こんにちは、つみれです。
このたび、江戸川乱歩さんの短編「赤い部屋」を読みました。
怪しげな赤い部屋で開かれる不気味な会で、新入会員のT氏が自分の行ってきた「殺人遊戯」について語りだす怪奇小説です。
本記事は『江戸川乱歩傑作選』所収の一編「赤い部屋」について書いたものです。
それでは、さっそく感想を書いていきます。
作品情報
短編名:赤い部屋(『江戸川乱歩傑作選』所収)
著者:江戸川乱歩
出版:新潮社(1960/12/27)
頁数:29ページ
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目次
赤い部屋で語られる殺人遊戯の物語!
私が読んだ動機
本編が収録されている『江戸川乱歩傑作選』が、私が所属している文学サロン「朋来堂」の「ミステリ部」2022年4月の課題図書だったので読みました。
こんな人におすすめ
- 怪しげな雰囲気が好き。
- 趣味の悪い物語を読みたい。
- ラストが意外な物語が好き。
あらすじ・作品説明
怪しげな赤い部屋に集まった七人の男性たち。
彼らは話し手を交代しながら「怪異な物語」を語り合う遊びに興じていた。
その日の話し手はT氏という新入会員だった。
T氏はおもむろに自身が行ってきた「殺人遊戯」について語りだした。
赤い部屋で行われる怪しげな会
本作は深紅の垂れ絹に覆われた不気味な雰囲気が漂う部屋で、緋色のビロードに覆われた丸テーブルに七人の男が向かっているという異様なシーンから始まります。
この怪しげな雰囲気が最高に良いですね。
この「赤い部屋」では毎回交代交代で話し手が「怪異な話」をしているのですが、その日の話し手は新入会員のT氏。
生半可な刺激では満足できなくなったというT氏は、最近夢中になっているというおもしろい遊戯についておもむろに語りだします。
殺人遊戯の物語
「赤い部屋」の新入会員であるT氏が語り始めたのは、最近夢中になっている遊戯について。
その遊戯とはなんと「人殺し」だというのです。
彼は「罪に問われない殺人法」でこれまでに99人を殺してきたという衝撃的な打ち明け話を始めます。
M医院のエピソード
嬉々として「殺人遊戯」の話を始めるT氏も、最初から悪意があったわけではないのです。
車で人を轢き大怪我をさせてしまったとある運転手は、そばにいたT氏に近隣の病院について尋ねます。
そのときT氏は酒に酔っていたこともあり、勘違いで腕のいいK病院ではなく藪医者のM医院を教えてしまいます。
結局、M医院の医師は処置をしくじり怪我人は死んでしまいました。
この場合の殺人者はいったい誰になるのでしょうか?
車の運転手か?M医院の医師か?
いや、運転手に藪医者を紹介した私なのではないか?とT氏は気づき、ここから彼の狂気は始まります。
「法律に抵触しない殺人法」の存在に気づいたT氏は、この種のやり方で99人を殺してきたと言います。
しかも同じ殺人方法は二度繰り返さず、毎回異なるやり方を選ぶという妙なこだわりまで見せる趣味の悪さで聞き手を震え上がらせます。
とんでもない狂気ですね!
罪に問われない殺人エピソードを語りまくる
罪に問われない方法で99人を殺してきたT氏はM医院のエピソードだけにとどまらず、その他複数のエピソードを「赤い部屋」の席上で次々と披露します。
これらが実に考え抜かれた方法ばかり。
なかには一度に複数人を殺した方法などもあってバラエティに富んでおり、不謹慎ながらなかなかおもしろいのです。
倫理的にタブー感のあるテーマでいかにも怪奇小説といった趣のある一編ですね。
T氏の語る歪な完全犯罪の数々に興味がある人はぜひ本作を読んでみてください。
衝撃のラスト
本作「赤い部屋」はT氏が自分の武勇伝を語るだけでは終わりません。
T氏には「赤い部屋」の会に参加するにあたり心に秘めたとある企みがあり、最後の最後に読者を裏切る衝撃の展開が待っています。
ネタバレ回避のため、本記事ではラストについては触れないようにします。
ラストの展開はぜひご自身の目で確かめてほしいと思います。
終わりに
「赤い部屋」は、怪しげな赤い部屋で開かれる不気味な会で、新入会員のT氏が自分の行ってきた「殺人遊戯」について語りだす怪奇小説。
T氏の口から次々に語られる趣味の悪いエピソードのおもしろさもさることながら、衝撃的なラストの展開も注目の一編です。
本記事を読んで、江戸川乱歩さんの「赤い部屋」がおもしろそうだと思いましたら、ぜひ『江戸川乱歩傑作選』を手に取って読んでみてくださいね!
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
つみれ
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