こんにちは、つみれです。
このたび、私が小学生のころに激ハマりした横山光輝さんの忍者マンガ『伊賀の影丸』を再読しました。
本作が発表されたのが1961~1966年ですから、私(1982年生まれ)が小学生のころとしてもすでに結構ふるいマンガでした。
しかし、これがおもしろい!そして、大人になった今読んでもめちゃくちゃおもしろかったのです!
それでは、さっそく『伊賀の影丸』の感想を書いていきます。
目次
特殊な能力を持つ忍者たちのバトルマンガ
スポンサーリンク
私が読んだ動機
初読は小学生のころで、父の実家に置いてあったのを読み始めたらめちゃくちゃおもしろかったからです。
久しぶりに読んでみたくなり手に取ったのですが、今読んでも最高でした。
こんな人におすすめ
- 忍者が好き
- バトルマンガが読みたい
- レトロマンガの世界に浸りたい
『伊賀の影丸』は巨匠横山光輝さんの描いた忍者マンガです。
全部で9つの物語が収録されていますが、そのすべてが忍者たちが敵味方に分かれて戦いを繰り広げる様子を描いています。
1960年代のマンガなので、今のマンガと比べると派手さはないし絵柄に若干古臭さもありますが、そこにレトロな味わいがあります。
忍者が好き、もしくはバトルマンガが好きという人におすすめのレトロマンガです。
世界観
時代背景としては、江戸時代が始まって50年あまりが経ち、平和な世の中が訪れたように見えるものの、大名たちのなかには徳川家に対してよからぬ思いを抱いている者も多い、といった感じ。
大名たちが不穏な動きを見せたり徳川家にちょっかいをかけてきたりするのを、服部半蔵率いる公儀隠密(将軍に仕える忍者)たちが調査したり防いだりするというのが物語の基本パターンです。
人気の高い戦国時代をあえて外しているところが魅力ですね。
と、こんなことを書くと歴史の知識が必要なんじゃないの・・・?と思ってしまうかもしれませんが、歴史の知識がまったくなくても『伊賀の影丸』は楽しめます!
キャラクター
全部で9つの物語がありますが、全てに共通して登場するキャラクターは主人公の影丸とその上司の服部半蔵だけです。
あとはそれぞれの編でゲスト公儀隠密(その編でしか登場しない影丸の仲間の忍者たち。Wikipediaの表現を借りました)と、敵の忍者たちが登場します。
影丸
本作のタイトルにもなっている主人公の影丸は、まだ少年ですがとにかく頭がよくて強いです。
木の葉を使った忍術を得意としていて、危地からの脱出時に木の葉をまいたり、しびれ薬にひたした木の葉で敵を戦闘不能に追い込んだりといった戦法を多用します。
剣術や頭の回転の速さも一流で、敵味方問わず一目置かれる優れた忍者として描かれます。
基本的に相手の命を奪うことよりも任務の完遂を優先するので、敵に「甘い」などと評価されることもありますが、それも含めて非常に主人公的なキャラクターといえます。
5代目服部半蔵
白い眉毛が特徴的な服部半蔵の5代目。すでに老齢ですが、自身も優れた忍者でその腕は衰えていません。
影丸たちの上司に当たり、基本的に影丸や他のゲスト公儀隠密は半蔵の命令で行動します。
