれる小説が読みたい
- 病院内の権謀術数渦巻く話が好き
医師・西條泰己は医療用ロボット「ミカエル」による最先端手術の名手で、彼が勤務する大学病院でも将来を嘱望されるほどの腕の持ち主です。
ところがロボットを使用しない従来の外科手術を脅威的なスピードで行うことができる天才医師・真木一義が西條の前に現れます。
突然のライバルの出現に激しく心乱される西條。
さらに「ミカエル」に関する不穏な噂が西條の周囲で囁かれ始めます。
現代医療の在り方を問うような、非常に考えさせられる展開が魅力の一冊です。
▼『ミカエルの鼓動』詳細記事
作品情報
書名:ミカエルの鼓動
著者:柚月裕子
出版:文藝春秋
頁数:472ページ
『黒牢城』/米澤穂信
第166回直木賞候補の5作目は、米澤穂信さんのミステリー歴史小説『黒牢城』。
戦国武将の荒木村重が籠城中に直面する事件の謎を、敵将の黒田官兵衛が牢のなかから解き明かしていく一風変わった安楽椅子探偵ミステリーです。
- 戦国時代を舞台にしたミステリーが読みたい
- 戦国武将「荒木村重」「黒田官兵衛」が好き
- 「安楽椅子探偵」もののミステリーが好き
本作のすごいところは歴史小説的な舞台に本格ミステリー的な謎解き要素を取り入れた点。
そしてなんといっても戦国時代きっての謀将・黒田官兵衛の扱い方のオリジナリティです。
織田信長に対し謀反を起こした荒木村重を翻意させるため、黒田官兵衛は単身で村重の居城・有岡城を訪ねます。
しかし村重はその説得に応じなかったばかりか、官兵衛を捕らえ城内地下の土牢に幽閉してしまいます。
この史実を利用し、牢のなかにいる黒田官兵衛を「安楽椅子探偵」に見立てて、有岡城中の荒木村重が直面する謎を解かせてみせたのが本作です。
歴史小説とミステリー小説をキワモノ的にくっつけたのでなく、まったく違和感を感じさせないレベルで両ジャンルをかけ合わせているバランス感覚が見事!
歴史小説としてもミステリー小説としても大変に完成度が高いおすすめの一冊ですよ。
▼『黒牢城』詳細記事
作品情報
書名:黒牢城
著者:米澤穂信
出版:KADOKAWA(2021/6/2)
頁数:448ページ
終わりに
第166回直木賞の候補作を選考会までに全部読み終えました。
本記事を読んで、第166回直木賞候補に興味を持たれましたら、ぜひ手に取って読んでみてください。
また、各作品の個別記事も書いていますので、詳細を知りたい場合はそちらも読んでいただけると嬉しいです!
最後までお読みくださり、ありがとうございます。