ミステリー、サスペンス

  (最終更新日:2019.11.27)

【感想】骨太な民俗学ミステリー!まほりの意味とは?『まほり』/高田大介

こんにちは、つみれです。

先日、高田大介さんの民俗学(みんぞくがく)ミステリー『まほり』を読み終えました。

高田大介さんといえば、私が大好きなファンタジー作品『図書館の魔女』の作者です。本作も、発売されるのをずっと楽しみに待っていました!

期待通り・・・いや、期待以上に楽しませていただきました!おもしろかったです!

それでは、さっそく感想を書いていきます。

作品情報
書名:まほり

著者:高田大介
出版:KADOKAWA(2019/10/2)
頁数:496ページ

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ぞくりとくる民俗学ミステリー

私が読んだ動機

『まほり』の作者、高田大介さんのデビュー作は『図書館の魔女』という作品なのですが、これがめちゃくちゃおもしろく、私はもう大ファンといっていいほどに好きです。

その高田大介さんの新作が民俗学ミステリーというのですから、ミステリー好きの私は大喜びしました。

ちなみに、『図書館の魔女』は私の2014年ベスト本です!(発表されたのは2013年ですが私は2014年に読みました)

こんな人におすすめ

チェックポイント

重厚かつ骨太な民俗学ミステリーに挑みたい

『図書館の魔女』の高田大介さんの新作(2019年11月時点)を読みたい

史料の解釈や言語学などの知的ワールドに浸りたい(私は適度に読み飛ばしました☆)

「まほり」っていう響きもなんだかかわいいし、『図書館の魔女』より軽めなファンタジーかな!?なんて思っていたら、意外や意外、ガチもんの民俗学ミステリーです。

民俗学ミステリーと言っても、まず、「民俗学」という言葉が難しいですよね。

古くから伝えられてきた民間伝承を調べることで庶民の生活や伝統文化の発展を研究する学問、ということになるそうですが、とにかく守備範囲の広い言葉でして、一口に説明するのが難しいようです。

本作、『まほり』では物語の序盤で、主人公の大学生勝山裕が卒研グループの飲み会に参加するシーンがあります。

飲み会で、都市伝説の話題が出るのですが、勝山裕はそのうちのとあるエピソードに非常に興味を持ち、独自に調べ始める・・・という展開を迎えます。

都市伝説というといかにも現代的な感じがしますが、人の口を介して伝わっていく「民間伝承」である点を考えると、これも民俗学のテリトリーに含まれるということでしょう。都市伝説をイメージするとなんだか少しわかりやすいですね!

で!その裕くんの興味を惹いた都市伝説というのが、「とある上州の村では、二重丸が書かれた紙がそこらじゅうに貼られている」というもの。

質問さん
すこし怖そうじゃないですか?
つみれ
確かにすこし怖いかも・・・!
でも、このなんともいえない不気味さがいい味だしてます!

 

作者の高田大介さんは言語学者でもあり、『図書館の魔女』でもその知識が遺憾なく発揮されていましたが、本作もそれに負けないほどの言語学者っぷりを見せています。

『図書館の魔女』の作者高田大介さんの描く民俗学ミステリー!!おお、なんと魅力的な響き!!

歴史史料を本格的に解釈

上でも触れた「二重丸が書かれた紙」の謎を解くために現地入りすると、幼馴染の女性で見習い図書館司書の飯山香織(あだ名はメシヤマ)が力を貸してくれるようになります。

さらに、歴史民俗博物館学芸員や郷土資料館員の力を借りて、歴史史料を本格的に読み込んでいく、という展開を迎えます。

今、サラッと「歴史史料を本格的に読み込んでいく」と書きましたが、これがマジのガチで本格的です(笑)

漢文が原文で登場したり、近世文書の写真がドデーンと掲載されていたり、思わず、教科書かよ!!と突っ込みたくなります。

実は私、大学時代に歴史を専攻してまして、古い文書などにも触れたことがあるのですが(といっても学科レベルでして、専門的なことになるとついていけません)、その私から見ても、これはやりすぎでは!?というほどです。

くどいほどに学問しているッ!さすがは高田大介先生・・・!

しかししかし!ここで難しいからと言って、読み進めるのを諦めてしまうとあまりにもったいないです。

なぜなら、本作の謎解きは、読み終わってから振り返るとかなりおもしろいからです。

私は、漢文とか古語っぽい箇所は流し読みをして、あくまで登場人物がどう解釈をしていくのか、というところを追うことに努めました。恐らく作者の高田大介さんも漢文をガチで解釈させようとは思っていないはずです。

つみれ
難しそうな箇所は流し読み!
これがコツだと思う!

 

本作の場合、あくまで謎を解く過程で歴史資料を読み解いていく雰囲気を味わえれば充分なのです。合言葉は、難しそうなところは流し読み!です。

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ぞくりとくる恐ろしさ

本ブログは、これから読む方のために、基本的にネタバレはしない方向で書いています。

当記事も例外ではありませんので、物語の核心に迫る箇所については書きませんが、とにかく真相に近づくほどに「ぞくりとくる」恐ろしさが魅力です。

ウェー、マジか・・・!となります(笑)

上の方で「まほりって響き、なんとなくかわいいよね☆」的なことを書きましたが、なにふざけたこと言ってんの?となります。

冒頭箇所の飲み会のシーンで何気なく出た都市伝説のテーマ「二重丸の貼り紙」、そして「まほり」という言葉には、こんな恐ろしい意味が込められていたとは・・・!

他にも、本作を読み進めていくと、とある村落が登場するのですが、その住人たちの不気味なことといったら!

物語上、彼らの名前が明かされないのです。

「ランニング」とか「地下足袋」とか、風貌がそのままキャラクター名的に扱われているのですが、これがなんとなく異世界じみた不気味さを増幅させています。

名前すら教えてくれない。排他的な村落の印象を一層強めているおもしろい演出だなと思いました。

500ページに迫ろうかという長編ですが、残りも100ページを切ったかというくらいに差し掛かると急転直下といっていいほどの衝撃の展開を迎えます。謎がするすると解けていく快感よ!!

史料を解釈していく上で何度となく「ぞくり」とさせられながらも少しずつ真相に迫っていく展開は、まさにミステリーの味わいそのもの。これをぜひ体験していただきたいです!おもしろいですよ~!

キャラクターもいい

主人公の勝山裕と、ヒロイン(なのかな?)の飯山香織(あだ名はメシヤマ)は、まだ二十代の若者ですが、とにかくアタマがよくて、読んでいて尊敬してしまいます。

なにより、この不気味な物語にあって、彼ら二人のとぼけた掛け合いはどこか箸休め的な癒しを提供してくれます。

決して”今風”ではない彼ら二人のじれったいような微笑ましいような関係は、読んでいてほのぼのとしますね。

個人的には、終盤に登場する語学の女性講師がツボでしたね。いいキャラです。出番は短いながら、彼女の活躍も本作の魅力の一つと言えるでしょう!

終わりに

正直、読む人を選ぶアクの強さのようなものはありますが、私にはスマッシュヒット!めちゃくちゃおもしろかったです!

人が殺されて、誰がやった!アリバイは!?動機は!?みたいなミステリーではありませんが、そういった謎に飽きてしまった人にもおすすめの一冊ですね。

途中で襲い掛かってくる膨大な歴史史料の記述に怯むことなく、真相を見届けていただきたいなと思います。

非常に骨太で上質な民俗学ミステリー! 堪能いたしましたーッ!!

最後までお読みくださり、ありがとうございます。

つみれ

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