基本的に戦いには参加しませんが、優しさと厳しさを兼ね備えたナイス上司です。
阿魔野邪鬼
基本的にほとんどのキャラクターは一つの編にしか登場しませんが、一部、数編に渡って登場するキャラクターがいます。
その一人が阿魔野邪鬼。影丸のライバル的存在です。
阿魔野邪鬼は私が大好きなキャラです。
何度となく影丸の前に立ちはだかりながら、お互いに相手の力量を認めていたフシがうかがえるナイスライバルです。
剣術や洞察力など、忍者に必要な能力は一通り兼ね備えた強敵ですが、最大の特徴は、不死身であるということ。
トカゲが尾を切り落とされても再生するように、邪鬼は瀕死の重傷を負っても数時間で復活するというチート級のキャラクターなのです。
多少の負傷をものともせず大胆に相手に斬りこんで相討ちに持っていき、あとで自分だけ復活するという卑怯な戦法を得意とします。
公儀隠密とは絶対になれ合うことはしませんが、かといって公儀隠密に敵対する忍者たちに加担するわけでもなく、独自の美学で第三の勢力として行動することが多いです。
時に影丸の敵に回り、時に影丸の手助けをする気まぐれな立ち回りが魅力で、ダーティヒーロー的な位置づけで物語に厚みを持たせています。
個性豊かなゲスト忍者たち
上でも書きましたが、各話では影丸の他にとても魅力的なゲスト公儀隠密(その話でのみ登場する影丸の仲間)や敵忍者が登場します。
例えば下記のような忍者です。
- 火術が得意な忍者
- 陸上戦は弱いが水中戦が得意な忍者
- 毒が効かない忍者
- 催眠術で敵を操ることができる忍者
- 幻術で相手を惑わす忍者
以上のような、横山光輝さんが生み出した個性あふれる忍者たちがとてもいい!とてもいいのです!彼らが物語を盛り上げてくれるのです!
そして彼らゲスト公儀隠密や敵の忍者たちが、集団vs集団で戦いあい、両者ともに情け容赦なく死んでいくスピーディな展開もすばらしいです。
彼ら隠密たちの死に際は本作の見どころのひとつ。ぜひ味わいながら読んでほしいなと思います。
スポンサーリンク
珠玉の9話
『伊賀の影丸』サンデーコミックス版は全15巻のなかに9話が収録されています。
下記では、全9話の概要を書いていきます。
七つの影法師の巻
物語の時系列的には4番目になる「七つの影法師の巻」は、純粋な忍者同士の戦いをバトルロワイヤル的に描いている作品。
『伊賀の影丸』の世界観を味わうのにうってつけの内容で、全編のなかでも屈指の人気作です。
七つの影法師の巻 | |
---|---|
内容 | 謎の忍群影法師に挑戦された半蔵率いる公儀隠密。 挑戦に応じなければ将軍家ゆかりの者に危害を加え るという。公儀隠密7人vs影法師7人の忍者合戦を 戦ううち、影法師の意外な雇い主が判明する。 |
敵忍者 | 影法師 |
収録巻 | 1~2巻(サンデーコミックス版) |
時系列 | 4番目 |
お気に入り 公儀隠密 |
幻也斎 |
お気に入り 敵忍者 |
幽鬼 |
半蔵暗殺帳の巻
章タイトルが壮大なネタバレになっていますが、服部半蔵と江戸幕府の暗部を垣間見せるストーリーテリングがすばらしい一作。
援軍として物語途中から登場する伊賀地ごく谷忍者の特殊な忍術が楽しい一作でもあります。
