モルグ街の殺人

ミステリー、サスペンス

  (最終更新日:2021.07.24)

【感想】『モルグ街の殺人』/ポー:世界初のミステリー小説!

こんにちは、つみれです。

このたび、アメリカの作家エドガー・アラン・ポーの『モルグ街の殺人』を読みました。

「ミステリー小説の祖」と言われている作品です!

それでは、さっそく感想を書いていきます。

作品情報
書名:黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫)

著者:エドガー・アラン・ポー(訳:小川高義(オガワタカヨシ))
出版:光文社 (2006/10/20)
頁数:219ページ

私が読んだ「モルグ街の殺人」は、短編集『黒猫/モルグ街の殺人』(光文社古典新訳文庫)所収の1編です。

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世界初のミステリー小説!

世界初のミステリー小説

私が読んだ動機

  • 世界初の推理小説を読んでみたかったから。
  • kindle unlimited の対象作品(2020年11月現在)だったから。

こんな人におすすめ

チェックポイント
  • 古典的なミステリーの雰囲気を味わいたい
  • 世界初の推理小説を読みたい

あらすじ・作品説明

フランス、パリの「モルグ街」にあるアパートメントの4階で残虐な事件が発生した。

 

密室の暖炉に押し込められた令嬢。

身体を切り裂かれた老婦人・・・。

ぞくぞくと集まる証言。

 

世界初の名探偵、C・オーギュスト・デュパンが、わずかな手がかりから事件の真相を導き出していく。

ミステリーの祖

探偵道具

いまとなっては読書の一大ジャンルとして確立されている「ミステリー」。

実は自然発生的に生まれたものではなくて、とある作家が書いた作品によって「発明」されたものという説が有力です。

その発明作品こそが、今回紹介するエドガー・アラン・ポーの『モルグ街の殺人』です。

世界的に楽しまれているミステリー小説の元祖となる作品。

私が普段からミステリー小説を大いに楽しめているのはポーの発明のおかげ、と考えると感謝したい気持ちでいっぱいになりますね。

名探偵「明智小五郎」シリーズを書いた日本の推理小説家「江戸川乱歩」のペンネームは、エドガー・アラン・ポーをもじったものというのは有名な話です。ポーへのリスペクトが感じられて素敵ですね。

ミステリーのお約束

指さし

本作『モルグ街の殺人』は、世界初のミステリー小説でありながら、すでに本格ミステリーの大枠、お約束的な要素がぎっしり詰め込まれています。

まさに本格ミステリーのエッセンスだけを抽出したような感じで、正直、この風格には驚かされましたね。

下のような登場人物などは、今現在でも典型的な配役です。

  • 天才的な探偵役
  • 凡庸なワトソン役(主人公)
  • 無能な警察官

また、事件終盤で、天才的探偵のC・オーギュスト・デュパン(シャーロック・ホームズの元となった探偵という説も!)が、集まった情報を総合的に判断して快刀乱麻を断つ名推理を発揮します。ミステリー好きにはたまらないシーンですね。

このあたりの展開がのちのミステリーに与えた影響は計り知れません。

元祖ミステリーでありながら、すでにある程度完成されているという質の高さがすばらしいです。

登場人物や証言内容が覚えられない

一方、小説として粗削りだな、と感じた点もあります。

モルグ街で発生した殺人事件について、生前の被害者と付き合いがあった人物や事件関係者らが「証言者」として登場するのですが、これがワーッと一気に登場するのでまったく覚えられない!(笑)

証言者たちは、下記の情報を持っています。

  • 出身国(使用言語)
  • 職業
  • 事件に対する証言

この情報を総括して事件の全貌を解き明かしていくことになるのですが、これらの大量の情報が淡々と列挙されていくので、私の頭のなかで内容を整理しきれないまま物語が進んでいってしまいました。

途中からは証言者が増えるたびに「まだ増えるの!?」と思いながら読んでいました。

  • 短いページ数のなかで多くの情報が氾濫している
  • 証言者に感情移入できないまま物語がスピーディに展開していく

上記2点が、私にとって読み進めるのに苦労した点で、やや洗練されていない印象を受けました。

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短編で読みやすい

本作には、証言者たちに感情移入できるようなエピソードなどはなく、淡々と事件の証言が並べ立てられていく構成となっています。

そこには、余計なものをそぎ落とした「潔さ」があります。

小説としての分量も少なく、短編なのでサクッと読むことができますね。

「物語」ではなく、単純に「謎」を楽しみたい場合には本作のこのスピード感は魅力的に映るかもしれません。

翻訳がすばらしすぎる

辞書

私が読んだバージョンは、小川高義さん翻訳の光文社古典新訳文庫のものです。

この翻訳がすばらしく、翻訳ものを苦手とする私でも、ほとんど違和感なく読むことができました。

一部、登場人物の「さ、こら」「でやっ」などの叫び声に、「なんだこの叫び声(笑)」と感じるシーンはありましたが、かなり読みやすかったです。

フェアかアンフェアか?

天秤

本作がミステリーとしてフェアかアンフェアかということについては、若干ネタバレを含みますので、未読の場合は注意してくださいね。

危険!ネタバレあり!

下記内容はネタバレを含みます。

ネタバレあり!読了済の人だけクリックorタップしてね
若干アンフェア寄り

上にも、「世界初のミステリー小説」というすばらしい功績がある反面、洗練されていない粗削りな部分があると書きました。

それをもっともよく感じたのが、下記の部分。

  • 解決編まで明かされない事実がある
  • 真相が邪道寄り

内容の詳細をここで書くことは控えますが、現代の洗練されたミステリー小説に比べると、「いきなりすぎるだろ!(笑)」となってしまうトリックなんです。

私はアンフェアなトリックに感じましたが、洗練された現代のミステリーの考え方を、元祖ミステリー小説に求めるのは要求しすぎということなのかもしれませんね。

なにより、私にとっては「ミステリーの祖」として有名な『モルグ街の殺人』ってこういう話だったの!?という衝撃が大きかったです。

 

 

 

終わりに

とても感慨深い読書でした。

本作が後世のミステリーに与えた影響のことを考えると、「ここからミステリーの歴史は始まったんだなぁ」という心地良い余韻を感じられる一作です。

世界初のミステリー小説に興味があれば、ぜひ本作を手に取って読んでみてくださいね!

最後までお読みくださり、ありがとうございます。

つみれ

 

 

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