Another 2001

ホラー

  (最終更新日:2021.12.10)

【感想】『Another 2001』/綾辻行人:『Another』から3年後の世界を描く!

こんにちは、つみれです。

先日、綾辻行人さんの『Another 2001』を読みました。

シリーズ1作目『Another』の3年後の世界を描いたホラーミステリーです。

 

単行本で800ページという分厚さですが、おもしろくて一気読みしてしまいました。

 

▼前作の記事

それでは、さっそく感想を書いていきます。

作品情報
書名:Another 2001

著者:綾辻行人
出版:KADOKAWA(2020/9/30)
頁数:804ページ

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『Another』から3年後の世界を描いた傑作!

『Another』から3年後の世界を描いた傑作

私が読んだ動機

シリーズ作『Another』と『Another エピソードS』を読み終えてとてもおもしろかったので、そのまま新刊『Another 2001』も購入して読みました。

こんな人におすすめ

チェックポイント
  • ホラーとミステリーをかけ合わせた作品を読みたい
  • でもホラー成分は薄めがいい
  • 青春学園ものが大好き
  • 『Another』の続編が読みたい

あらすじ

前回の1998年の〈災厄〉から3年が経過した2001年。

 

いわくつきのクラスである夜見山北中学校三年三組に、3年前の〈災厄〉の当事者だった見崎鳴の友人の少年・想が在籍することに。

 

想たち三年三組のメンバーは、〈死者〉がクラスにまぎれこむ〈現象〉への〈対策〉として、新たな試みを実行に移す。

 

しかし、その努力もむなしく、三年三組の“関係者”が続けざまに命を落としていく。

『Another』の正統な続編

『Another 2001』は、「ミステリー」と「ホラー」と「青春学園もの」の要素がうまく融合しており、まさに『Another』の正統な続編といった作品になっています。

下記の点が『Another 2001』の醍醐味です。

  • 純粋なミステリー作品では味わえない特殊なホラー設定、ホラー的な謎
  • ホラー的な謎をミステリー的な謎解きで解き明かす
  • 夜見山北中学校を舞台とした青春学園もの
  • 基本的な設定・世界観は『Another』のものを踏襲

一見なんでもありのホラー的な設定と思わせつつ、しっかりとミステリー的に理詰めで展開していくところが満足感大でした。

『Another』を読んで楽しめたという人には特におすすめできる一冊です。

というか、おもしろいからぜひ読んでね!!

シリーズを読む順番

「Another」シリーズを読む順番は、前2作(『Another』、『Another エピソードS』)を読んでから、本作『Another 2001』を読むのがいいです。(つまり、刊行順です)

理由は、前作までを読んでこそおもしろさがわかる部分が多いこと。

たとえば、下記のような部分ですね。

  • 物語が無印の『Another』の結末を受けて描かれている
  • 舞台設定や〈災厄〉の内容は、『Another』の物語が基本形で、『Another 2001』はその派生形
  • 主人公の想と叔父の賢木との関係や、母親との確執の話は『Another エピソードS』を読まないと詳細が分からない

以上のことから、本シリーズを最大限に楽しむためには、下記の順番(刊行順)で読むことをお勧めします。

  1. 『Another』
  2. 『Another エピソードS』
  3. 『Another 2001』(本作)

もちろん単体でも楽しめるように書かれていますので、いきなり『Another 2001』から読んでも十分おもしろいですよ。

登場人物

『Another 2001』の登場人物はオールスター的で、過去のシリーズからの登場人物が多いです。

キャラクター的にも前2作を読んでいたほうが断然楽しめると思います。

個人的には『Another』の主人公榊原よりも、本作の主人公である想のほうが、悩みや行動が中学生らしくて好感が持てましたね。(榊原は良くも悪くも暴走気味の行動が多かったので)

それから、ここではあまり多くを語れませんが、『Another』に登場したとあるキャラクターが主役級の活躍&魅力を発揮しています。

このキャラクターの魅力を最大限に味わうために、せめて『Another』だけでも事前に読んでおいた方がいいかなと思います。

青春ものとして

『Another』と比べて、青春ものの色彩が濃くなっています。

ここにも想というキャラクターの良さが出ていますね。

想はとある事件(『Another エピソードS』の内容)を通して非常に精神的に鍛えられていて、多少のことなら一人で耐えられます。

そんな想が、周囲に翻弄される形で、人との関わりのなかで新しい悩みを抱えていく姿が描かれています。

たとえば、想のクラスメイトの葉住という女子は、想とは対照的に不安定で危うい性格をしていて、想をいい感じに振りまわしていきます。

ちなみに、葉住は中学生の未成熟な感じがよく出ていて、物語を引っかき回す役割としてもとてもいいキャラでした。

想とクラスメイトのやり取りの描写はとても青春ものらしくて良かったです。

また、恋愛に対する距離感の描写も良いですね。

これは小学生でも高校生でもない、いかにも中学生の恋愛が瑞々しくて読んでいて楽しいです(恋愛要素の比重は大きくないです)

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誰が〈死者〉か

「クラスに紛れ込んだ〈死者〉が誰か」というのが、本作の解決すべき問題です。

この部分については、さすがの「新本格ミステリー作家」綾辻行人さんというべきで、これでもか!というくらいミスリードしてきます。

登場人物すべてが疑わしいというほど、いろいろなキャラクターが怪しい行動を取るので、先が気になって読むのが止まらなくなります(笑)

この一筋縄ではいかない練り込まれたストーリーも『Another 2001』の魅力ですね!

 

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終わりに

これは大満足の一冊でしたね!

800ページという長編でしたが、その分厚さを感じさせないおもしろさで一気に読んでしまいました。

残り100ページくらいに差し掛かったとき、「もう残りこれしかないのか・・・」と残念に思ったほどです(笑)

『Another』のおもしろさをそのまま深化させたような作品ですので、『Another』を楽しめたという人にはおすすめの一冊です。

本記事を読んで、綾辻行人さんの『Another 2001』がおもしろそうだと思いましたら、ぜひ手に取って読んでみてくださいね!

最後までお読みくださり、ありがとうございます。

つみれ

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