Another

ホラー

  (最終更新日:2021.12.10)

【感想】小説『Another』/綾辻行人:精緻なホラーミステリー!

こんにちは、つみれです。

先日、綾辻行人さんの『Another』を読み終えました。

 

まさにホラーとミステリーがみごとに融合した名作で、「なんで今まで読んでこなかったのか!」というくらいおもしろかったです。

 

それではさっそく感想を書いていきます。(ネタバレなし)

作品情報
書名:Another(角川文庫)

著者:綾辻行人
出版:角川書店 (2011/11/25)
頁数:(上)402ページ、(下)384ページ

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中学校が舞台の精緻なホラーミステリー!

精緻なホラーミステリー

私が読んだ動機

2020年9月刊行の綾辻さんの新作『Another 2001』発売をきっかけに読んでみようと思いました。

こんな人におすすめ

チェックポイント
  • ホラーとミステリーをかけ合わせた作品を読みたい
  • でもあんまり怖すぎるのは無理
  • 青春学園ものが大好き

あらすじ

夜見山北(ヨミヤマキタ)中学校の三年三組に転校してきた主人公の榊原(サカキバラ)恒一(コウイチ)は、クラスに漂う異様な雰囲気を感じ取る。

 

榊原は、クラス内で「とある特殊な扱い」を受けている少女ミサキ・メイと接触を図り、彼女経由で違和感の根源を探ろうと試みる。

 

そんななか、夜見山北中学三年三組の関係者が次々と不審死を遂げていく。

青春学園もの

青春学園もの

あらすじにも書きましたが、夜見山北中学校での不思議なできごとを描く本作は、当然のことながら中学生の生活がメイン描写となります。

なので、青春学園ものの色彩が濃い作品となります。

一方、私は20年以上も昔に中学を卒業した人間です。

 

そんな私でも果たして楽しめるのだろうか・・・という若干の危惧を抱きながらの読書でしたが、結果的に言うと全くの杞憂。

最高におもしろかったです。

 

綾辻さんの「館シリーズ」とはまた雰囲気が異なり、登場人物たちのフレッシュな生活の様子を楽しめます。

「館シリーズ」は綾辻さんの代表的なシリーズで、館で事件が起こる本格ミステリーシリーズです。

また、いかにも「学校の怪談」的なところから物語はスタートしますので、学園ホラーものが好きな方にもおすすめできますね。

 

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ホラーとミステリーの融合

ホラーとミステリーの配合具合がすばらしいです。

私も他の方から「ホラーとミステリーがいい感じに融合しているよ」と紹介されて本作を読んだクチですが、正直、「といってもどっちかに寄ってるんでしょ」とか思っていました。

しかし、実際に読んでみると、ホラー的な要素とミステリー的な要素がうまく絡みあってユニークな読み応えとなっていて、めちゃくちゃおもしろかったです。

ホラー的な要素というのは、「何が起こっているのかわからない怖さ」「理不尽に被害者が増えていく怖さ」といった感じです。

このホラー要素に、綾辻さんの切れ味鋭いミステリー的謎解き要素を付加し、ホラーとミステリーとがお互いに魅力を補完し合っているような関係です。おもしろいですね。

特殊設定の魅力

青い瞳

本作の何がすばらしいかというと、下記の二点に尽きると思います。

  • ホラー要素の緻密な作り込み
  • 作り込んだ設定を前提にしたオンリーワンの謎解き

夜見山北中学校3年3組を取り巻く不思議な現象についての設定が、極めて緻密に構築されています。

これがあまりに細かく隙なく作られているので、読む側としてもその全体像を知りたくて、「どういうことなんだろう」とついついのめり込んでいってしまいます。

現実世界の常識では説明できない不思議な現象・謎を、本作独自のホラールールにのっとって攻略していくというユニークさは、まさにオンリーワンの楽しさと言えます。

登場人物が多い

主役級の榊原恒一、ミサキ・メイを筆頭に、魅力的なキャラクターが多くてとても楽しめます。

一方、中学校の1つのクラスを舞台にした物語なので、学生と教員をあわせると、登場人物はどうしても多くなってしまいます

登場人物を覚えるのが得意な人にとっては、これは魅力的に映るかもしれません。

しかし、私は登場人物があまりに多くなると誰が誰だか判別できなくなり、物語への理解力がかなり落ちてしまいます。

そこで、対策として、本作はアニメ化もされている作品ということに着目し、アニメの登場人物一覧(他サイト)の画像を見て視覚的な助けを得ながら読み進めました。

これは非常に効果的で、「登場人物覚えられない問題」をうまく回避できたと思います。

こわいのか?

私は怖いのが大変苦手なので、ホラー系小説が「どの程度怖いのか?」は気になるポイントです。

 

結果的に言うと、私としてはそこまで怖くはありませんでした

 

私は怖い映像系はほぼ100%無理ですが、怖い物語を文章で読むだけならある程度耐えられるレベルです。

『Another』は、ホラー耐性に自信がない私のような人間にも、もう一回読みたいなと思わせてくれるほどおもしろい作品です。

ホラーが苦手な人は参考にしてください。

繰り返しになりますがとてもおもしろい作品なので、私のようにホラーが苦手だからと読まず嫌いを貫いて、本作をずっと読まずにおくのはもったいないと思います。

 

※電子書籍ストアebookjapanへ移動します

 

綾辻行人さんを特集した動画

私が所属している文学サロン「朋来堂」のYouTubeチャンネルで、綾辻さんとその作品群を褒めちぎりながら解説する動画を配信しました。

本作『Another』のほか、2020年9月の新刊となる『Another 2001』の話題や、綾辻作品未読の方へのおすすめ作品などについて、綾辻ファンが集まって話し合っています。

 

私も「つみれ」という名前で登場していますので、ぜひご覧くださいね!

 

 

この作品が楽しめた方にオススメしたい作品

『Another』を読んでおもしろかったという方には、辻村深月さんの『冷たい校舎の時は止まる』がおすすめです。

学園を舞台にしているところや、ホラーとミステリーがうまい具合に配合された感じなど、『Another』と共通する部分があるので、きっと楽しめることと思います。

ぜひ読んでみてくださいね。

終わりに

綾辻行人さんの『Another』は、ホラー要素とミステリー要素が絶妙なさじ加減で融合したホラーミステリーです。

ホラーっぽさが怖そうなので食わず嫌いを決め込んでいた本作でしたが、予想以上におもしろくて一気読みでした。

むしろ、「ホラー的な設定があって初めて成立するミステリー」というユニークさがウリの作品です。

私のように怖そうだから、と遠巻きに眺めていたような人も、ぜひチャレンジしていただければ嬉しいです。

本記事を読んで、綾辻行人さんの『Another』がおもしろそうだと思いましたら、ぜひ手に取って読んでみてくださいね!

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

▼続編の記事

つみれ

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