半蔵暗殺帳の巻 | |
---|---|
内容 | とある巻物の半分を謎の忍者に奪われてしまった半 蔵。その巻物はそれ一つで天下が覆えるほどの影響 力を持っているという。半蔵は影丸と伊賀地ごく谷 の忍者を使って、巻物の奪還を目指す。 |
敵忍者 | 飛騨忍群 |
収録巻 | 2~3巻(サンデーコミックス版) |
時系列 | 5番目 |
お気に入り 公儀隠密 |
十六夜幻之丞 |
お気に入り 敵忍者 |
独眼房兵馬 |
邪鬼秘帳の巻
公儀隠密と辻斬り浪人、土蜘蛛党の三つ巴の戦いがワクワクする一作。忍者ではない浪人たちの実力に度肝を抜かれた記憶があります(笑)
辻斬り浪人は魅力的なのに、肝心の忍者たちは土蜘蛛党の勘助くらいしか記憶に残る人物が登場しない特殊なお話。
お家騒動のごたごたがかなりうまく描かれていて、物語的にはかなり好きです。
邪鬼秘帳の巻 | |
---|---|
内容 | 辻斬りが横行する政情不安定な秋月藩。ついに家老 も辻斬りの凶行に倒れてしまう。藩に潜入していた 公儀隠密の藤次からの連絡も途絶え、不審に思った 半蔵は影丸らに秋月藩の調査を命じる。 |
敵忍者 | 土蜘蛛党 |
収録巻 | 3~4巻(サンデーコミックス版) |
時系列 | 7番目 |
お気に入り 公儀隠密 |
特になし |
お気に入り 敵忍者 |
特になし |
影丸旅日記の巻
葉山藩の秘密から敵の大ボス夢之丞の忍術に至るまで怪しげな香りがプンプンする「影丸旅日記の巻」。
コミックス1巻に収まる短めのお話ながら読ませるお話です。
サンデーコミックス版に収録された物語のなかでは時系列的にラストの物語。
影丸旅日記の巻 | |
---|---|
内容 | 葉山藩に潜入していた公儀隠密栗林伝蔵からの連絡 が途絶えた。いぶかしく思った半蔵は影丸に事情を 探るよう命じる。調査を進めていくと、葉山藩には 大きな秘密があることが判明する。 |
敵忍者 | 葉山藩お抱えの忍者 |
収録巻 | 5巻(サンデーコミックス版) |
時系列 | 9番目 |
お気に入り 公儀隠密 |
特になし |
お気に入り 敵忍者 |
夢之丞 |
土蜘蛛五人衆の巻
「七つの影法師の巻」と同様、忍者同士の戦いをメインに据えたバトルロワイアル。
土蜘蛛党の敵忍者5人が精鋭揃いでめちゃくちゃにおもしろい一作。
私のお気に入り敵忍者「金目」が登場するのもポイント。金目はかっこいいぞ・・・!
土蜘蛛五人衆の巻 | |
---|---|
内容 | 邪鬼秘帳の巻で壊滅に追い込まれた土蜘蛛党の残党 5人が、その復讐のために影丸の命を狙う。半蔵は 影丸の身を守るために公儀隠密の数人を護衛につけ ると、忍者同士の集団戦の様相を呈していく。 |
敵忍者 | 土蜘蛛五人衆 |
収録巻 | 6~7巻(サンデーコミックス版) |
時系列 | 8番目 |
お気に入り 公儀隠密 |
特になし |
お気に入り 敵忍者 |
金目 |
地獄谷金山の巻
影丸も普通に強いのだが、影丸の存在を食うほどの活躍ぶりを見せる公儀隠密の嵐月之介がとにかくカッコよすぎる一冊。
『伊賀の影丸』全9話を通して、私の最も好きなキャラクターです!
