こんにちは、つみれです。
このたび、市川憂人さんの『ブルーローズは眠らない』(創元推理文庫)を読みました。
「マリア&漣」シリーズの第二作目に当たる作品で、難解な密室トリック、作るのが難しい青バラの話など、とてもおもしろいミステリーでした!
『ジェリーフィッシュは凍らない』の続編となります。前作に引き続きタイトルがカッコイイですね!
▼前作の記事
▼「マリア&漣」シリーズの読む順番とあらすじ
それでは、さっそく感想を書いていきます。
作品情報
書名:ブルーローズは眠らない (創元推理文庫)
著者:市川憂人
出版:東京創元社 (2020/3/12)
頁数:384ページ
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目次
大胆で緻密なトリックがおもしろい!
私が読んだ動機
前作『ジェリーフィッシュは凍らない』がめちゃくちゃおもしろかったので読みました。
こんな人におすすめ
- おもしろい密室ミステリーを読みたい
- 緊張感あふれる展開でドキドキしたい
- 理系要素のあるミステリーを読みたい
- 前作『ジェリーフィッシュは凍らない』がおもしろかった
本作のすばらしいところはまず密室トリックの緻密さと不可解さです。
練り込まれた大胆な謎解きを楽しみたい人にはうってつけの一冊!
とある一家が謎の人物に襲撃される事件が起こるのですが、その描写が緊迫感マックスでめちゃくちゃスリリングです。
ドキドキ感を楽しめる一幕ですね!
それから、本作は遺伝について詳細に触れられている箇所があります。
この遺伝の説明がとてもわかりやすく、なおかつトリックにもかかわる重大な要素になっています。
理系ミステリーを読みたいという人におすすめできます。
本作は前作『ジェリーフィッシュは凍らない』に続く「マリア&漣シリーズ」の第二作目にあたりますが、「前作がおもしろかった!」という人は本作も楽しめますよ。
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あらすじ・作品説明
両親の虐待から逃げ出した少年は、遺伝子研究を生業とするテニエル博士の一家に保護される。
テニエル邸で博士の助手として働き始めた少年は、屋敷内に潜む不気味な生物の存在に気づく。
一方、刑事のマリアとその部下の漣は、作るのが不可能と言われる青いバラを同時期に作出したテニエル博士とクリーヴランド牧師の二名を捜査するが、その過程で密室状態の温室から切断された首が見つかる。
2つのシーンを交互に描く
本作は2つのシーンを交互に描いています。つまり下記の2つです。
- プロトタイプ
- ブルーローズ
2つの視点を交互に描くことで物語を浮かび上がらせるのは、前作『ジェリーフィッシュは凍らない』でも同様でした。本シリーズの特徴と言えるでしょう。
プロトタイプ
「プロトタイプ」は、両親の虐待に我慢できなくなった少年エリックが、遺伝子研究を行うテニエル博士とその一家に保護され、助手として働き始めるというストーリーです。
「青い花を咲かせるバラは、他のどこにも存在しない。……これはパパの研究成果。パパが創った、世界で初めての青いバラ」
『ブルーローズは眠らない』kindle版、位置No. 587
テニエル博士は「不可能の代名詞」と言われる青いバラを作り出すことに成功した優れた科学者。
つらい過去を経験してきたエリックが、テニエル博士夫妻やその一人娘アイリスと次第に仲良くなっていく様子は心が温まるものがあります。
その一方で、テニエル博士は屋敷の地下室に「実験体七十二号」という得体のしれない生物を飼っており、ただの科学者とも言えないような雰囲気が漂っています。
この一家を凄惨な事件が襲う、という展開を迎えることになります。
謎に満ちたテニエル一家が事件に巻き込まれるというキナ臭い感じにワクワクが止まりませんね!
ブルーローズ
この世に存在しないと言われる「青いバラ」を、ほぼ同時期に作り出すことに成功した二人の人物がいます。
一人がテニエル博士、もう一人がクリーヴランド牧師です。
シリーズの主人公であるマリアと漣は、とある人物の依頼でこの二人を捜査するという流れになっていきます。
マリアたちはテニエル博士、クリーヴランド牧師とそれぞれ面談を行うのですが、その後に待っているのは、温室で切断された首が見つかるという衝撃的な展開。
その温室は、施錠されていた上にバラの蔓が壁や窓を覆いつくしています。
つまり、完全なる密室!
何者かの意図が働き、マリアたちの捜査も簡単に進んでいかない雰囲気がワクワク感を増幅させます。
二つのパートの楽しみ方
「プロトタイプ」パートは、事件の発端となるできごとが描かれています。
青いバラを作る謎の他に、謎の襲撃者なども登場し、かなりサスペンスフルな話の展開を迎えます。
この緊迫感がとてもいいんです!謎に満ち溢れていてドキドキしますよ!
一方、「ブルーローズ」パートは、美形だけどズボラな上司マリアと、しっかりしているけどイヤミな部下漣の刑事コンビの活躍が見られるパートです。
普段はお互いにイヤミを言い合っているような二人ですが、肝心なところではすばらしい連係プレーを見せてくれますよ。
二人の刑事が活躍する「ブルーローズ」パートは捜査パートと言えるのですが、そのなかでも首切り死体が発見されます。
このように「プロトタイプ」でも「ブルーローズ」でも衝撃的なできごとが起き、それらの関係性がつかめないまま、事件は次第に複雑な様相を呈していきます。おもしろすぎるだろ。
また、「ブルーローズ」パートでは、途中、遺伝に関する説明が差し挟まれるのですが、これがわかりやすくてよかったですね。
完全に文系の私でもどうにか理解できるくらいにかみくだいて説明してくれていますよ。
二つのパートを混同しないように
ちなみに本作、「プロトタイプ」パートと「ブルーローズ」パートで似た人物が似た関係性で登場するので混同しやすいです。
私も最初は結構混乱してしまったので、下記の対策を取りました。
登場人物を混同しないように、簡単な人物一覧のメモを作りながら読み進めました。
といっても、このレベルですが・・・(笑)
本当はもっとかっこいい人物相関図を書きたかったのですが、私には無理でした(笑)
緻密な密室トリック!
本作には密室トリックが登場するのですが、これがすごいです。
かなり大胆でありながら緻密な仕掛けがほどこされていて、必見のトリックになっています。
さらに、ミステリー好きなら大好物の「見取り図」までが用意されているというすばらしさ。
物語重視派の人も、謎解き重視派の人も楽しめる贅沢な作りになっていますよ。
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終わりに
前作『ジェリーフィッシュは凍らない』に続き、めちゃくちゃおもしろいミステリーでした。
二つの物語を交互に追っていく楽しさもさることながら、緻密な密室トリックがすばらしい一冊。謎解きが好きなひとには特におすすめです。
マリアと漣の刑事コンビの活躍も鮮やかでいいシリーズですね。
続編もあるようなので、これも読んでみたいと思います!
▼続編『グラスバードは還らない』も読みました
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
つみれ
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