こんにちは、つみれです。
爽やかな春の朝、うららかな好晴の日光を浴びながら、どういうわけかミステリーが読みたくなりました。
さっそくKindleでいい作品がないか物色しまして、目についたのが周木律さんの『双孔堂の殺人』(講談社文庫)です。
1年ほど前に前作『眼球堂の殺人』を読んでいましたので、「よし、続編いってみるか!」ということになり、購入。
前作では推理を盛大にはずしましたので、リベンジの意味も込めて理系ミステリーに挑戦です!
ではさっそく感想を書いていきます。
※ネタバレ感想は折りたたんでありますので、未読の場合は開かないようご注意ください。
作品情報
書名:双孔堂の殺人 (講談社文庫)
著者:周木律
出版:講談社 (2016/12/15)
頁数:448ページ
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目次
数学者が活躍する理系ミステリー
私が読んだ動機
おもしろいミステリーを探していて、Kindleストアで発見しました。
こんな人におすすめ
- 密室ものが好き
- 理系ミステリーを読みたい
- 電波系のキャラクターが好き
- 前作『眼球堂の殺人』の続きを読みたい
前作『眼球堂の殺人』は数学的な知的な会話(私は読み飛ばしました)が特長の理系ミステリーといった作風でしたが、続編である本作もその特長を引き継いでいます。
理系的な要素がバンバン登場する(私は読み飛ばしました)ので、私のような100%文系脳の持ち主は一瞬怯んでしまいますが、そこは理解できなくても物語を追う上では全く問題ありませんでした。
数学要素や登場人物の若干クセのある雰囲気が人を選ぶ感じはしますが、謎解き部分は非常におもしろく、後半部は一気読みでした。
舞台は奇抜な館
前作『眼球堂の殺人』でも「こんな家住めるか!」といったような奇抜な館が登場しましたが、本作も負けていません。
鍵のような形をしたフロアが2層重なったような、見るからに住みづらそうな館「ダブル・トーラス」(元の名前が「双孔堂」)が本作の舞台です。
鍵を思わせる形状。八角形の持ち手に、細長いブレード、大きな円形の穴。それが二枚重なっている。このスケッチを一見しただけでは、これが建物の俯瞰図であるとは、まず思わないだろう。『双孔堂の殺人』kindle版、位置No. 121
前作もそうでしたが、まあよくこんな奇抜な館を考え出したもんだ!と感心してしまうような構造の館です。
非常に住み心地が悪そうです!
鍵状の館。住宅としては鍵の細長いブレード部分なんて扱いに困るしいらないですよね(笑)
作者の周木律さんは学生時代に建築を学んでいたそうで、その経験が奇抜な館の設計に役立っているのは間違いなさそうです。
前作同様、見取り図とにらめっこする楽しさがありますが、最初に登場する館の構造図(位置No.119の図1スケッチ)には部屋のありかが書き込まれておらず、これには正直若干混乱しました。
あれ、みんな部屋の話をしているけど、図に部屋らしきものがないぞ? どういうことだろ?となったのですが、そのあと部屋の位置関係が書き込まれた別の見取り図が提示される(位置No.1026)のでした。
それ以前に館を探索するシーンがあるので、部屋の位置関係はもうちょっと早く知りたかったですね。
なにはともあれ、この奇抜な構造の館の内部で密室殺人が起こるんですよ。
二つの密室に二つの死体です!ワクワクしますね!
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キャラクターがいい
前作『眼球堂の殺人』で快刀乱麻を断つ推理ぶりを発揮した放浪の数学者「十和田只人」。
なんとこの十和田が本作では殺人の容疑者になってしまうのです!
十和田は、初対面の俺に向かって、自信満々に、しかしとんでもないことを言ってのけた。
「犯人は僕だ。そうでしかあり得ないんだ」『双孔堂の殺人』kindle版、位置No. 244
しかも、自白なんですよ・・・!
これは前作を読んでいる人間からすれば、なかなか信じられないことです。
たしかに十和田は変わり者ですが、殺人を犯すような人物ではなかったはずなのです。(なんとなくこのシリーズは発刊順に読んだ方がいい気がしますね)
では、誰が本作の探偵役を務めるのかというと・・・!
妹の百合子に十和田のサインをねだられて、ダブル・トーラスを訪れていた宮司警視(シスコンぎみ)が、十和田の自白に違和感を覚え、独自に捜査を始めるという展開を迎えます。
この宮司警視が本作では主人公となって大いに活躍します。いいね、いいね!
他にも、「ブルドッグのような顔つき」の毒島巡査部長(これはいいキャラです!)や、常に宮司警視にツンツンした態度をとる美貌の船生警部補、宮司の妹で数学が得意な百合子(若干電波系)などなど、実に多彩なキャラクターが登場します。おもしろいですね!
数学知識はいらない
既に何度か書いている通り、本作はいかにも理系ミステリーといった感じで数学的な要素がたびたび登場します。
必ずしも高等数学を専攻していなくとも、若干の素養があれば、理解するのはさほど難しくない単純な予想。つまり──。
「単連結な三次元閉多様体は、三次元球面と同相である」『双孔堂の殺人』kindle版、位置No. 678
おお!なんとわかりやすい説明・・・!
とはならないんですよ、私のような文系脳の持ち主には!
若干の素養とかさほど難しくないとか言わないでよ( ;∀;)
つまりって書いてあるけど、全然つまってないじゃん!!
安心してください。
最初はこういった理系要素に面食らってしまいますが、もうこれは雰囲気づくりの一環というか、ハッキリ言うとこれらを理解できなくても問題なく読み進めることができます。
私のように数学が苦手な人は、なんか難しい話をしているなー、くらいに考えて流し読みするのがいいでしょう。
でも、この数学トーク。理解できるとより物語を深く楽しめるのかもしれませんね。私には100%無理ですが。
「単連結な三次元閉多様体は、三次元球面と同相である」といわれましても、私にはすべての単語の意味がわからないのでね!!
見取り図が大事
館系ミステリーには「見取り図」がついているものも多いですね。
これは文章だけではわからない館の構造について、視覚的に理解を助けてくれるので非常にありがたいのですが、あくまで見取り図はオマケといった位置づけの作品も少なくありません。
ところが本作は違います。
文章に明記されていないけれど、見取り図に書かれていることが重大なヒントになったりしているのです。
このあたり、作者の周木律さんのこだわりが感じられますね。
※電子書籍ストアebookjapanへ移動します
【ネタバレあり】すでに読了した方へ
危険!ネタバレあり!ネタバレがあるかも!まだ読んでいない人は開かないほうがいいかも!
終わりに
トリック的には前作の方がおもしろいという印象でしたが、それでも十分に楽しめました。
本作は警察関係のキャラクターがいい味出してましたね。
あと、さすがにシリーズものだけあって、次作の展開を期待させるかのような余韻のあるラストがよかったです。
やっぱり新本格ミステリーはおもしろい!
いずれ、3作目にも挑戦しようかと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
つみれ
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