こんにちは、つみれです。
このたび、スピッツのエッセイ『旅の途中』(幻冬舎)を読みました。
何を隠そう、私は日本のロックバンド「スピッツ」のファン。もうね、私、スピッツ大好きなんですよ!
スピッツの曲は、「ロビンソン」(名曲)、「空も飛べるはず」(名曲)、「チェリー」(名曲)の3曲がよく知られています。
私の場合、好きな作家といえば「司馬遼太郎」「宮城谷昌光」「東野圭吾」「綾辻行人」などなど、実に甲乙つけがたいほどにみんな好きです。
ところが音楽となるとスピッツが他を圧倒して燦然と1位に輝き続けています。
とはいえ、インディーズの頃からのファンというわけではなく「ロビンソン」を聴いて魅了されたクチですけどね。
さて、現在、スピッツは結成32年目に突入しました。(2019年1月時点)
だから今から12年ほど前になりますが、2007年にスピッツの結成20周年を記念して刊行されたのが本作です。
・・・むふふ。ちゃんと本の話だったんですよ~(*´з`)v
というわけで、さっそく感想を書いていきます。
作品情報
書名:旅の途中
著者:スピッツ
出版:幻冬舎 (2007/11/30)
頁数:249ページ
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目次
スピッツの歴史をメンバーが語る
私が読んだ動機
スピッツが好きなので読みました。
こんな人におすすめ
- スピッツが好き
- スピッツの歩んだ歴史を知りたい
- スピッツの各メンバーに興味がある
あらすじ・作品説明
スピッツのメンバーは、草野マサムネ、田村明浩、三輪テツヤ、崎山龍男の4名。
この4名がどのように出会い、どんな風に音楽を楽しみ、あるいは苦悩し、スピッツとして少しずつ大きくなっていったかを、結成20周年という節目の年に振り返って語った本です。
というわけで、『さざなみCD』というアルバムが発売された2007年くらいまでのスピッツ史を押さえた本となります。
2019年の今から見ると少し古い内容ですが、それでもスピッツが歩んできた歴史を垣間見ることができるというのはファンとしてとてもうれしいです!
文章も素直で読みやすく、頭にスッと入ってくるので、まるで小説を読んでいるかのように楽しめました。
メンバー全員が語る
スピッツ結成前夜の話から、インディーズ時代の話、「ロビンソン」がヒットしてからの話、その後の話などなど。
実にいろいろな時代について書かれている本書ですが、この本のいいところは、メンバー一人ひとりのその時々の想いが綴られているところですね。
私もロビンソンからスピッツを知ったクチですから、彼らの人生はさぞ順風満帆だったのだろうと勝手にサクセスストーリーを想像してしまいます。
でも、時代時代で彼らは悩んでいるんですよね。そこがなんとも人間らしいというか。
たとえば、マサムネさんが苦しんでいるとき、他のメンバーはどう思っていたか?など、一つの時代が4人の視点で語られているので、スピッツというバンドの歴史をいろいろな角度から知ることができます。
そういうエピソードをいくつも読んでいくと、スピッツというグループの奥にある、彼ら一人ひとりの人間味が見えてくるんです。
スピッツが奏でる音楽は大好きだったけれど、メンバーそれぞれがどんな想いで音楽に向き合っていたかなどということは考えたこともなかったので、読んでいておもしろいんですよね。ほ~、そうだったのかと。
これまで以上にスピッツに親しみを覚えてしまいました。なんともおこがましいことですが(笑)
本作を読んでから、改めて彼らの音楽を聴くとこれがまた一味違って聞こえてくるんですよ!
スピッツ好きにはおすすめしたい内容ですね!
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歌詞のすごさ
スピッツの曲の歌詞は、ほとんどがボーカリストの草野マサムネさんによって書かれています。
厳密に言うと、作詞家としてのマサムネさんは草野正宗名義を使うのですが、まあそれは細かいからいいや。
このマサムネさんが書く歌詞がちょっとすごいんですよ!
本格的に意味不明だけれど、なんか真理を突いているような鋭さが垣間見える、そんな独特な歌詞なんです。
ちょっとだけご紹介しましょう。
冷えた僕の手が君の首すじに
咬みついてはじけた朝「青い車」、作詞:草野正宗
スピッツのなかでも屈指の人気曲の一つ「青い車」。
『空の飛び方』というアルバムに収録されている他、スピッツのシングル・コレクションにも収録されていますね。
私が大好きな曲の一つでもあります。
どうでもいい話ですが私が「スピッツ好きなんだよね~」というと、「青い車いいよね~」と返ってきたことが3回くらいあるので、本当に人気がある曲なのだと思います。うへへ。
上記引用はその冒頭部ですが、さわやかなサウンドに乗せられた歌詞はなぜだか少し不穏な雰囲気。
これ、彼女を殺そうとしている・・・?
その後に出てくる「輪廻」というワードからも連想されますが、この曲は「無理心中の歌」と解釈されることが多いのです。
※あくまで解釈の一つです。
冒頭に不穏な歌詞が提示されますが、結局終わりまで何があったのか明確にはならないんです。
実際にマサムネさんは自分の書いた歌詞を説明することがほとんどないので真意の程はわかりませんが、こういう意味不明さを気にし出すとね、いつの間にかスピッツの歌詞にハマっているんですよ!
