こんにちは、つみれです。
第165回直木賞候補(2021年上半期)5作を選考会までに全部読むチャレンジを行いました。
候補の5作品を読み終えましたので、各作品をまとめたいと思います。
対象の作品は下記5作です。
- 『スモールワールズ』/一穂ミチ
- 『おれたちの歌をうたえ』/呉勝浩
- 『テスカトリポカ』/佐藤究
- 『星落ちて、なお』/澤田瞳子
- 『高瀬庄左衛門御留書』/砂原浩太朗
それではさっそく書いていきます。
※2021年7月14日追記
第165回直木賞は、佐藤究さんの『テスカトリポカ』と、澤田瞳子さんの『星落ちて、なお』の2作が受賞しました。
おめでとうございます!
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目次
第165回直木賞候補5作まとめ!
『スモールワールズ』/一穂ミチ
第165回直木賞候補の1作目は、一穂ミチさんの短編集『スモールワールズ』です。
収録作6編はすべて家族をテーマとしていながら、各編趣向が異なっているバラエティに富んだ短編集となっています。
- 家族がテーマの物語を読みたい
- いろいろな読後感を味わえる短編集が読みたい
「家族」という共通のテーマはあるものの、実質いろいろなジャンルの盛り合わせといった印象の本短編集。
イヤミス風味の苦みたっぷりな作品があるかと思えば、読後の余韻が爽やかな青春ものがあったりと非常にバラエティに富んでいます。
個人的におすすめなのは下記のとおりです。
- 2編目「魔王の帰還」
- 3編目「ピクニック」
- 5編目「愛を適量」
いろいろな読み心地・読後感を味わえるので、6編のうち何編かはお気に入りの作品が見つかるはずです。
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作品情報
書名:スモールワールズ
著者:一穂ミチ
出版:講談社(2021/4/22)
頁数:306ページ
『おれたちの歌をうたえ』/呉勝浩
第165回直木賞候補の2作目は、呉勝浩さんのミステリー小説『おれたちの歌をうたえ』。
元刑事の男が古い友人の残した暗号を、昭和時代・平成時代の回想を交えつつ解き明かしていく長編ミステリーです。
- とにかく先が気になるミステリーが読みたい
- 一風変わった友情の物語を楽しみたい
- 昭和・平成・令和の3時代に渡る物語を味わいたい
登場人物一人ひとりが魅力的だったり、メインキャラ「栄光の五人組」の友情の変化のもどかしさに悶えたりと読みどころ満載の本作。
ですが、やはり最高に魅力的なのは序盤で提示される一つの大きな「謎」!
この謎に牽引されるように物語が展開していくところは大作ミステリーの風格すら帯びていて、まさに一気読み必至の一冊です。
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作品情報
書名:おれたちの歌をうたえ
著者:呉勝浩
出版:文藝春秋
頁数:608ページ
『テスカトリポカ』/佐藤究
第165回直木賞候補の3作目は、佐藤究さんの長編小説『テスカトリポカ』です。
麻薬カルテルの抗争や臓器売買などが描かれるアングラ感マックスのクライムノベルです。
- バイオレンスな作品を読みたい
- 麻薬カルテルや臓器売買を題材にした小説が読みたい
- アステカ文明に興味がある
本作『テスカトリポカ』はとにかくバイオレンスな作品で良くも悪くも残酷な描写が多く、どうしても読む人を選ぶところがあります。
ですが、それを理由に読まないのはもったいない!と思わせてくれるほど、めまぐるしく展開していく物語がおもしろかった!
土方コシモ、バルミロ・カサソラらの魅力的なキャラクターと、悪党たちの痛快で大胆不敵な企てを味わってほしい一冊です。
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作品情報
書名:テスカトリポカ
著者:佐藤究
出版:KADOKAWA
頁数:560ページ
『星落ちて、なお』/澤田瞳子
第165回直木賞候補の4作目は、澤田瞳子さんの歴史小説『星落ちて、なお』です。
絵師の河鍋とよが偉大な父暁斎の影に翻弄されながらも自分の生き方を模索していく歴史小説です。
- 美術史や昔の絵画が好き
- 戦の登場しない歴史小説が読みたい
- 才能の壁に苦悩する絵師の人生を味わいたい
主人公の河鍋とよが、家族との間に抱えた確執や才能の壁などに悩みながらも、心の落としどころを見つけていく物語となっています。
また、明治から大正にかけての6つの年代での彼女の周辺事情をそれぞれ1編ずつ描いており、当時の絵画の世界が急速に変質していった様子を追っていくことができる物語でもあります。
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作品情報
書名:星落ちて、なお
著者:澤田瞳子
出版:文藝春秋
頁数:328ページ
『高瀬庄左衛門御留書』/砂原浩太朗
第165回直木賞候補の5作目は、砂原浩太朗さんの長編時代小説『高瀬庄左衛門御留書』です。
神山藩で郡方を務める中年の武士高瀬庄左衛門が、人々と交流したり政争に巻き込まれたりする様子を描いた時代小説です。
- 江戸時代を舞台にした時代小説が好き
- 人情ものが好き
- 中年男が前進する物語が読みたい
- 伏線が巧みに張られた小説が読みたい
妻を二年前に亡くし、一人息子をも本作冒頭部で失ってしまう中年の武士高瀬庄左衛門は、どこか達観しているかのような「もの寂しさ」があります。
個性的なキャラクターたちとの交流を通じて庄左衛門という五十路男が少しずつ前進していくというのが本作のテーマ。
中盤以降、彼は政争に巻き込まれていき、物語的にも盛り上がりを見せていきます。
また、クセがなく落ち着いていて非常に読みやすい文章も本作の特徴ですね。
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作品情報
書名:高瀬庄左衛門御留書
著者:砂原浩太朗
出版:講談社(2021/1/20)
頁数:338ページ
終わりに
第165回直木賞の候補作を選考会までに全部読み終えました。
本記事を読んで、第165回直木賞候補に興味を持たれましたら、ぜひ手に取って読んでみてください。
また、各作品の個別記事も書いていますので、詳細を知りたい場合はそちらも読んでいただけると嬉しいです!
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
つみれ
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