同志少女よ、敵を撃て

歴史

  (最終更新日:2022.04.29)

【感想】『同志少女よ、敵を撃て』/逢坂冬馬:戦争ですべてを失った少女の復讐譚!

こんにちは、つみれです。

このたび、逢坂冬馬(アイサカトウマ)さんの『同志少女よ、敵を撃て』を読みました。

 

故郷をドイツ軍によって滅ぼされたソ連の少女が狙撃兵となって独ソ戦を戦い抜いていく戦争文学小説です。

 

本作は第166回直木賞(2021年下半期)の候補作、2022年本屋大賞ノミネート作でもあります。

それでは、さっそく感想を書いていきます。

※2022年4月6日追記

2022年本屋大賞は、本作『同志少女よ、敵を撃て』が受賞しました。

逢坂冬馬さん、おめでとうございます!!

▼第166回直木賞候補作をまとめています。

>>【2021年下半期】第166回直木賞候補5作まとめ!

▼2022年本屋大賞ノミネート作をまとめています。

>>【2022年】本屋大賞ノミネート10作まとめ!

作品情報
書名:同志少女よ、敵を撃て

著者:逢坂冬馬
出版:早川書房(2021/11/17)
頁数:496ページ

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戦争ですべてを失った少女の復讐譚!

戦争ですべてを失った少女の復讐譚

私が読んだ動機

第166回直木賞(2021年下半期)候補作に選ばれたので読みました。

こんな人におすすめ

チェックポイント
  • 戦争文学小説を読みたい
  • 第二次世界大戦、特に独ソ戦に興味がある
  • 狙撃兵が活躍する物語を読みたい
  • 直木賞候補作を読みたい

あらすじ・作品説明

第二次世界大戦中のソ連・モスクワ近郊の村で狩りをしながら平和に暮らしていた少女セラフィマ。

 

彼女は突然村を襲撃してきたドイツ軍により家族や友人を失う。

 

セラフィマは母を殺したドイツ人狙撃手への復讐を誓い、狙撃訓練学校で厳しい訓練を受ける。

 

女性狙撃隊の一員となったセラフィマは、狙撃手として独ソ戦を戦い抜いていく。

復讐の物語

青い火の玉

 

本作は戦争によって人生を狂わされた少女の復讐譚です。

 

主人公はソ連・モスクワ近郊の村で狩りをしながら平和に暮らしていた少女・セラフィマ。

ある日、彼女の住んでいる村をドイツ軍が襲来します。

応戦しようとしたセラフィマの母はなんとドイツ軍狙撃兵によって射殺されてしまいます。

村を滅ぼされ悲嘆にくれるセラフィマの前に現れたのはソ連の元狙撃手の女性・イリーナ。

セラフィマはイリーナにスカウトされ、狙撃訓練学校で狙撃手として厳しい訓練を受けます。

訓練学校を卒業したセラフィマは、村を滅ぼしたドイツ、そして母を撃ったドイツ軍狙撃兵に対する復讐を期し、狙撃兵として独ソ戦の最前線を戦い抜いていくことになります。

同期狙撃兵の魅力

手を繋ぐ

前述の通り、セラフィマは狙撃訓練学校で狙撃兵としての厳しい訓練を受けます。

そこでセラフィマは、ともに独ソ戦を戦い抜いていくことになる同期の少女たちと出会います。

 

この同期の少女たちがみんなキャラが立っていていい味出しているんですよ。

 

登場する少女は下記の通り。

  • シャルロッタ:人形のように可憐だがモスクワ射撃大会優勝の実績を持つ
  • アヤ:カザフ人の猟師で天才的な射撃スキルを持つ
  • ヤーナ:イリーナの生徒のなかでは最年長で仲間からママと呼ばれる
  • オリガ:ウクライナ出身のコサック