何にしても「手が首すじに咬みつく」という言葉選びのセンス。これがすごい。
もう一曲いきましょう。
コピペで作られた 流行りの愛の歌
お約束の上でだけ 楽しめる遊戯
唾吐いて みんなが大好きなもの 好きになれなかった
可哀想かい?「グリーン」、作詞:草野正宗
ちょっとマイナーですが、最新(2019年現在)のアルバム『醒めない』に収録されている曲「グリーン」の2番Aメロです。
私がめちゃくちゃ好きな曲です。
スピッツにしては珍しくこの箇所はそのまま意味が通る歌詞(曲全体で見るとやはり意味がわからない)なのですが、これだけ明確に攻撃的なのもまた珍しいんですよね。
世間に対する皮肉がバンバン漏れ出していて、私は初めて聴いた時から魅了されました。
この歌詞がノリノリのハイテンションな曲に乗せられているのがまたすごい。
ちなみに、この曲の最後の方には「火焔土器」というコトバも出てきます。
火焔土器というのは炎をかたどったような形の縄文土器です(いま調べました)
普通、歌詞で使いませんよね~、火焔土器。それも「脳内の火焔土器」。いやー、このひねくれ方、天才すぎる。
もうねー、私もいい加減アホかと思いましたが、一日中この曲しか聴かない日があったほど、好きな曲です。
もう一曲くらい紹介したいのですが、しつこいのでやめましょう(笑)
本作『旅の途中』を読んでいると、スピッツのメンバーみんながマサムネさんの書く歌詞が大好きなのが伝わってくるんですよ。これが本当にうれしいんですよね。
草野が作る曲の歌詞は、最初からちょっと普通じゃない感じがした。『旅の途中』kindle版、位置No. 164
これは、スピッツのベーシスト田村明浩さんがマサムネさんの歌詞を指して言った言葉です。
こういうフレーズが本当にたくさん出てくる。
メンバー同士で尊敬の念を抱けるというのはすばらしいですな。
歌詞の参考にするために、大正期のダダイズムの詩人の詩集を読み漁ったり、アイヌのお祭りに行ってみたりとか、およそふつうのロックバンドの曲の作り手が着目しないものに目を留めていた。『旅の途中』kindle版、位置No. 1194
これはマサムネさんが自分の歌詞づくりの姿勢を語ったコメントです。
他から見るとすごい歌詞だ~!天才!で終わってしまいがちですが、やはり努力もしているんですよね。
こういうことを知ることができたのは、本書を読んで良かったことの一つかなと思います。
まあ、私がここで言いたいのは、スピッツの歌詞の世界のわけのわからなさを味わってほしいということですね。
マイアミ・ショック
スピッツ史を語るときに避けては通れない事件、それがマイアミ・ショックです。
スピッツのメンバーが理想の音を模索するために、アメリカのマイアミでレコーディングしていたときのこと。
単身マイアミにやってきた社長から、とある決定を告げられるのです。
ファンの間では結構有名な話なのだけれど、実はスピッツは「ベスト盤を出すのは解散するとき」ということを公言していて、雑誌のインタビューなんかでもそういうふうに答えていました。
そう、社長に告げられたのは「スピッツのベスト盤を出すことになってしまった」(『旅の途中』kindle版、位置No. 2429)ということだったのです。
理不尽ともいえるレコード会社の一方的な決定に対し、メンバーたちの抱いた想い、葛藤。
そして、どうやってそれを乗り越えていったか。
本書にはこの事件に対するメンバーたちの思うところが詳しく書かれています。
結局、この事件もスピッツが成長するための糧になっているんですね。素直にすごいなぁと思ってしまいました。
ちなみにこの時発売されたのが、『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』(1999年)です。
まあ、私もよく聴きましたよ!
発売の経緯はなかなか微妙ですが、収録されている曲はやっぱりすばらしいのでね!
その後、メンバーの意を汲んだ正式なシングルヒット集が発売されたので、これは生産中止になりました。
周りの人との関係がいい
私は曲作りというものをほとんど知らないので、プロデューサーがどれほど大事かということも全くわからず本書を読んでいました。
だから、プロデューサーとしてスピッツの曲作りに参加した笹路正徳さんや石田ショーキチさん、亀田誠治さんのことも全く知りませんでした。
彼らプロデューサーがスピッツの音楽に、そしてスピッツのメンバーそれぞれにどのような影響を与えたか、というところは本当に興味深く読むことができましたね。
それから実質スピッツの5人目のメンバーといってもいいかもしれないサポート・キーボードのクージーこと、クジヒロコさん。彼女の加入のエピソードなんかもとってもおもしろいです。
スピッツの名曲たちもいろんな人の支えがあってはじめて生まれたんだなあ、と思うとジーンときますね。
スピッツは旅の途中
本書は『旅の途中』というタイトルですが、実はスピッツにはそのまま「旅の途中」という楽曲があります。
アルバム『三日月ロック』に収録された曲ですが、バンドとしてもまだ旅の途中という意味が込められているのだそうです。
本書にそのタイトルが付けられているのも、まさに理由は同じなんですね。
本書が発売されたときの最新アルバム『さざなみCD』は、「現在進行形の途中経過の報告」(『旅の途中』kindle版、位置No. 3053)だと言っています。すてきな表現ですなあ。
その証拠かどうかわかりませんが、『さざなみCD』に収録されている「トビウオ」という曲に「旅の途中」というフレーズが使われています。
本当に大切にしている言葉なのでしょうね。
遠回りしたけど 解りはじめた
波照間から稚内へ 旅の途中で「トビウオ」、作詞:草野正宗
メンバーたちの想いが詰まっていそうな歌詞です。
これもなかなかのアッパーチューンですが、私は大好きな曲ですね!(好きな曲多すぎ問題)
今は2019年ですが、これからも長く旅を続けてほしいなあと願っています。
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終わりに
いやー、大満足な一冊でしたね。
スピッツ好きにはぜひおすすめしたい作品です。
また、こういう本出してくれないかなあー。なーんてね。
記事は私の趣味全開な内容になりましたが、後悔はしていません(*´з`)v
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
つみれ
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