ミステリー、サスペンス

  (最終更新日:2019.11.4)

【感想】すべてが、伏線!?『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』/相沢沙呼

こんにちは、つみれです。

先日、相沢沙呼(あいざわさこ)さんの連作短編ミステリー『medium(メディウム) 霊媒探偵 城塚翡翠』(講談社)を読みました。

私の周囲で話題になっていた作品だったので、これは読まなければ!と思いまして、取るものもとりあえず読んでみたわけです。

一言で言いましょう。

おもしろかった!

さっそく、感想を書いていきます。

作品情報
書名:霊媒探偵 城塚翠 medium

著者:相沢沙呼
出版:講談社(2019/9/12)
頁数:380ページ

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異色の霊媒探偵ミステリー

私が読んだ動機

私の周りで「おもしろかった!」という声が多かったので読みました。

こんな人におすすめ

チェックポイント

変わり種ミステリーを読みたい

ロジカルな謎解きをを味わいたい

魅力的なキャラクターが登場する物語を読みたい

上にも書きましたが、私の周囲で熱狂的なファンが次々と生まれている怪作です。

私もそのファンの一人に釣り込まれる形で読むことにしたわけですが、これは確かにおもしろい!

とにかく特殊な設定のミステリーであることが魅力の一冊ですね。

特にロジカルなミステリーが好きな人にはおすすめですよ。

翡翠ちゃんかわいい

私の界隈で何が起きていたかというと、本作を読んだ人の大半が「翡翠ちゃんかわいい~(*´з`)」という謎の感想を述べていたのです。

日本男児たるもの、ミステリー小説を読んで登場人物の一人にうつつを抜かすとは何事か!ミステリーの醍醐味は謎解きやトリックにあるのであって云々かんぬん・・・と怒気をはらみつつ読みましたが、読み終わってみると

「翡翠ちゃんかわいい~(((*´з`)))」

となってしまいました。

やっぱりミステリー小説でもキャラクターは大事ですよね☆

さてさて、本作で魅力的な謎解きを展開するふたりの探偵役をご紹介いたしましょう。

城塚翡翠

「先生、確かに、わたしは霊媒です。死んだ人間を降ろす――、正確には、死んだ人間の意識を、この身体に宿すことができます『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』、p.71

数多くの読者を虜にした罪深き女性キャラクターです。息を呑むほどに美しい、と形容されるほどの美女です。最高ですね!おそらく表紙の女性が翡翠でしょう。

タイトルからも想像がつくかと思いますが、彼女は「霊媒」。

つまり、死者の言葉を伝えることができる、もしくは霊視によって事件の一端を垣間見ることができるという特殊技能を持っています。

ぶっとびミステリーかよ!!と思いましたが、本作のおもしろさは、この霊媒能力によって知り得た事実には「証拠能力」がないということにあるのです。

「被害者(故人)が語ったんです☆」という論理が通用しないのは言うまでもありませんね。(これが通用してしまうと、ミステリー界は終わる)

城塚翡翠は、事件の真相の一部が先にわかってしまうという反則的な力を持ちながら、それを証拠として提示することができない、という偏った能力の持ち主です。

これではミステリーが成立しませんね!そこでもう一人のキャラクターの登場です。

香月史郎

「霊媒というのは、生者と死者を媒介する存在です。だとしたら、僕はあなたの力を、論理を用いて現実へと媒介する、お手伝いをしましょう『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』、p.92

推理作家としての推理能力を買われ、数々の難事件を解決してきたというミステリー小説に頻出する設定のキャラクターです(笑)

彼が城塚翡翠と出会って、証拠能力のない霊媒由来の情報に論理的で常識的で説得力のある説明を付加していくことで、事件を解決に導いていく。本作のおもしろさの一端はここにあります。

翡翠の霊媒能力で反則的にわかってしまった事件の真相に対して、香月が後出しジャンケン的に論理の枠に当てはめていくいわば「辻褄合わせミステリー」。

犯人はわかっているのにそれを指摘することができず、なんとかしてその真相に結びつく「証拠」を後から探し出していかなければならないというなかなか類を見ない作品に仕上がっています。これは新しい!

真相を知りながらそれを容易に指摘できないもどかしさが、読む側になんともいえない緊張感を強いてきます。

警察や他の一般ピープルを、霊視によってわかっている真相にいかに「誘導」するか、という特殊なミステリーを味わうことができるわけです。この設定には唸りましたね。

傑作です!

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インタールード

翡翠と香月が事件を解決するたびに、「インタールード」という幕間のようなシーンが差し挟まれます。

インタールードとは「間奏曲」のことですね。(ドヤ顔)

巷で噂になっているという「姿なき連続殺人鬼」が登場する場面ですが、なかなか陰惨なシーンが描かれています。

翡翠と香月はいずれこの連続殺人鬼と対峙するのだな、と読者側はなんとなく悟るわけです。

異能の探偵コンビと一切証拠を残さない連続殺人鬼とが対決をするのでしょうから、否が応でもワクワク感がほとばしってしまうというものですね!

【ネタバレ感想】すでに読了した方へ

危険!ネタバレあり!

本作は、ネタバレ厳禁の最たるものです。

なので私も基本的にはネタバレなしの方向で行きたいのですが、一つだけ名言を紹介したいと思います。

ネタバレが嫌いな人、これから読もうと思っている人は開かないようにね!

ネタバレあり!読了済の人だけクリックorタップしてね

「奇術におけるこうしたサトルティは、推理小説にも転用できそうじゃありません? わかりやすい謎を提示し、あえて読者に解かせ、それを解決しないまま物語を進めて、まったく違う答えや隠されていた最大の謎を示すのです『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』、p.320

読んでいた人の大半が、

ぬああああぁぁぁぁーーーー!!

となるところです(笑)

作者の手のひらの上で踊らされる、なんてことはミステリーを読んでいればよくあることですが、これはやられた!すごい!くやしい!おもしろい!

短編全ておもしろいのですが、最後まで読むと、それ以前の短編がいっそうおもしろさを増すというすさまじい構成になっています。

この凄さを語り合いたいけれど、ネタバレはできない・・・!だから、読後の感想が、

翡翠ちゃんかわいい~(*´з`)

となるんですね。きっと(笑)

いいミステリーでした!!

終わりに

いやー、これは本当におもしろかった。

帯にある「全てが、伏線。」という煽り文句は正直あまり好きではありませんが、そう評価したくなるのもわかるというものです。

設定からして特殊ミステリーといった感じですが、ぜひとも最後まで読んでいただきたいですね。

上の方でも書きましたが、ロジカルなミステリーが好きな人にはおすすめの一冊です。

ぜひ読んで、翡翠ちゃんかわいい~(*´з`)となりましょう!(笑)

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

つみれ

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