こんにちは、つみれです。
先日、綾辻行人さんの『Another エピソードS』を読みました。
前作『Another』と同様、ホラーとミステリーをうまく融合させた一作となっています!
それでは、さっそく感想を書いていきます。
▼前作の記事
作品情報
書名:Another エピソードS(角川文庫)
著者:綾辻行人
出版:角川書店 (2016/6/18)
頁数:336ページ
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目次
『Another』のサイドストーリー!
私が読んだ動機
- 2020年9月にシリーズ新作『Another 2001』が発売されること。
- 前作『Another』を読み終えたこと。
こんな人におすすめ
- ホラーとミステリーをかけ合わせた作品を読みたい
- でもホラー成分は薄めがいい
- 『Another』のサイドストーリーが読みたい
あらすじ
前作『Another』では、主要キャラクターである見崎鳴が、物語の舞台となった夜見山市から姿を消していた時期があった。
本作は、その空白の一週間で彼女が何をしていたのかを描く『Another』のサイドストーリーとなっている。
彼女は夏休みに両親と海辺の別荘に訪れていたが、そこで過去に夜見山北中学校三年三組で不思議な現象を経験していた青年・賢木晃也の幽霊と出会う。
一部記憶が欠落している賢木の幽霊とともに、鳴は彼の死体を探し始める。
『Another』のサイドストーリー
あらすじにも書いた通りですが、本作『Another エピソードS』はあくまで前作『Another』の外伝、サイドストーリー的な位置づけの物語となっています。
前作で印象的だった「超自然的な自然現象」がメイントリックの装置として据えられているわけではありません。
また、夏休みの別荘地を舞台としているので、前作での特徴でもあった学園ものとしての側面も薄いです。
なので、前作『Another』のようなスリル感・緊迫感、特徴的な舞台設定などを期待して読むと肩透かしを食うハメになります。
一方、『Another』の世界観や、見崎鳴などのキャラクターが大好きで、その世界の広がりを感じたい人にとっては、この上ない魅力的な作品となります。
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ホラーとミステリーの融合
前作『Another』は、ホラー要素とミステリー要素が絶妙なさじ加減で融合しており、舞台設定・世界観と謎解きが互いに関連しあうすばらしい作品でした。
そのサイドストーリーとなる本作『Another エピソードS』もその趣向を引き継いでおり、ホラーとミステリーがいい塩梅で絡み合っています。
前作の主要キャラである見崎鳴が、夏休みに別荘で「幽霊」と出会うという冒頭部は、前作『Another』を知らない人が純粋なミステリーとして読もうとすると「なんだこのぶっとび設定は・・・」となってしまいます。
ところが、前作を読んだあとだと、「Anotherの世界ならこういうこともあり得る」と感じられるところがミソです。
ミステリー的な楽しさ
本作のミステリーとしての楽しさは下記2点です。
- 賢木晃也の幽霊が自分の死亡前後の記憶を忘れている点
- 賢木の死体が行方不明になっている点
死体がなくなっているということは他者の何らかの意思が働いているはずですが、幽霊自体にその心当たりが全くないという不可思議な謎。
これが冒頭で提示されていて、それを前作の主要登場人物である見崎鳴とともに解き明かしていくというミステリーです。
また、「幽霊が現世の物質にどこまで干渉できるか」など、普通のミステリーでは考えられないような要素がしっかりと設定してあり、それも謎解きのヒントになっていくような設計も魅力的ですね。
このあたりは前作の「ホラーとミステリーの融合」という特殊設定的な趣向をうまく引き継いでいます。
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『Another』を読んでいなくても楽しめるか?
本作『Another エピソードS』は、前作『Another』を読んでいなくても楽しめるのでしょうか?
正直なところを言うと、『Another』を読んでから『Another エピソードS』を読んだほうがいいです。
もちろん本作単体で完結した物語になっているので、前作を読まずに本作から読んでも普通に楽しめるとは思います。
しかし、その場合、かなり凡庸な作品となってしまう印象です。
一方、前作『Another』を読んでから本作を味わうと、本作のメイントリックの裏事情が完全に理解できるので満足感が高いのと、単純に物語としてのおもしろさが跳ね上がります。
本作『Another エピソードS』を100%楽しむには、前作『Another』の登場人物や凝った設定を知っていることが前提のような作りになっています。
前作を読了してから本作を読むことをおすすめします。
次作『Another 2001』にも関係
本作『Another エピソードS』は、シリーズ3作目に当たる次作『Another 2001』にも関係してくる物語となっています。
『Another 2001』は、『Another』や『Another エピソードS』の3年後の世界を描いていて、これまでに登場したキャラクターも登場するという趣向になっています。
本作は、ちょうど『Another』と『Another 2001』の橋渡し的な役割と言えますね。
次作『Another 2001』をより深く楽しむためにも、本作は押さえておきたい一冊です。
終わりに
前作『Another』から続けて読むと、あの世界観をより深く楽しめて良かったです。
正直、前作の大がかりな舞台設定や緻密な話運びと比べると小粒な感じは否めませんが、これが次作への布石となっていると知ると楽しみが増えたようでうれしいですね。
本記事を読んで、綾辻行人さんの『Another エピソードS』がおもしろそうだと思いましたら、ぜひ手に取って読んでみてくださいね!
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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つみれ
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