こんにちは、つみれです。
2021年2月11日、ZOOMを利用したオンライン読書会に聴講枠で参加しました。
建国記念日ということで「日本史」がテーマの紹介型読書会です。
私は歴史が好きなので、おもしろそうだと思って参加してみました。
それではさっそくご紹介いただいた本についてまとめていきます。
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「日本史」がテーマのオンライン読書会!
この記事はこんな人におすすめ
- 日本史に関する本を探している
- 紹介型読書会のレポートを読みたい
「日本史」がテーマの紹介本たち
今回参加したオンライン読書会では、全部で11作品を紹介していただきました。
『舞い降りた天皇 初代天皇「X」は、どこから来たのか』/加治将一
紹介本1作目は、加治将一さんの『舞い降りた天皇 初代天皇「X」は、どこから来たのか』です。
日本の初代天皇は神武天皇と言われていますが、実在したかどうかは不明。
しかし、神武天皇の実在は疑わしくても「初代天皇」は必ずいたはずだということで、その「初代天皇X」の来歴を探っていく物語ということです。
最終的に、この物語としての「初代天皇X」の答えが提示されるとのことで、日本史の大きな謎に真っ向から挑戦していて興味をかき立てられますね。
発表者いわく、本作は「半分小説・半分ノンフィクションのような小説」とのこと。
『信長島の惨劇』/田中啓文
紹介本2作目は、田中啓文さんの『信長島の惨劇』。
本能寺の変で死んだはずの織田信長から手紙が届き、とある島に呼び寄せられる徳川家康・高山右近・羽柴秀吉・柴田勝家ら戦国武将たち。
その島で次々に殺人事件が起こるクローズドサークルものということです。
私は「本格ミステリー」も「歴史もの」も大好きですが、なんで混ぜた?
信長の後継者問題で滅んでいく柴田勝家はともかく、他の人物はココで死んだら歴史的にマズいはずなので、史実とのつじつまをどのように合わせているかというところも興味深いですね。
「信長島」という字面もジーっと見ているとじわじわくるものがありますね・・・!
あらすじを聞いた限りでは「バカミス」感が漂っていますが、はたしてどうなのでしょうか・・・!
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『日本史の論点 邪馬台国から象徴天皇制まで』/中公新書編集部
紹介本3作目は、中公新書編集部『日本史の論点 邪馬台国から象徴天皇制まで』。
5名の著者が古代・中世・近世・近代・現代の五つの時代をそれぞれ担当し、計29の謎に迫っていく一冊。
日本の歴史のうろ覚えだったところや、学生時代に知った教科書的な知識を、最新の研究を加味した新しいものにアップデートできたとのことです。
発表者の方も仰っていましたが、社会に出ると日本史を学び直す機会はなかなかなく、ましてや通史で読み通すことなどほとんどありません。
特定の時代に限ることなく、自分の日本史知識を全体的に再点検することができそうでおもしろそうだなと思いました。
執筆分担は下記の通り(刊行当時の情報)です。(敬称略)
- 古代:倉本一宏(国際日本文化研究センター教授)
- 中世:今谷明(帝京大学特任教授)
- 近世:大石学(東京学芸大学教授)
- 近代:清水唯一朗(慶應義塾大学教授)
- 現代:宮城大蔵(上智大学教授)
『言の葉は、残りて』/佐藤雫
紹介本4作目は、佐藤雫さんの『言の葉は、残りて』です。
鎌倉幕府を開いた源頼朝の次男で鎌倉幕府第3代将軍「源実朝」を主人公に据えた歴史恋愛小説。
実朝のもとに嫁いできた女性を通して、和歌の世界に触れていく実朝を描いているそうです。
鎌倉時代というと武家の時代という印象がありますが、実朝は武の力ではなく文の力で世を治めることを願う、という筋とのこと。
実朝と正室との心温まるやり取りの他、御家人たちの権力争いなども描かれているそうで、非業の死を遂げた実朝が主人公ということを考えると、なんとも切ない物語になっていそうな予感がします。
『日本思想全史』/清水正之
紹介本5作目は、清水正之さんの『日本思想全史』。
外国の思想を取り入れて、それを都度アレンジしてきた日本の思想文化というのは、体系立てて説明するのが難しい分野。
それらを神話の時代から現代にいたるまで通史的にカバーしていく一冊とのことです。
神話や宗教・芸能などさまざまな分野から当時の思想を読み取り解釈していく。
発表された方によると、自分の興味のある部分をピックアップして読むだけでもおもしろい、ということです。
個人的に「思想史」という切り口で日本の歴史を見ようと思ったことはなかったので、聞いていて新鮮でおもしろい発表でした。