彼女たちはみんなセラフィマと同じく、戦争で故郷や家族をなくした過去を持っていて、本作ではそれぞれが内に抱える復讐心などの内面も深く掘り下げられています。

戦争という特殊な世界を一緒に戦い抜いていくなかで形成される彼女らの歪な連帯意識にも注目です。

ちなみに、本作に登場する女性狙撃手は架空の人物が多いのですが、完全なフィクションではなく、実際にソ連軍には女性狙撃手がいたという史実を元にしているそうですよ。

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心の麻痺

枯れ木

本作に登場する女性狙撃手は、程度の差こそあれ、もともと戦争の最前線とは無関係の場所で生きてきました。

セラフィマももともとは狩りが得意なだけの普通の少女だったのです。

そんな彼女が、戦場で狙撃を繰り返すうちに、次第に人を殺すことに躊躇しなくなっていき、果てはそこに愉しみすら感じるまでになってしまいます。

戦争によって本来人間が持っている大事な部分が麻痺していくセラフィマたち。

彼女らは進んで狙撃手になることを望んだのでなく、戦争に巻き込まれる形でなし崩し的に人生を歪められていきます。

本作は「人間というものは戦争によって簡単に変わってしまう」ということを雄弁に語ってくれる作品です。

 

単純に「かわいそう」の一言では片づけられない複雑な気持ちになりましたね。

 

緊張感あふれる狙撃シーン

銃弾

本作の描写のなかでも注目すべきなのが、セラフィマたち少女狙撃手の狙撃シーン。

狙撃手を物語の主役に据えているだけあって、本作は狙撃シーンにかなり力を入れている印象があります。

戦争の最前線なので爆音が響いているはずなのに、ひとたび狙撃シーンにさしかかると世界が無音になる感じがするんです。

ミスすれば自身の発した射撃音で敵に自分の居場所を悟られてしまうため、ミスは絶対に許されない。

求められるのは一撃必殺の狙撃術。

本作でたびたび描かれる「研ぎ澄まされた狙撃シーン」は必読です。

また、敵狙撃手との互いに精神を削りあうような駆け引きの描写も緊迫感満点で読み応えがありましたね。

独ソ戦に興味がわいた

書棚

個人的に歴史小説を読むときに重視しているのは、その本を読んで「描かれている時代に興味がわくか」ということ。

私は第二次世界大戦や独ソ戦には全く詳しくありませんが、本作は戦争の背景などにもほどよく触れられていて、知らない世界を知る楽しさがありました。

とくに日本人である私にとっては、第二次世界大戦というとどうしても太平洋戦争のイメージが先行しがち。

独ソ戦を扱った物語は親しみがなかったので、「日本人が書いた独ソ戦の物語」という点に新鮮さを感じましたね。

 

本作は、第二次世界大戦や独ソ戦に興味を持つきっかけにもなり得る一冊だと思いました。

 

タイトルがいい

『同志少女よ、敵を撃て』の書影

『同志少女よ、敵を撃て』というタイトルも個人的にはなかなか好きです。

本作巻末に寄せられている選評では、ばっさりと「タイトルが平板」と書かれていますが、私は好きだよ!

「同志セラフィマ」のように、「同志」という言葉をつける社会主義風の呼びかけ方も、私はこの本を読むまで知らなかったんです。

あくまで私の感想ですが、けっこういいタイトルだと思いました。

『同志少女よ、敵を撃て』の素敵なつぶやき

『同志少女よ、敵を撃て』に関するTwitterのつぶやきのうち、参考になるものや素敵なものをご紹介します。

 

※電子書籍ストアebookjapanへ移動します

 

終わりに

『同志少女よ、敵を撃て』は、故郷をドイツ軍によって滅ぼされた少女・セラフィマが狙撃兵となって仲間とともに独ソ戦を戦い抜いていく戦争文学小説です。

 

普通の少女が悲惨な経験・厳しい訓練を経て身も心も狙撃手に変わっていく過程や、緊迫感あふれる狙撃シーンが見どころの一冊でした。

 

本記事を読んで、逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』がおもしろそうだと思いましたら、ぜひ手に取って読んでみてくださいね!

最後までお読みくださり、ありがとうございます。

つみれ

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