火術が得意な月之介という設定は、異能力バトルものとしての本作のおもしろさを強烈に印象付けています。
また、本作では極めてめずらしいくノ一(女忍者)が登場するお話でもあります。
地獄谷金山の巻 | |
---|---|
内容 | 半蔵は路上で襲われていたとある男の最期を看取っ た。男は死の間際、隠し金山の存在をほのめかす。 幕府管理外の金山は謀反の軍資金となる恐れがあり その真偽を確かめるため影丸らに調査を命じる。 |
敵忍者 | 飛騨忍群 |
収録巻 | 7~8巻(サンデーコミックス版) |
時系列 | 6番目 |
お気に入り 公儀隠密 |
嵐月之助 |
お気に入り 敵忍者 |
特になし |
若葉城の巻
『伊賀の影丸』の記念すべき第一作目にあたる物語。
影丸の前にたちはだかる甲賀七人衆は、それぞれ特殊な体質を持っているという設定。これがまたおもしろい。
時系列順に読むなら、まず本作から読みましょう。
若葉城の巻 | |
---|---|
内容 | 若葉右近が謀反をたくらんでいるという噂もあるな か、将軍の若葉城への訪問日が迫っている。若葉城 に潜入した公儀隠密は誰一人帰ってこない。半蔵は 噂の真偽を確かめるため影丸を若葉に派遣する。 |
敵忍者 | 甲賀七人衆 |
収録巻 | 9~10巻(サンデーコミックス版) |
時系列 | 1番目 |
お気に入り 公儀隠密 |
彦三 |
お気に入り 敵忍者 |
特になし |
由井正雪の巻
実在の謀反人、由井正雪を物語に組み込んだ『伊賀の影丸』最長のお話。
逃走する正雪を追いかけ、場面が少しずつ移動しながら物語が展開していくスケールの大きさが魅力です。
物語の長さに比例するように登場人物も多く、様々な忍術合戦が楽しめます。
由井正雪の巻 | |
---|---|
内容 | 慶安の変の首謀者由井正雪は幕吏に包囲され自害し た。しかし、死んだ正雪は影武者で、本物の正雪は 再起を図るため西方に落ち延びていく。半蔵は公儀 隠密を使って正雪討伐を試みる。 |
敵忍者 | 陰流の忍者 |
収録巻 | 11~13巻(サンデーコミックス版) |
時系列 | 2番目 |
お気に入り 公儀隠密 |
源心、左近丸 |
お気に入り 敵忍者 |
如月文兵衛、木枯らし竜五郎 |
闇一族の巻
毒が効きづらい村雨兄弟と個性豊かな闇一族の戦いという構図がおもしろい一作。
忍者の非情さが最もよく出ている一作でなかなかハードな展開を迎え、読後の余韻も何とも切ないですが、読み応えは抜群です。
時系列的には3番目なのですが、サンデーコミックス版で読んだ私にとってはこれがラストの物語。
闇一族の巻 | |
---|---|
内容 | 山城の国で起きた一揆の調査に向かった公儀隠密が 全滅した。この一揆はただの百姓一揆ではなく謎の 忍者集団の扇動のあとがあった。暗躍する謎の忍者 たちの目的を調べるため、影丸らは山城に向かう。 |
敵忍者 | 闇一族 |
収録巻 | 14~15巻(サンデーコミックス版) |
時系列 | 3番目 |
お気に入り 公儀隠密 |
数馬 |
お気に入り 敵忍者 |
岩風 |
読む順番
私は小学生のときも、今回の再読もサンデーコミックス版を1巻から読んだのですが、これ、なんと収録されている順番が作品の発表順と違っているんです。というかめちゃくちゃになってます(笑)
ここはやはり発表順の時系列で読んだ方が物語的には楽しめると思います!
前編までで生き残った公儀隠密が後の編で登場したり、数編にわたって登場する阿魔野邪鬼などの関係性がわかりやすいからです。
下記に時系列で読んだ場合の順序を書いておきます。(巻数はサンデーコミックス版)
- 若葉城の巻(9~10巻)
- 由井正雪の巻(11~13巻)
- 闇一族の巻(14~15巻)
- 七つの影法師の巻(1~2巻)
- 半蔵暗殺帳の巻(2~3巻)
- 地獄谷金山の巻(7~8巻)
- 邪鬼秘帳の巻(3~4巻)
- 土蜘蛛五人衆の巻(6~7巻)
- 影丸旅日記の巻(5巻)
この順番で読めば物語を最大限に楽しむことができますよ。
※電子書籍ストアebookjapanへ移動します
終わりに
小学生時代に読んでめちゃくちゃおもしろかった『伊賀の影丸』。
レトロマンガですが、今読んでもとてもおもしろかったです。
異能力バトルものの嚆矢としても上質なマンガだと思いますので、読んだことがない方はぜひ手に取ってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
つみれ
スポンサーリンク
この記事へのコメントはありません。