こんにちは、つみれです。
このたび、エドガー・アラン・ポーの短編「黄金虫」を読みました。
新種の黄金虫を描いたスケッチに隠された暗号から宝探しを行う世界初の暗号解読ミステリーです。
本記事は『ポー傑作選2 怪奇ミステリー編 モルグ街の殺人』所収の一編「黄金虫」について書いたものです。
それでは、さっそく感想を書いていきます。
作品情報
短編名:黄金虫(『ポー傑作選2 怪奇ミステリー編 モルグ街の殺人』所収)
著者:エドガー・アラン・ポー
出版:KADOKAWA
頁数:60ページ
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目次
世界初の暗号解読ミステリー!
私が読んだ動機
本編が収録されている『ポー傑作選2 怪奇ミステリー編 モルグ街の殺人』が、私が所属している文学サロン「朋来堂」の「ミステリ部」2022年4月の課題図書だったので読みました。
こんな人におすすめ
- 世界初の暗号解読ミステリーを読みたい
- 宝探しが好き
- 暗号の解読に挑戦してみたい
あらすじ・作品説明
「私」はウィリアム・ルグランという男と親しく付き合うようになる。
ルグランは新種らしき「黄金虫」を発見したといい、「私」に本当に新種かどうか意見を求めたいという。
しかし、「私」に会う前に黄金虫を他人に貸してしまったので、ルグランは紙にそのスケッチを描いて説明を試みる。
「私」はそのスケッチを見て「髑髏のように見える」と意見を述べたところ、ルグランは機嫌を悪くしてしまう。
一ヵ月後、「私」はルグランから誘われ、妙な探検に連れ出される。
スケッチと宝探し
本作「黄金虫」は、主人公の「私」がサリヴァン島に住むウィリアム・ルグランとその召使い・ジュピターの二人と一緒に宝探しをする物語です。
ルグランは新種と思しき「黄金虫」のスケッチを描きますが、「私」がその模様が髑髏にそっくりだと指摘するとルグランの態度が一変。
ルグランの機嫌の悪さに気まずくなった「私」はそれから一ヵ月ほど彼と会いませんでした。
山を探検
一ヵ月後、ルグランの召使い・ジュピターがルグランの手紙を携えて私を訪ねてきます。
ジュピターによるとルグランは件の黄金虫に咬まれてしまい、体調が良くないという。
「私」は心配してルグランの元を訪ねてみると、彼は「今から山に探検に出かけるから同行してほしい」と誘ってきます。
唐突な探検の誘いに笑ってしまいます。
何が何だかわからない「私」でしたが、体調不良のルグランが無理をしないよう見張る気持ちでルグラン、ジュピターとともに山へと向かいます。
ルグランの指示のもと、山で穴掘りをすると、そこに埋まっていたのは大変な価値の宝!
宝探しを成功させた一行ですが、「私」としてはルグランが財宝の隠し場所をどのように突き止めたのか不思議でなりません。
本作は、この種明かしの部分におもしろさの大部分が集約されています。
世界初の暗号解読ミステリー
本作は、エドガー・アラン・ポーが描いた世界初の暗号解読ミステリーです。
作中では、主人公一行が財宝を発見したあと、そこからさかのぼるようにして「どうやって隠し場所を見つけたのか?」という謎解きに入っていきます。
「私」がルグランを問いただすと、「黄金虫」のスケッチをした紙に「暗号」が隠されており、この財宝の発見はそれを解いた結果だというのです。
暗号の発見と解読
「黄金虫のスケッチ」には暗号が隠されており、ルグランはそれを解き明かした結果、大金を入手することができました。
本作後半部では、ルグランによる暗号の解読過程が詳細に描かれているのですが、これが実に本格的なんです。
緻密に作られた暗号をルグランがシステマチックに解読していく過程がめちゃくちゃおもしろいんですよ。
ルグランが暗号の解き方を説明する箇所は読めば読むほど納得のいく内容となっていて、さながら「暗号の解き方講義」のような感じになっています。
暗号解読にチャレンジ!
本作の醍醐味は、暗号の解読部分に集約されています。
暗号解読に自信がある人は、物語後半部のルグランの説明を読む前に自力で解いてみるとおもしろいかもしれません。
ちなみに私は三秒ほどであきらめ、すぐに答えを見ました。
私が読者として最初に本作の暗号を見たとき、あまりに意味がわからなすぎて「よし!解いてやろう!」とはならなかったのです。
これをルグランの手順通りに解ける人がいたらめちゃくちゃすごい!
明るい冒険物語
本作「黄金虫」は、上に書いてきた通り、暗号を解読して宝探しを成功させる物語です。
本短編が収録されている『ポー傑作選2 怪奇ミステリー編 モルグ街の殺人』のなかでは異色の一作で、「お前が犯人だ」と並んで特に明るい雰囲気がありました。
暗めの物語が多い本短編集のなかで箸休め的に楽しめる一作といえるかもしれません。
暗号の解読のみならず、主人公一行が山を探検するシーンもとてもワクワクさせられました。
冒険物語が好きな人にもおすすめの一編です。
終わりに
「黄金虫」は、新種の黄金虫を描いたスケッチに隠された暗号から宝探しを行う世界初の暗号解読ミステリー。
とにかく暗号解読の手順の部分におもしろさの大部分が詰まった作品なので、それを楽しめるかどうかが全てです。
わけのわからない文字の羅列的な暗号を、解読のとっかかりとなる小さなヒントを見つけて少しずつ読み解いていくロジカルさがおもしろかったですね。
本記事を読んで、エドガー・アラン・ポーの「黄金虫」がおもしろそうだと思いましたら、ぜひ『ポー傑作選2 怪奇ミステリー編 モルグ街の殺人』を手に取って読んでみてくださいね!
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
つみれ
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