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『伊藤仁斎の思想世界:仁斎学における「天人合一」の論理』/山本正身
紹介本6作目は、山本正身さんの『伊藤仁斎の思想世界:仁斎学における「天人合一」の論理』です。
江戸時代前期に活躍した儒学者「伊藤仁斎」の思想に焦点を当てた一冊。(私、伊藤仁斎という人知らなかったです)
儒教の経典「四書」(『論語』『大学』『中庸』『孟子』)のなかでも特に『論語』『孟子』を重視し、孔子を「最上至極宇宙第一の聖人」(つめこみすぎだろ・・・)とまで評価した伊藤仁斎。
彼の思想は江戸幕府の正学とされた「朱子学」(儒教の体系の一つ)の理想主義・高尚さ・高潔さを不要とし、あくまで「目の前のこと」・「目の前の人々との関係」を大事にしましょうというもの。
発表者によると、思想を実践しやすいレベルに落とし込んでいるのがよかったということです。
『徳政令 なぜ借金は返さなければならないのか』/早島大祐
紹介本7作目は、早島大祐さんの『徳政令 なぜ借金は返さなければならないのか』。
室町幕府の徳政令に注目し、徳政の実施状況から当時の幕府財政や金融業のあり方などにまで踏み込んだ一冊。
まず、タイトルがすごい・・・!いや、返せよ・・・。
発表の方も触れていましたが、徳政令というと御家人救済を目的とした鎌倉時代のものが有名ですが、あえて室町時代のものに注目したのはおもしろいですね。
徳政令発布に至るまでの経過のなかで、金融業が発達していったという話は非常に興味をかき立てられました。
『朝鮮銀行 ある円通貨圏の興亡』/多田井喜生
紹介本8作目は、多田井喜生さんの『朝鮮銀行 ある円通貨圏の興亡』。
大日本帝国の朝鮮半島・中国大陸政策の歴史を金融の切り口からまとめた一冊。
貨幣不足に悩んでいた大日本帝国が、どのように領土拡大を進めていったのかということを、貨幣政策の面から説明しているという話がおもしろかったですね。
大日本帝国の軍費調達モデルのメリット・デメリットなども解説されているそうです。
個人的に苦手分野の話で、自分からこういった類の本を読むことがなかったので新鮮でした。こういう本を紹介してもらえるのも読書会のいいところです。
『平家物語』/吉村昭
紹介本9作目は、吉村昭さんの『平家物語』。
「祇園精舎の鐘の声」の冒頭部で有名な平氏の栄枯盛衰を描いた軍記物語『平家物語』を児童書として現代語訳したもの。
注釈や図版が豊富とのことなので、初心者にもやさしそうです。
吉村昭さんに対する出版社の依頼は原稿用紙700枚に収めてほしいというものだったそうで、普通に現代語訳すると3000枚になってしまう原作を、物語の進行に無関係の箇所をバッサリ切り捨てて書いた作品ということです。
平清盛の父忠盛の時代から平家が滅んでいく約70年間を描く原作のうち、清盛が太政大臣になってから壇ノ浦で滅ぶまでの約20年間を重点的に描いているそうです。
子供向けということですが、古典に触れる機会のない大人や初学者にも良さそうですね。
『QED』シリーズ/高田崇史
紹介本10作目は、シリーズでの紹介ということで高田崇史さんの『QED』シリーズです。
基本的には殺人事件が起きて謎を解いて・・・というミステリーだそうですが、犯罪の動機などが歴史的背景に関わっていて、事件の謎とともに歴史の謎も解き明かしていくシリーズということです。
歴史的背景が事件に絡んでいるというのは興味深いですね。
上述の通りシリーズもので巻数が非常に多いということですので、長編シリーズに挑戦したいという場合にもいいかもしれません。
なおその際は、最初から順番に読んだ方が良いとのこと。
『のぼうの城』/和田竜
紹介本11作目は、和田竜さんの『のぼうの城』。
豊臣秀吉の小田原攻めに伴って起きた石田三成の忍城攻め(日本三大水攻めの一つ)を描いた歴史小説で、今回の読書会では唯一の既読作品です。
「のぼう」とは「でくのぼう」のこと。
武芸も知略もからきしダメな「のぼう様」こと成田長親ですが、なぜか人を惹きつけていく。そんな彼の不思議な魅力がおもしろい一作でした。
歴史小説というと堅苦しい印象がありますが、本作は非常にライトで少年マンガ的な親しみやすさがあり、歴史ものに慣れない人にもおすすめです。
終わりに
以上が「日本史」がテーマの紹介型オンライン読書会のレポートです。
歴史好きを自任する私ですがほとんど知らない本ばかりで、とても有意義な会でした!
会が催された2021年2月はまだコロナ禍の真っ最中でしたが、ZOOMを利用したオンライン読書会は参加者としても負担が少なくて良かったです。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
つみれ
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